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2003/12/08 
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Xmasに精進料理 II
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 昨日のコラムで親友のイネケのクリスマス嫌いを書きました。続きでその理由を書いてしまいましょう。時期を逃すと面白みが減りますから。

 彼女の誕生日は12月28日です。彼女の生家は大きな肉屋さんを営んでいたそうです。アムステルダムから車で30〜40分くらいのラーレン (LAREN) という街です。閑静な旧い街で、観光客も訪れるほど美しいところです。夏は緑と花に囲まれます。オランダのこんな街を訪ね歩くのはホントに楽しいです。ただし暖かい時ね。こんな街の旧い Café のテラスに座って飲むビールのうまいこと!今のこの時期ならクリスマスのデコレーションできれいに飾り付けられて悪くはありませんが。クリスマスのデコレーションに関しては、わざわざ出かけなくても至る所で見られますから、近所で間に合わせます。まあ、ゴミゴミしてますがアムステルダムはオランダ最大の都市ですから、こんなデコレーションには事欠きません。

 クリスマスカードのやり取りは、日本の年賀状とちょっと違いますね。時節のご挨拶に変わりはありませんが。日本の年賀状は新年になってから到着しますが、クリスマスカードは12月に入るとすぐ届きはじめます。これが新年までダラダラと続きます。こんな風に表現するとオランダ人から叱られそうですが。年賀状に比べて数が多いという意味ではありません、もちろん個人差もありますから。その届いたクリスマスカードを部屋の飾りのようにリビングルームの最も目立つ壁かドアの一カ所に纏めて飾り付けます。その飾り付けのための道具も売られてますし、またそれを美しく見せるための工夫も大事です。つまりこれも重要なクリスマスデコレーションの一部ですね。クリスマスカードって、原色のあでやかなものが多いですよね。この届いてからのカードの扱いを考慮に入れると、何故クリスマスカードがああなっているかご理解いただけると思います。ある時期からファンシーな開くと何か飛びだしたり、音楽が出てくるものが出回ってますが、部屋の飾りには役立たないですね。何かの台紙や幅の広いリボンのようなテープに貼付けて、それを壁からぶら下げるように飾りますから。ははは。

 イネケの誕生日と関係ないじゃん、と思わないで続きを読んで下さい。まだまだカードのことを書きますから。大部分のオランダ人にとって、クリスマスはホントに一年中で一番大事なこと、時期です。それこそインテリア・デザインの祭典とか、競演と言ってもいいくらいのことになります。もちろんクリスマス専用のテーブルクロスとかナプキンを用意したり、重要な客でも来なければ絶対に使わない家宝の銀食器をこの時に使ったりね…。年に一回しか使わないと掃除が大変なんですよね〜、銀製品って。あっは。つまり、この時期の飾り付けに命を賭けていると言ってもいいくらいの方もいらっしゃるのね。

 カードってどんなに趣向をこらしても同じ人から届くと毎年何らかの共通点があるものです。で、長年いただいている方にランクづけが出来ます。カードにおいてだけですよ。一番期待している最上のカードはもちろん一番目立つ最良の場所に飾り付けられます。遅れてもその場所は空けてあります。まあ、クリスマスの当日に最良の状態になるように計画をたてるわけですね。悪くはないですよ、いや楽しいですよ。こういうの見てるの。私の趣味ではありませんが…。実のところ私にはうるさすぎます、あの種の飾り方。

 で、イネケの話に戻しますね。イネケは版画家です。色を使うことに至上の喜びを感じるタイプのアーティストです。でも、彼女が自身の作品にいくつかの原色を使っても決してうるさくはなりませんし、いつでもどこか涼しげです。こんな感性は幼少のころに既に持ってますよ、プロの作家になるくらいの人ですから。こんな統一感もなく届いたクリスマスカードを飾って喜ぶ訳がない。クリスマスカードにも送った人にも罪はないですよ。おまけにクリスマスが嫌いになった最大の理由ですが、彼女は小さい頃からまともにバースデーカードをもらったことがないそうです。オランダではバースデーカードもクリスマスカードと同じくらい大事なものです。彼女への誕生祝いは、いつでもクリスマスカードの追伸みたいに、ついでに書かれていたそうです。それを見る度にうれしさや悲しさを感じるより、腹を立てたそうです。それがず〜〜と続いたそうです。おまけに両親の家業が肉屋さんです。クリスマスから年末と、その時期は一年で一番忙しい時で、誕生祝いも単独ではやってもらえなかったそうです。恨みがあるそうです、クリスマスには。あっはは。

