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2004/10/15
動 物 園 −ブリッジ休暇 2− 第11話ではホテルやブリッジトーナメントの説明に忙しく、僕の活躍を書くチャンスがありませんでした。でも考えてみたら、あの日は別に書くほどのことも起きなかったし、たまには Brug のことを書いてあげることにしました。Brug が大好きな「ブリッジ・トーナメント」に参加した休暇中のはなしだからね。^^。 翌朝9時過ぎに、テオがドアを大きな音でノックしました。昨夜はブリッジの表彰式のあとディスコで騒いでいました。部屋に戻ったのが遅かったので、朝の起床はゆっくりと決めてあったのに…。Brug がベッドからやっと這い出し、眠そうな顔でドアを開けました。キレイにヒゲを剃り、珍しく髪もブラッシングしたテオが立ってます。ニコニコ、さわやかな顔をしてます。僕はドアを開けた途端に彼に飛びつきました。 「朝食のことを忘れてた。10時までに終わらせなければいけないことになってる!」と言ってます。僕の散歩用のラインを持って「トニーを散歩に連れていくから、その間に洗顔を済ませるといい…」と言い残して連れ出してくれました。僕はシャワーを浴びてるヨープさん達を見るのも嫌いだから、喜んで出掛けました。シャワーは、音も嫌いです。^^。 ライン川沿いを歩きながら、テオが「ヨープさんはこのヘルダーランド生まれだけど、僕もヨープさんの生まれた街の数キロ先、ドイツとの国境近くで生まれたんだよ!」と言ってます。テオの生まれたところもやはりライン川の近くだそうです。アムステルダムに住んでからは十数年と言ってましたから、Brug なんかと同じくらいです。数年前テオに初めて会ったあとで、Brug がヨープさんに「テオのオランダ語はドイツ語のように響くときがあるけど…」と言ってました。ヨープさんが「出身地がドイツ国境に近く、あの地域の人達の "g" の発音がドイツ語と殆ど同じだから…」と説明してました。ヨープさんの生まれた地域の人達の "g" は普通にオランダ語の発音だそうです。 僕はショーに出たりしてたので、ドイツにも何度か行ってます。別にヨーロッパ中どこへ行ってもあまり変わらないみたいです。へへ。 20分ほどでホテルへ戻ると、ヨープさんと Brug は眠そうな顔はそのまま、朝食に出掛ける用意が出来てました。Brug が「時間がないから、トニーの朝食は後で…」となり、階下の朝食ルームへ出掛けました。昨夜と同じメンバーが殆どいます。皆さん眠そうな顔をしてます。^^。ラブラドールの紳士のテーブルが空いていたので一緒に座りました。このメスのラブラドールはホントに行儀がいい。静かにテーブルの下でじっとしてます。で、僕も挨拶だけして見習いました。彼女も朝食はまだなんだって。他のことは別にして、僕は食べ物の訓練だけはしっかり受けているのです。小型テリアとしては例外的に食べ物に対するマナーがいいそうです。ホント、これ。皆が誉めてくれます。これだけだけどね〜、誉めてもらえるのは。^^。 他にも昨夜のブリッジに参加しなかった女性群が、ヨープさんを求め同席してきました。ご主人同伴です。なんか皆さんギリギリの時間まで寝ていたようです。ヨープさん達がご主人と紹介しあってます。いいね〜、こんな風に和気あいあいで初めての人同士が朝食のテーブルを一緒に囲めるのって。ヨープさんは嬉しくてしょうがないようです。さっきまで眠そうにしていたのが、輝くような笑顔に変わってます。Brug もすっかり眠気はなくなったようです。 ラブラドールの紳士が「動物園」の話を始めました。テオも詳しくて、お昼前くらいに出掛けることに決まりました。動物園の中には美味しいランチを出してくれるレストランがあるそうです。あ、ホテルの料金にランチは含まれていません。