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2004/11/11
最近トニーは 最近トニーはとてもいい子になってしまいました。これは8月くらいから見られたのですが、10月初旬にあった或る出来事のあと、その傾向を強めております。私の言うことをほぼ100パーセント理解し、私が静かに与えるコマンドに従順に反応するようになっています。まったくトニーらしくなくなり、つまらない犬に成り下がっております。正直なところ、ちょっとガッカリです。(笑) 他のコラムや手記などに書きましたが、この8月末くらいから眼をふくめた私の体調がひどく悪くなりまして、だいぶ苦しい思いを致しました。今年は春から体調が芳しくなかったのですが、あまり回復もせず夏を迎えました。おまけに迎えた夏が日本と正反対の冷夏で、8月に少しだけ高温の日が続いた程度の、なんとも寂しい夏でした。天候や気候に左右されることのほとんどない私ですが、この春に引き受けた仕事との相性の悪さから、ストレスに悩まされたのが一番の原因だったようです。 9月が最悪でした。トニーとの外出も回数が減り、散歩の距離も時間も短くなりました。この間、食欲が湧かないのが一番つらいことでした。私の場合、食欲がありさえすれば少々辛いことでも乗り切る自信はあるのですが、体力/スタミナが不足してきますと如何ともしがたいことを思い知らされました。 この9月の体調の悪いときにトニーが思わぬ行動を見せました。疲れからベッドに横たわっている時間が長くなりました。トニーに向かって「あんまり散歩にも行けないし、構ってもやれなくて悪いなぁ」と声にして話しかけたりしていました。こんな弱った私がベッドに横になると、必ず私のベッドルームへ来て、ベッドの下にもぐり込んで、静かに眠るようになりました。 以前なにかに書きましたが、私のベッドルームの奥にはシャワールームがあります。トニーはシャワーが大嫌いです。というより水が嫌いなのです。で、私のベッドルームへは殆ど来たがりませんでした。それが私のベッドの下にもぐり込んで横になるようになったのですから、驚きです。弱った私を監視し、護っているつもりなのでしょうかね。自分の欲することは、どこまでも実行したがる典型的なテリアのトニーが、思わぬ行動を取ったのに驚かされ、また感心もしました。思いやりがこんなにある犬とは考えてもいませんでしたからね。 私がベッドを離れて居間に移ると、直ぐに飛び起きて一緒にきます。やはり居間の方が好きなようです。散歩に出ても私があまり走れないのを知っているようで、いつでも私の近くに居るようにしています。以前でしたら他の犬を見つけると、直ぐに飛んで行ってしまうのが常でしたからね。 そんな時期を過ごしている最中に「樹木草花・木いちご」に書いた ベリー類のおいしさ を発見しました。それを契機に徐々に食欲が戻ってきました。食欲が戻れば回復は速い私です。10月の初旬にはどうにか元気が戻りまして、トニーとの散歩も距離を伸ばすことが出来るようになりました。トニーは喜んでいるようです。長距離の散歩を再開しても、以前ほど他の犬を追って私から離れることが少なくなりました。少々遠くまで走って行っても、呼べば即座に戻ってくるようになりました。これはこれはという感じで、楽でいいなぁ と喜んでおりました。 もっとも戻って来るにしても、トニーは私目指して走ってくるという感じはありませんけどね。普通、犬とは飼い主のところへ戻るとき一直線でくるものです。名前を呼ばれて戻るのが嬉しいとでもいいますか・・。でもトニーの場合は戻ってくる最中も、私の周りに彼の興味の対象になるものがないか観察しているようです。私のいるあたりに到達する迄に、ほぼ100パーセントの確率で何か興味の対象を見つけています。で、私に眼もくれず、目標目指しそのまま全速力で通過していきます。これはパピーの頃からです。トニーと付き合い始めて戸惑ったのがこのことでした。 私が弱っているときに影を潜めていたトニーの習性が戻ってきました。これはこれでいいものです。トニーまでなんとなく元気がなくなっていましたからね。私の体調は順調に戻ってきます。それにつれトニーの 我の強い習性 もしっかり戻ってきました。10月も半ばに差し掛かるころに事件がありました。 その日は仕事で夜のトニーの散歩が遅くなりました。かれこれ夜中の3時(午前)に仕事を終え、外出しました。近くのプールの駐車場は夜でもけっこう照明が明るく、もちろん駐車している車も殆どありませんからいい運動場です。