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2003/11/01 
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トニーとヨープさん
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 「トニーの物語」を発展させる上で、契機になることがありました。先週のことですが、ちょっとおふざけである方と彼のHPの掲示板で、発売になったばかりの新しい MacOSX10.3 Panther の付録のことでやり取りしてました。付録は皮革製 (写真では皮革製に見えましたが、実際には金属製でした) の タグ でした。きれいな Mac のリンゴマークと OSXのX をあしらったタグです。犬の首輪にぶら下げたり、キーホルダーのいい飾りになると話しをしました。

 契機といいますのはこのタグがもたらしました。「トニーの物語」を書こうと決心した時点から、トニーにまつわる「或ること」で、書くか、書かざるべきかで悩んでおりました。やはり、悩んでいたことに決着をつける時期が来ているみたいです。このタグがこの「或ること」を連想させ、決心をせまりました。「トニーの物語」を書く上で避けられない部分を書くことにします。あまり触れないで書けないものかと考えていたのですが。まあ、いずれ書かなければとは、思っておりましたが....。それは以下のことです。

 別に忘れた訳ではありませんが、いま私が使っているキーホルダーの本体は皮革製です。これは4年前に亡くなった友人 ヨープさん が病気で歩行が困難になってきた頃、彼の誕生祝いに贈ったステッキにぶら下がっていた皮革のタグでした。彼にはタグは不要とのことで、私がもらい受け改良しました。今ではかすれてしまいましたが、ダックの絵が描かれておりました。英国製・ヒッコリーの美しいステッキでした。あの時は高価なものをプレゼントしました。でも大変な喜びようでした。いま、私が面倒を見ている「トニー」は彼の犬でした。彼のためにトニーの訓練は私が引き受けましたが…。彼が亡くなり、私がトニーを引き取りました。。。 タグのやり取りから、改めてこのことを考えておりました。

 このヨープさんは1980年代半ばから神戸にあった「オランダ総領事館」の「総領事」を勤めておりました。この領事館は阪神大震災後、大阪へ移転しました。在職中は関西でとても人気のある方でした。独特のユーモアとその温厚さで。彼は1980年代後半の「関西日蘭協会の副会長」を勤めてましたね。「会長」は松下幸之助さんでした。当時すでに松下さんは大変ご高齢で、公的な場に殆ど出席されませんでした。でもなぜか、この「日蘭協会」の会合には最後までご出席なさりたかったようです。松下さんにとって最後の「この会合」への出席は、このヨープさんの「関西日蘭協会」副会長就任のセレモニーのためだったと記憶しております。NHKが松下幸之助さんの久々の公的な場への登場と大きくニュースで取り上げてました。

 このことはヨープさんにとっても大変な思い出だったようで、その時の写真を1つのアルバムに納めて、大切にしておりました。私は悪い奴でして、ヨープさんに、この「副会長の職」は別にヨープさんでなければならなかった訳ではないね〜と、ジョークを飛ばしたことがあります。関西地区の「オランダ総領事」に就任しますと、自動的にこの「関西日蘭協会の副会長」に就任とあいなりま〜す。いや、拒否はできるのかな? あっは。

 で、5年半の任期を終え、1990年12月に引退、オランダへ戻りました。あ、書き漏らしましたが、神戸の前の5年間は、東京・オランダ大使館で自国のセールスマン(外交官)として優秀な業績をあげたそうです。帰国後は家族もなく、アムステルダムに居を構え悠々と一人暮しを始めました。

 引退後3年くらいでパーキンソン病を患いました。病気の進行で身体の自由が徐々に失われていきました。外出をあまり好まなくなりました。医者は彼に身体を動かすよう外出を奨めましたが、目的のない外出、散歩を好まない方でしたから、家に留まる時間が長くなりました。そんな中で私が彼に犬を飼うことを奨めました。出来るだけ楽しい小型犬を。そんなのを飼えば散歩にも目的が生まれるだろうと。訓練は私が引受けるからと。候補に挙げたのは、時々公園で見かけるチャーミングな小型犬、ケアン・テリアでした。

 このヨープさんのことでは、トニーを飼うにあたり、或はトニーを飼ってから愉快なハプニングがたくさんありました。特筆すべきは、彼が「犬を恐がる人」だったことです。このことでたくさんのエピソードを生みましたね。いろいろ書けますね〜。ですから、このヨープさんのことを書かずに避けて通りますと、「トニーの物語」はやはりつまらない物語になってしましそうです。トニーの人(犬)格形成に大きな影響を及ぼしたのがこのヨープさんです。私ではありませ〜ん。