レストランはありますが、別料金で自前での支払いになります。僕は「動物園」が何か知りません。皆が一緒に出掛けることになったのは分かりました。10人くらいの参加です。 色々な種類のパン、ハム/ソーセージ、チーズの朝食を済ませて部屋へ戻りました。テオも僕らの部屋へ来て過ごすことにしました。こちらの方がゆったりしているし、ライン川に面したバルコニーへのガラス・ドアからの景色もいいしね。ドアの横には椅子4つとテーブルが置いてあります。2月ですから、外はやはり寒いようです。僕には最高の気温なんだけどね。冬にホテルに泊まるのはどうも苦手でね。僕には暖房が効き過ぎてます。ヨープさんや Brug は普段から自分の部屋の暖房をあまり効かせないようにしてます。涼しいくらいの方が快適なんですって。2人とも犬向きの人種です。あっはは。 僕に朝食をくれました。僕の知らない「動物園」へ出掛けるのだから、しっかり食べておかないとね。と、食べ終わるのを待って Brug がテオとヨープさんに「動物園じゃ、トニーは連れていけないね?」と訊きました。ヨープさんもテオも「うん、ダメだ!」と即答。「わっ、それはないんじゃない!」と、僕。知らないところへ出掛けるのが大好きな、勉学意欲旺盛な僕だし…、後学のためにも連れて行って見学させてよ!と、皆に飛びついてねだりました。でも、冷たく「トニーは部屋で留守番!」ですって。チェッ!つまんない。でも、僕はそんなとき、性格いいから不貞腐れたりしないよ! 3人は11時半くらいに僕を残して出掛けて行きました。最後まで何とか連れて行ってもらおうとしましたが、ダメでした。ヨープさんのベッドの下にある、家から持って来たクッション入りのバスケットに入って寝ることにしました。ウトウトしていました。 40分くらい経った頃に Brug が戻って来ました。部屋の鍵をガチャッと鳴らしドアを開け「トニー、動物園へお前も入れるぞ!」と、大声でどなってます。散歩用のラインを首輪につけ直ぐに出掛けました。ヨープさん達とは動物園の中で待ち合わせしてあるらしい。 動物園の入り口で Brug は係の人に半券を見せて「こいつに世の中には色々な動物がいることを見せてやりたいからね〜」なんて言ってます。係のおじさん、ニコニコして頷いてました。Brug がここへ来る途中で説明してくれたけど、動物園に入ってから犬を連れた家族を見つけたそうです。それを見つけたヨープさんが、自分でホテルに戻って僕を連れてくる〜と、言い張ったそうです。だったら Brug が走れば数分で行けるからと、この係の人に説明しておいてホテルへ走って戻ってくれたそうです。やっぱりヨープさんだね! 動物園の案内にある地図を見て、ライオンのいるところを目指しているそうです。ライオンって?と訊こうかと思いましたが、説明を聞いてもどうせ分からないだろうと思い止めました。先ず見ることです。Seeing is believing! だね。「百聞は一見にしかず」は犬の世界でも同じです。^^。 水で囲まれた岩山みたいになっているライオンの巣窟を見下ろすところに、ヨープさん達がいました。寒いからライオンは殆ど穴の中に居るみたいと言ってました。何頭か外に出ていたけど、みなメスらしい。大きいだけで、どうってことない動物です。ヨープさんが「猫の仲間だぞ!」って説明してくれたけど、ぜんぜんピンときませんでした。テオも説明してくれます。「ライオンは暖かくないと活動的じゃないし、どちらかというと夜行性の動物で、いまは寝ていても不思議じゃないからね」ですって。テオはホントに説明が上手です。 僕が驚いたのは「キリン」を見たときです。最初は檻の脇から見たのだけど、何か脚のようなものが動いているだけでした。テオが近すぎると見えないからと、檻から離れたところへ僕を引っ張っていって抱き上げてくれました。