ボールを投げてやったりして、遅くなった散歩への罪滅ぼしです。じっと文句も言わず待っていましたから。一通り運動を済ませてから、運河の堤防沿いを歩きました。ここは自転車道ですから、夜も照明があります。私も長時間コンピュータの前に座ったままでしたから、身体の筋肉をほぐすのに好適な運動です。40〜45分くらいの散歩のつもりでした。 10月半ばに差し掛かっているのに好天が続き、気温も下がらず気持ちのいい夜でした。調子に乗って私の家の裏手にある 蒲の穂 のある池まで行き、その畔を通って帰ろうとしました。その部分は照明がありません。雲がかかっていたようで真っ暗でした。家まで5〜6分の距離です。池の畔で気が付きましたが、トニーが近くにいません。このところトニーは散歩中、いつでも私の近くにいてくれたので楽な思いをしていましたから、トニーにあまり注意を払いませんでした。名前を呼んで待っていても現れません。どのあたりでいなくなったのか分かりません。とりあえずいま来た道を戻りました。運河の堤防沿いの自転車道へ。陽気のせいかヒート・ピリオドを迎えた雌犬が何頭か近くにいて、散歩中に臭いを嗅ぎまくっていました。別に珍しいことでもありません。 見つかりません。30〜40分ほど探したあとで、先に家へ戻っている可能性を考えて戻りました。いません。まあ、普段歩き慣れている場所ですから、トニーは家へ帰る道はわかる筈です。いままでにも30分くらい姿をくらましたことは何度もありますから、まだほとんど心配するほどのこともありませんでした。家のドアをすこし開いておき、居間で待ちました。1時間、2時間、3時間と経過していきますが姿を見せません。その間何度も外へ出てみましたし、思い当たるあたりを歩き回りました。前夜から一睡もしていませんが、まったく眠気を感じませんでした。 太陽が出て好天になりました。土曜日でした。トニーを探して歩きまわりました。近くにある交番へ出掛けましたが、土曜日で開いてません。何のための交番だ! 別に行方不明の犬のためとは言わないけど、週末こそ開いていて欲しい機関じゃないかしら・・。ご近所の方に徹底的にご報告しました、トニーがいなくなったことを。殆どの方がトニーを知っくれていますから。ことに子供たちに。「見かけたら連れ戻して下さい」と、いうことね。 その土曜日は何もニュースはありませんでした。私の取った行動は公的機関への働きかけ。まず、動物の救急活動をしている機関 Dieren Ambulance。この名前の大きく書かれた救急車が街中を走ってます。ハウスアニマルだけでなく野生の動物も含めた救急活動をしている機関です。飼い主が見当たらない犬猫を発見した人の大半がこの機関へ連絡して来るのだそうです。街中でよく見かけますし、電話番号も電話帳に大きく出てますから。それと日本の 保健所 のような飼い主のいなくなった犬の収容所。野犬狩りというのはオランダにはないそうです。野犬というものが存在しないみたいですから。警察へも。それと動物保護団体。 こんな機関についての知識を私はもちろん持っていませんでした。友人のテオに連絡をして対処方をたずねたところ、別居中の奥さん、マリンケがそのことはプロ並みに詳しいので電話ををしてみると言ってくれました。しばらくすると彼女から電話がありました。久しく彼女とは顔を合わせていませんし、電話でも話をしてませんでした。彼女は 猫派 です。でもテキパキと連絡すべき機関を全て教えてくれました。土曜日でも連絡できる機関ばかりです。電話でOKということで。 連絡をしてみて驚いた(嬉しかった)ことは、こんな機関で働いている人達ですから本質的に「動物好き」ばかりなのですね。必要事項を聞きながら、励ましてくれるんですよ。「絶対に見つかるから、あまり心配しないように!」と。「事故に会っていたら・・」と言ったら、「車との事故なら、経過した時間が長いし、連絡が何処かに必ず入っている筈である。連絡が入っていないと言うことは、事故は考えられない!」と断言してました。機関同士で状況がわかるシステムになっているそうです。これはスゴイですね。人間並みの扱いです。警察さえも動物を担当する人は違ってました。丁寧という訳ではありませんが。 でもトニーは戻りません。翌日の日曜日も何の進展なく過ぎ去りました。体力が大分戻った時期でしたから、まだよかったかも知れません。金曜日から土曜日の深夜までまったく睡眠を取りませんでしたが、以降は睡眠を十分取るようにしました。あれだけワンパクなトニーですが、行方不明になったのは30分くらいが過去何度かあっただけです。