 で、もう一つ。生家が肉屋を営んでいた関係で魚と野菜に対するあこがれが強くなったようです。彼女は日本で10回以上の個展を開催しております。東京では青山の大きな画廊での日本人彫刻家と組んだ2人展1度だけです。あとは関西です。理由がありますね。京都です。初めての個展のおり、京都を訪ねてそれこそカルチャーショックの極みみたいなものを受けたそうです。その折に食べた京都の食い物にも。京都の野菜の食べ方、出し方ね。それと魚。これは関西全体に広げて考えてもいいみたいですが。私と彼女がそもそも近づきになったのは、亡くなった友人のヨープさんを通じてです。神戸市とロッテルダム市は姉妹都市です。港ですね、関係は。ある年神戸市とロッテルダム市がアーティストを2人づつ交換しあったのです。その時の一人がイネケでした。他の一人はピアニストでした。その2人のアーティストを主賓として、公式のパーティーをヨープさんが開催したときに私も神戸へ出かけまして、そこでお目に掛かって以来の付き合いです。

 まあ、オランダに住んでからさらに親しくはなりましたが。これは私の料理を通じてです。なにしろ料理する甲斐のある方です。ものの味を解ってくれる方です。味の純度を上げるためにやったことをしっかりと受け止めた食べ方が出来る方。別に品よくおちょぼ口で、ナヨナヨした食い方なんかする人じゃないですよ。食い方はけっこう豪快です。でも美しい食べ方です。箸の使い方もきれいです。

 今まで彼女は自分から何が食いたいと、私に話を持ち込んだことはありません。そんな彼女が今回は Monk'sFoods=精進料理を食べたいと言って来ました。初めてですね。招待した時しか来なかった彼女が料理をしてくれと言ってきたのは。手術に対する不安ですかね。で、材料を仕入れるにはオランダでは季節が悪いですが、可能な限りの精進料理をクリスマスにやってみようということになりました。恐らく買い物に一週間くらいかけます。あちこちへの青空市、中華街、日本食店やトルコの店をブラブラと犬を連れて歩き回るつもりです。まあ、好きなことですから苦にもなりません。

 一緒に招待するのはワイン商を営むペーターと英国人の奥方モリーン。これがまた素敵なカップル。奥方のモリーンとオランダ語学校で一緒に学びました。このカップルは香港で働いている最中に知り合い結婚しました。このカップルのことはまたゆっくり書いてみたいですね。エダム市という赤玉チーズで有名なオランダでも、もっともチャーミングな小さな街に住んでいます。彼らの家はエダム市のモニュメントに指定されてます。200年以上経った旧い家です。そんな家ですから、かなり不自由な作りですが、それに勝る魅力がありますね。この辺のことも含め彼等のことはいずれ書きます。

 え、私のところ? Xmasツリーもクリスマス・デコレーションも飾りません。人目に触れる出窓には趣味のいい(笑)備前や丹波立杭の焼き物が並んでます。別の窓にはトニーが居座る場所を設けてあります。美しい犬(爆笑)ですから、最高の置物になってます。クリスマスイブから3日間くらいはキャンドルを灯しますが、それ以上のことはしません。むかし Xmasデコレーションを一度だけ飾ったことがありましたが、二日目にはもう嫌になりました。骨董・絵画で静かなダイナミックさを取り込んだ雰囲気にしてあります。Xmasデコレーションとはどうにも融合してくれません。

 オランダのクリスマスの一部、カードにまつわる話をお伝えいたしました。こんなこと意外と知られていないんじゃないかな〜。


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