テオが指差す上方向へ眼をやったら、首の長い穏やかなキリンの顔がありました。で、上から下へ眼を移してやっと全身を見ることが出来ました。とても格好良くて、キレイな動物だね〜。テオが「こんなのがアフリカのサバンナを群れをなして走り回っているんだぞ〜!」と説明してくれました。子供も何頭かいて、小さいだけでお母さんやお父さんと同じ姿をしてました。ヨープさんがテオと僕のところへ来て「そうか、お前の気に入ったのはキリンか!」とキリンをまじまじと眺めてます。Brug が「トニーは穏やかな動物が好きみたいだね」と言ってます。僕にはよく分かりません。まだ、そんなにたくさん見た訳じゃないしね。 そのあとペンギンを見ました。丁度食事時で、何十羽のペンギンが飼育係のおねえさん目指して大移動していました。これは可愛いね〜。近くの池で見る野鳥類とは全然違う。鳥だというのは分かるけど、全く違った印象だね。こんなのとなら遊んでみたいね。あっちが厭がるかな。^^。 このあとちょっと怖かったのは「トラ」です。これは檻の中を悠々と歩いていました。一度だけ低く「ガォーッ」と吠えました。別に僕に向かって吠えたのではないけど、全身がブルと震えてしまいました。脚がすくんだみたいで身動き出来なくなっちゃいました。こんなのと喧嘩は絶対にしたくないね。と、思っている最中にヨープさんが「トラも猫の仲間だよ」と説明してくれました。「え!! ふ〜〜ん!」と驚くことばかりです。なるほど、家の近くで出会う猫に「もの凄く強くて怖い」のがいるのに納得しました。大して大きくはないけどね。そのあと「豹」のような見た目にも「大きな猫」と分かる何種類かの動物を見ましたが、トラに対したときのような恐怖心は抱きませんでした。 あとアザラシやオットセイも面白かったけど、やはり僕には「キリン」と「トラ」が最も印象に残った動物です。昼食をレストランでゆっくり済ませてから、もう一度「キリン」を見にいきました。やっぱり僕の一番のお気に入りです。トラの檻の方向へ向かうのは拒否しました。1度で十分です。一緒に歩いた人達が「トニーは他の動物に向かって吠えるかと思ったら、全く吠えない犬なんだね〜」と感心してます。レトリーバの紳士が「吠えるのは弱いからだし、吠える犬だったら動物園に入れる訳にいかないよ。その点からもトニーは偉い!」と誉めてくれました。「トラに対するあの反応は、賢い犬である証拠!」だって。レトリーバはホテルで寝ているそうです。 ハイエナとかの犬族もいましたが、動物園にいる犬族はあまり冴えないのばっかりです。サイズも大して大きくないしね。近所に居る犬の方が種類も多いし、ずっと格好いいです。動物園とは犬を見に行く所じゃないんだね。犬は見る側に回るんだね〜。^^。 動物園を出るとき、係のおじさんに挨拶したら「動物に向かって吠えなかったみたいだね。もし吠えたら、係員がすぐに飛んで行って "お前" を外へ放り出すことになっていたんだぞ!」と、僕の脇腹を撫でながら言ってました。「うん、僕は吠えない犬なの。吠えるのは "雷と花火" にだけ!」と返事をしてその係のおじさんに飛びつきました。そのあと、おじさんが「オランダで犬が入れる動物園はこことあと一ヵ所しかないから、いい機会だったな〜」と説明してくれました。うん、ラッキーでした。 ホテルへ戻り、皆でカフェに座り込みました。メスのレトリーバも来ました。犬に親切なバーキーパーがタップリ水の入ったボールを僕らに出してくれました。カフェはとても暖かく、皆はビールを注文しました。ヨープさんは相変わらず「氷いっぱいのジントニック」です。このあと部屋へ戻って少し寝ることにしました。6時からディナーです。そのあと8時からブリッジトーナメントの第2日です。 めずらしい動物を見て回ったので疲れました。眠くなってしまいました。この休暇は次の「シェフ・コック」へ続きます。 シェフ・コックへ ≫ |