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2004/09/25
手前ソース デンハーグから日本の友人が訪ねてくれました。夏まえはときどき顔を出してくれたが、その後お互い多忙になり、会う機会がありませんでした。トニーに向かって「久し振りのアムステルダム〜!」と大声をあげながら到着しました。コーヒーを飲みながら世間話をし、その後トニーと運河沿いを歩いたりして、のんびり過ごしました。夕食を一緒にしました。自慢のトンカツと海老フライをごちそうしました。自慢の揚げ物というより、7月末に自作した「特製とんかつソース」と言うべきですけどね。^^。彼は「これは旨い!」とトニーなみにガツガツ食ってました。 トンカツはやっぱり日本だ! 自分で書いて笑っちゃいましたが、ポーク・カツレツがトンカツの語源で、西洋料理を今の型に発展させたのでしたね。オランダにもトンカツに近い料理法はいくつもありますが、日本のトンカツとは似ても似つかぬものです。ヨーロッパではこの日本のトンカツの方向へ発展しなかったようです。というより殆ど発展させてないのではと思います。有名な子牛肉の「ウィンナ・シュニッツエル」や肉を袋状にしてチーズを詰めてパン粉を着けて揚げる「コードン・ブル」などがありますが、べつに特別な味覚のものではないです。ごく普通のものです。ソースは付きません。肉の揚げ物では、イタリアには旨いものがありますね。名前を忘れましたが。イタリアは例外です。イタリアンには眼のない私です。フランスは入れてやらないの、私は。あっはは。 でも、日本のトンカツもヨーロッパと同じ出し方をしたら、それほどのモノではないかもしれません。あ、この「出し方」とは「トンカツソース」が付くか、付かないかです。この付かないの意味は、衣をつけるまえに肉に塩味を付けます。で、ソースは付きません。^^。どんなに上手く揚げてある日本のトンカツでも、このソースが付かなければぜんぜん別ものになりそうです。ですから、日本のトンカツの歴史は「トンカツソースの歴史」と言っても過言ではないようです。これ、もちろん市販の普通のソースも含まれますよ。家庭で揚げたトンカツも、肉屋さんや総菜屋さんのトンカツも美味しいですよ。でも、自宅にソースを持っているからですよね。 今日はこの「トンカツソース」の自作をネタに書きたくなったので、書き始めました。あ、正にこれは「手前味噌」と同じ意味になりますね。少しだけ味噌も入れましたから。あっはは。でも、これはすこぶる楽しいことです。この時の「閃き」や「思いつき」を書き連ねていくのはね。もちろんそのときの期待感や不安感もです。 このところ揚げ物のソースに "ブルドッグ" や "おたふく?" 印のソース/トンカツソースを買ってました。それなりに美味しいのですが、なにかイマイチしっくりこないのです。このソースでフライを食べる度に、もっと私の好みにあったソースが欲しいと、思っておりました。思い切って自前ソース作りしました。計画もなく、思いつきで取りかかりましたから、在庫のある材料が主となりました。近くのトルコの店で手に入るものは、これも思いつきで買って加えましたが。今回で4回目です、こんなソースを作るのは。今回は無謀とも言える「記憶に残るトンカツ屋さんの味を再現!」に挑戦してみました。 そう、私は「大それた野望を持つ輩」なんです! よく煮込んでおけば冷蔵庫に入れて、1年くらい保存が出来ますから大量に作りました。約3リットル。 7月末に友人を4人、夕食に招待することにしてメニューを考えていました。招待するのはまだ4日ほど先のことで、時間には余裕がありました。あれこれ考えている中にトンカツに思い当たり、そのときの腹の減り具合と重なり、こめかみのあたりに痙攣を覚え、思わず涎が垂れそうになりました。これはもうトンカツしかないと決定。でも、待てよということになりました。