 それと、トニーが自分で言っていたように、トニーはなかなか「男前でかわいい」外見を持っております。(爆笑) で、彼はそれを武器に自身のブリーダーや他のブリーダーに同行してヨーロッパ旅行に度々出掛けておりました。「え、何それ?」と言われそうですが、いわゆるサーキット旅行みたいなものです。「ドッグ・ショー」の常連でした。9ヶ月くらいから2歳になるまでの1年半弱。月に1回くらいのペースでした。96年5月にコペンハーゲンで開催されたヨーロッパ選手権ではユース・クラスで5位でした。この時1年1ヶ月。周囲の期待を一身に集めた「オランダの星」だったのですがね〜。

 でも、1年6か月を過ぎた頃からその強い性格が発展してしまいまして、他の犬を脅すことに快感を見いだしたようです。ショーリングに登場した時から終わるまでず〜〜っと、他の犬に向かって「ウ〜っ、ウ〜っ」と唸りつづけます。で、気の弱い犬は吠え始めます。トニーは決してそんな時には吠えない犬です。ただ「ウ〜っ」だけ。ショー・リング内で吠えることは殆ど禁止されております。リング内はもちろん犬だらけです。犬って一頭が吠え始めると連鎖的に他の犬も吠え始めますよね〜。吠えないように訓練されたりしてますが…。

 こんな風に「ショー・リングの人と犬」を混乱と恐怖に陥れることしばしば、主審から退場を2回(3回だったかな)くらいました。まさに、ジャパニーズ・マフィアとなりましてね。これでは続けるのは無理と諦めた次第です。ヨープさんも私もそんなツアーに同行しておりませんでしたから、オランダでショーが開催された時しか見てません。私が見た数回のショーもかなり酷いものでした。ブリーダーに聞いたら、こんなのは序の口で穏やかな方だとの「苦笑い」を伴うご説明でした。あははは。

 ざっとその頃の状況を書いております。2、3「トニーの物語」を連載したあとでこの頃のエピソード、育った環境の話しを加えシリーズを進展させていこうと思っております。これはメモみたいなものです。これを書いておきますと、ここから面白いエピソードが拾えます。もう一つ愉快なエピソードのさわりを。

 「トニー」と名前をつけたのはヨープさんです。ヨープさんの日本時代のとても親しい友人で、大阪のオーストラリア総領事館の総領事をしていた方がいらっしゃる。実はこの方もトニーさんです。この愉快な犬に親友の名前をつけちゃったのです。このオーストラリアンのトニーさんは大変なドライ・ユーモアの持ち主でして、まわりの人達から大変な評価を得ていました。彼の英語はパーフェクトなクイーンズイングリッシュ、私にはまったくオーストラリアなまりを認められませんでしたね。勿論、幼い頃から英国の学校で学んでおりますが、英国人より美しい英語を話し、書きます。ドライ・ユーモアとは皮肉もたっぷり含まれますね〜。決していつも柔らかい笑いだけで済まないものです。犬のトニーにこの名前が悪かったのかと、のちのちヨープさんと私は笑いながら話しあったものでした。

 
このトニーさんがオランダにヨープさんを度々訪ねてくれました。犬のトニーがこのトニーさんを大変気に入りましてね…。トニーさんが話をしている最中にも「遊んでくれよう」とうるさくまとわりつくのです。あまりうるさいので、それを止めようと私が「トニー!」と怒鳴ると、人間のトニーさんが「ギョッ!」としてるのに、犬のトニーは知らん顔をしているとかのエピソード・・・。

 「犬のトニー」の育ったバックグラウンドの説明を物語ごとに少しづつ積み上げて行くのはなかなか面白い作業ですが、漏れますね〜、けっこう肝心なことが。自分では勝手に読者に分かっていただいたつもりで書いていて、後で読み返したら「こんなこと分かる訳ないじゃん」というのが時々出てきます。で、あわてて説明を加えたら前後だけではなく、全部書き換えなきゃいけないことになったりします。書くというのは結構な作業ですね。甘く見てるつもりはありませんが。それと自分の中だけでは解決出来ない問題を提示しちゃうこともあるみたいです。全く意図などしていないことで。それに後で気付いた時は嫌なものですね。本当に書ける人たちはその辺のことも十分考慮していらっしゃるのでしょうね。

 このヨープさんの思い出の雑文をここに発表しておきますと、上に挙げたこと(状況説明等)の手抜きが出来る、或は書き漏らしても読者にそれなりに理解して頂けるからでしょう、と指摘されそうです。鋭い! 実はそれが目的なんです。あっは。10/30の手記にこの雑文の基になるメモを書きました。それを発展させました。手記本来の目的です。とても便利に手記を使っております。

 この雑文がなくても「トニーの物語」を楽しくお読み頂けるよう努力いたします。いま私が言えることはこれくらいです。あと2月で元旦を迎えます。どんなことになりますか、楽しみです。=これ恐いという意味です。

 では、頑張ります。来年元旦からの「トニーの物語」をご期待下さい。


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