今回はまるで違います。 いま住んでいる家に引っ越して来た当初、トニーは 蒲の穂 の池で何度か痛い目に遭ってます。これは伸び過ぎた野草/雑草を刈った直後に起こりました。刈った野草/雑草が岸の水際に浮いているのです。池で水を飲もうとして、その上に脚を掛けてしまうとそのまま水に嵌ってしまいます。5回くらいありました。小さな犬ですし、やっと足が底に着くくらいの深さなんですけど、池から出られなくなってしまいます。コート(毛)が分厚く長いテリア種ですから、水分を含んで重くなってしまうのでジャンプもままなりません。 一度、気が付かない中に姿が見えなくなって「また何処かへ行ってしまった、しょうがない奴だな〜」と思い探しました。昼間のことでしたが、見つかりません。30分ほど探しました。いなくなったあたりに戻り、入念に見て回っているうちに岸の近くに浮かんでいる枯れ草の固まりが大きく動いているのを見つけました。「トニー」と呼んでも返事はありません。枯れ草の固まりをかき分けたらトニーの濡れた顔がありました。すぐに引っぱり上げてやりました。こんな時にも 吠えない犬 なのです。花火や雷にあれだけ吠えるのに。「こんな時には吠えろ〜!」と命令を下しましたが、それ以降も吠えません。 車の事故のことは心配しませんでしたが、この池に嵌るケースを一番恐れました。夜中でしたからね、トニーの姿が見えなくなったのは。何度も何度も池の畔の枯れ草をかき分け、ひょっとしてもう水死体になっているかも知れないトニーを探し続けました。一人暮らしで、トニーが唯一の同居者です。大切な仲間です。いなくなって寂しいとか、悲しいという感情はもちろん出てきましたが、現実から眼をそらす気はありません。死んだのなら死んだで、トニーの死体を見たいのです。人生で種々の受け入れ難い出来事に遭遇しても、なんとか切り抜け生きてきました。ショックはショックなりに受け入れる自信はあります。でも、トニーが行方不明のまま時が過ぎてゆくのは我慢なりませんでした。 月曜日になりました。午前11時頃に 動物救急センター が「トニーが或る方のもとに保護されている!」との電話をくれました。私のところから15キロくらい離れた地域に住む女性です。その方の電話番号を教えてくれたので、早速連絡を取りました。 犬を飼っていない筈の家庭の子供が、犬をラインに繋いで遊んでいるので、不審に思い尋ねてくれたそうです。サイクリングの最中に人なつこい犬に道で出会ったけど、飼い主が居ないようなので、家へ連れて帰ったとのこと。両親に内緒で自分の部屋に隠して置いたとか。その子の気持ちは分かるので、怒る気になれなませんでした。実は、私も子供の頃にやったことがあるのでね。 その子がトニーを見つけたのは、私の家からさほど遠くない普段の散歩コースでした。運河沿いのサイクリングコースで、近くに民家はありません。トニーは自転車のバスケットに収まる大きさです。 早速引き取りに出掛けようとしたら、私の家の方向に来なければいけない用事があるので、トニーを届けて呉れるとのご親切なオファー。至れり尽くせりです。^^。1時間後にはトニーは私のもとに戻りました。お礼をしようとしたら、きつい調子で「Dat hoeft niet!! =不要」と怒られてしまいました。こんなとき、オランダ人はホントに謝礼を受け取りません。執こく勧めると気を悪くして怒りだす人が多いです。あ、もちろんこの方も愛犬家で、自宅に犬がいるそうです。メス犬で、トニーがひどく気に入った様子で一緒に遊んでいたとのこと。 トニーは私とはほぼ3日振りの再会ですから、喜んで飛びついてきました。まあ、腹を立てていた訳ではありませんし、ホッとしてます。むしろ私の不注意と自分を責めてましたから。 犬の税金を払うと、税務署がステンレスのキレイなタグを呉れます。それを首輪にぶら下げておいたのが役に立ちました。IDナンバーが打ってあり、そこから身元がわかりました。 この 動物保護センター 以外にも、警察を含め5ヵ所に連絡を入れておきましたので、それぞれに電話をして「トニーが無事に戻った」ことをお伝えしました。先ほど書きましたようにみな公的な機関ですが、動物好きの人達の職場なのでしょうね〜、一緒になって喜んでくださいました。 ご近所の方々にも報告しました。皆さん喜んで下さいました。ホントはどうか知りませんけどね。マフィア犬が舞い戻ったと思っているかも知れません。^^。 これ以降、トニーはとてもいい子を演じております。いつまで続けるつもりなのでしょうか。 Brug43 |