美味しいソースがない。いいソースがなければ、ナッシングスペシャル! こちらで食える揚げ物と大差ないです。他のものにするか〜と、考え始めましたが涎を垂らすほどの反応をみせたトンカツへの欲望は消えません。だったらソースを自作すればいいじゃん!となりました。 思い立ったら即、行動です。材料の在庫を見たらいけそうです。丸ごとのトマトのカンズメ大を2つ開け、鍋に放り込み火にかけました。そこに新鮮なトロストマト3ヶを加えつぶしながら煮込みました。タマネギ極大を2ヶ、シャロット10個、人参の太いのを2本、赤パプリカ1個、筋を取ったセロリ2本、ニンニク5片を適当な大きさに切り放り込みました。一番大きな鍋を使っていますから余裕があります。この入れた野菜はあとでフードプロセッサーにかけるつもりですから、皮は剥きましたが切り方は本当に適当です。パプリカやトマトの皮はあとで取り除くつもりです。トマトが完全に溶けたところで、タマネギとシャロット以外の他の野菜とトマトの皮を取り出しキレイにしました。 柔らかくなっている野菜をフードプロセッサーで思い切り滑らかにして、鍋に戻しました。パプリカの皮も除きました。ここで醤油を1リッター入れました。フードプロセッサーは洗わずそのままにしておき、そこへアンチョビのカンズメを1缶分放り込み、さらにアプリコットジャムを加え、ジャーっと回します。これは骨が入っているかも知れませんから念入りに、本当に念入りにやりました。それを鍋に入れ、トマトのソースでフードプロセッサーを漱ぎ洗い、そのソースも鍋に戻しました。ベースは大体出来上がりました。ちょっとだけ味見をして、何が不足しているか確かめました。甘みです。 インドネシアの甘いドロ〜ッとした醤油があります。それを適当に入れて、さらにベトナムの甘いチリソースも加えました。さらに蜂蜜を2種類。よくかき回しながら火を通して、もう一度味見です。今度はかなりいいです。ハーブの香りはまだ入りません。ここでソースがちょっと重くなって来ているのが気になりました。水を入れる気はありません。で、選んだのがミディアムドライのシェリー。これはこんなときいい材料です。いい香りも加わりますからね。ワイン系のモノを入れると、味はそのお酒の影響を受けますが、重さが軽減します。軽くなったところで10種くらい入ったミックスハーブの袋を入れました。ティーバックのようなもので、いつでも取り出せます。このとき月桂樹の葉っぱも5枚ほど放り込みました。コトコトと2時間くらい煮込みました。大体出来上がりです。 味見をしました。滑らかないい味になってますが、ちょっとパンチ不足です。ここで賢い私です。トンカツソースは基本的にはウースターソースの仲間です。英国のウースターソースの150ccの小瓶を何本か在庫で持ってます。それを1本分入れました。トマトジュースに垂らしたり、ブラディメリーを作るときの重要な材料です。でも、この英国のウースターソースというのは、かなりシャープですから風味を付けるのに使うといいけど、味付けに使うとあまり面白くない結果しか出ませんね。ケチャップと混ぜてカクテルソースを作ってもあまり感心出来ません。日本のソースとケチャップのカクテルソースの方が遥かにおいしいですね。で、1本でも多いくらいです。ついでにフレンチマスタードと白みそを大さじ一杯づつ入れてみました。火が十分通ったところで味見をしました。今度はいいです。 もうちょっと旨味が加わるといいな〜と思います。この手のソースには味の素がとても効果的なのですが、ここ何年も使わないことにしているので、在庫はありませんし入れたくもない。究極の手段。火を止めて少し冷した所で、大きめの昆布を放り込みました。キレイに広がった所で引き出しました。これで十分昆布のエッセンスはソースに移ってくれてますからね。そのあともう一度火を点け、強く沸騰しないように注意をしながら20分くらい置きました。もう一度味見をしました。こんどは旨味に不足はない。昆布の味もあるかないか分からないくらいに収まってます。本当の味は冷めないと分かりませんから、そのまま冷しました。 十分冷めたところで味見をしました。大満足! 今回のはいままでで一番うまく出来ました。これでテーブルに出せる訳ではありません。^^。 冷めたソースを小分けして、そのうちの一つにタマネギを大きくスライス(輪切り)して放り込みました。生のタマネギの味と香りをソースへ取り込みたいからです。熱を加えるとこれが消えちゃいます。この生のタマネギを入れるとあまり長期持ちしません。ですから2週間で使い切るくらいの分量で、その都度やるといいです。今回は客がくる日に合わせて、少量だけ用意しました。あとは容器に入れて冷蔵庫の奥深くしまい込みました。冷蔵庫のなかで味の均一化と、エージングが進むようです。3ヶ月くらい経ったときが一番美味しいようです。今までの経験からですが。でも毎回材料も違いますから、今回はどうなりますかね〜。 当日になり友人達がきました。全員欧州人です。和食でやるときは、ヨーロピアンだけ招くことにしてます。トンカツも和食ですからね。特製自前の "トンカツソース" が主役でした。旨かった! こちらで生活していると自画自賛が躊躇なく出来るようになります。あっはは。客が飲み物を用意してくれ、楽しい夕べとなりました。久し振りに飲んだ、飲んだ〜。 和風のトンカツに向くロース肉を買うのがこちらでは難しい。脂を除く処理がしてある肉塊を店頭に置いて、不健康な脂肪分は除いてあります!とデモンストレーションしているくらいですからね〜。仲よくしている 肉屋のおじさん に "ハース・カルボナーデ・メット・フェット=脂身のついたロース肉" と、やったら不思議そうな顔をされました。でも、そのあとニッコリしてました。このおじさんには何度も「すき焼きやシャブシャブ」用の脂身付きの牛肉をスライスしてもらってますから、われわれ日本人が適度な脂身のある肉を好むのを知ってます。「豚肉もなの?」と、ちょっと不思議な顔でした。 冷蔵庫から脂肪分が一番多く付いている肉塊を出して見せてくれました。その塊の真ん中くらいの一番脂身の多いところを指でつついて「このあたりがいいみたい」と言ってくれます。「たくさんは要らないよ。厚切り5枚あればいい!」と、私。「いいよ、一枚分でも切ってあげる積もりだから〜」と、おじさん。そのあと声を小さくして「ここじゃ一番売りにくい部分だ! 皆、オンヘゾント(=不健康)と、うるさいからな〜。脂身がある肉の方がうまいよね!」とウインクしてました。「うん、私ら日本人は日頃から不健康なものばかり食ってるから、世界一の長寿になっちゃった!」と、私。で、大笑い。楽しい買い物のひとときです。 そのおじさん、ソーセージのしっぽを無造作に切って「トニーに!」 ですって。おじさんが大笑いするのを見て、トニーがジャンプして飛びかかりたがってましたから。ショウウインドウのこちら側から。 この話はトンカツの食卓で披露しました。みなも、この「日本食の中の脂身」のことはよく理解しています。「毎日食う訳じゃないし、断然脂身がある方が旨い!」と、賛同してくれます。あ、ガンバ (大エビ) が冷凍庫にあったので、それも頭を取らずフライにしました。このガンバは3ヶ月くらい冷凍庫に滞在してました。中華街で仕入れました。目的もなく、見た目がやたらキレイだったから買っちゃったのでした。実は、私は大きなエビはあまり好きではありません。エビは天ぷらに揚げる車エビの大きさがいい。皆はこのガンバのフライを「もの凄く旨い!」と言っていた。私は食べなかったから、味は知りません。あっは。 デンハーグの日本の友人が帰るとき、500cc入りのソースを一瓶おみやげにプレゼントしました。大喜びしてました。彼も一人暮らしですが、料理はあまり好きではないみたいです。あまり日本人を食事に招待しない私ですが、彼は例外です。 Brug43 |