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2004/02/16
Nieuwe Meer 前編 小さい頃によく行った「Nieuwe Meer」という湖での真夏の話です。この湖は第4話の「愉快なオバさん」に少し書いた「Het Amsterdamse Bos」という広大な森林公園と接していますが、今日の話はその対岸で起こったことです。週末だけですが、あちらとこちらを行き来する小さなフェリーがあります。自転車くらいなら載せてくれます。2回乗りました。僕の船の経験はこの2回だけですが、2回とも気持悪くなっちゃいました。僕は船酔いするタイプみたいです。 この湖沿いには水遊びに適した砂浜と、それを囲むようによく茂った森とブッシュがあります。草原になっている部分もあります。砂浜にはいくつか大きなテーブルが据え付けてあり、天気のいい日には絶好のピクニック場です。ランチ持参でね。僕ら犬にも遊ぶことがいっぱいあるところです。車で30分くらいで行けるところでした。 以前住んでいたフラットの裏にある大きな公園は「犬のメッカ」みたいなところでした。大きな公園で、僕等は100パーセント自由に遊び回れます。あ、何故ここが「犬のメッカ」みたいになっているか、ちょっと説明します。何年も前からアムステルダム・センター地区の公園は犬禁止のところが増えているそうです。ドッグ・フリーの公園がなくなることはないみたいだけど、住民から犬に関する苦情が多く、市も頭を悩ませているそうです。 住民からの苦情とは「宗教的な理由」です。僕はあまりよく知らないけど「イスラムの国からの移民」が多く住んでいる地域でこの苦情が出ているそうです。イスラムの世界では、僕ら犬は「不浄の動物」なんですって。失礼しちゃうよね。で、猫は「聖なる動物」らしい…。つまり「不浄の動物」を公共の住民の憩いの場=「公園」に入れてはいけないという苦情です。あ、でも宗教的なことは前面に出さないで、彼等の子供が犬の糞や尿で病気になる可能性があるなんて苦情の理由にしてあります。本来のオランダ人からの苦情は殆どありません。部分的に禁止になっても、僕は別に構わないよ。まだ、入っていいところいっぱいあるし、郊外へ出れば完全に自由だしね。あ、それと犬好きのイスラムの人もたくさんいるんだよ。殊にトルコの人たちです。 で、犬のメッカのこの大きな公園には毎日何十頭もの犬が散歩に来ます。そこは僕の住んでいたフラットの庭みたいなものだったからね~。いつでも僕は家主みたいな気分でした。もちろん飼い主も一緒ですから、いつでも賑やかでした。気に入った仲間が揃った時は、お腹が空いても家なんかへ帰りたくなかったね…。そんな気に入った犬仲間と飼い主達がピクニックを兼ねて時々他の場所へ遠征するようになりました。こんな行事に参加する飼い主達って殆ど、いえ、全員女性ね。あ、ヨープさんと Brug を除いてね。ヨープさんはここでも女性軍にとても人気があってね。(微笑) 初めての遠征ピクニックです。もう最高!アムステルダム地域では珍しく少し起伏を含んだ地形なんです。森やブッシュや草原でしょ、野生動物の宝庫なんだよ!野ウサギがいっぱいいるの!いつも公園で見るウサギより小さいの。人間からの食べ物を食べないからだろうね。いつでも十頭くらいの仲間が一緒だから、みんなで追いかけたよ~。でもね、そんなところに棲んでいる野ウサギはもの凄く逃げ足速くてとても追いつけないよ。他の犬達も必死に追いかけるけど、やっぱりダメでね~。それに起伏に富んでるところだし、小さな穴を掘って棲家にしている連中だから直ぐに見失うの。匂いはしても穴が小さすぎて入れないしね。 飼い主の1人が言ってたけど、入れない方がいいんだって。入ったまま出て来れなくなっちゃうこともあるみたいだから。昔、オランダの女王の愛犬"ボーダーテリア"がこれで行方不明になり、発見された時には死んでいたという有名な話があるんだって。そんなことも聞いてるし、見てもあんまり気持よさそうじゃないから、僕は穴には入らないよ。 一緒に行った仲間に「ポチ」という名のジャック・ラッセル・テリアがいました。エレンという名の飼い主です。この「ポチ」を飼い始めた時、このエレンの娘さんが日本の筑波大学へ留学していました。その娘さんが日本の最もポピュラーな犬の名前を付けたそうです。小型短足のテリアで、身体は僕より少し小さいくらいです。僕より2歳上でした。怖~い犬でね…。この「ポチ」とは一度も喧嘩をしたことありません!なにしろメチャクチャ短気でね、すぐキレルの。大体ジャック・ラッセルって動きが速いけど、ポチは特別速かったね。僕の3倍くらいかな…。このポチにやられた犬が公園にはいっぱい居ました。最初逢ったとき、僕はまだ3ヶ月くらいで何も分からなかったけど、ポチが初めて会ったときからBrugを気に入ったみたいで、僕のことも子分みたいに扱ってくれました。とても親切にね。飼い主のエレンには見慣れないことで、「うちのポチが他の犬に、こんなに親切にしてる!?」って驚いていました。^^。 この「ポチ」でもそこにいるウサギには追いつけませんでした。穴にも身体が大きすぎて入れませんでした。一番多かったのはレトリーバー系の犬だったけど、もちろん彼等はもっとダメでした。でも、僕らのここでの目的は夢中になって駆け回ることだから気にもしませんでした。ブッシュや草むらに入っちゃうと僕らの姿が見えなくなっちゃうので、Brug をはじめ飼い主みんなが大きい声で自分の犬の名前を叫びます。皆でそんなのを無視するのがまた面白くてね…。あっはは。ウサギを見失うと諦めて飼い主のところへ戻って散歩を続けました。 ヨープさんも病気で不自由になった身体を、こんな自然の中で動かすのが心地いいみたいで、頑張って歩いてました。Brug に贈ってもらったステッキを使ってね。そんな運動をすると薬の効果の終わるのが早まるようだけど、それに勝るものがあると言ってました。 ここへ初めて行ったときのメンバーの中で、以前ここへ行ったことのある人は1人と1頭だけでした。僕とヨープさんの住むフラットの9階に住む「フィオーナ」とオランダ・シープ・ドッグの「ティミー」だけでした。フィオーナはプロの写真家です。同じフラットに住んでいるのにフラットの建物の中では滅多に逢いませんでした。エレベーターが2台あって、奇数階と偶数階専用に分かれてます。僕らは16階に住んでいたので同じエレベーターを使わなかったからね。公園ではよく逢いました。 さて、ここへ初めて行ったときの愉快なエピソードです。これが今日のメインです。ここへ行くことを提案したのはフィオーナです。ワンダフル!な場所で、人で込み合ってないし・・・と。犬もあまり来ないとも。その「Nieuwe Meer」の沿岸の砂浜や森、草原は自然公園の様相を呈してます。高低木で囲まれ、部分的にはフェンスが張ってあったり…。正規に入るところにはゲートとしてのレンガで出来た門柱も立ってます。地図をみると公園とは表示されていません。緑がある表示だけです。なんか説明と前置きばかり多くなっちゃってるね。代筆の Brug が「どうしよう!?」と書くのを躊躇したり、悩んでいるみたいです・・・。 入り口を入って少し行くと急に湖が大きく広がります。左手が丘陵地帯のようにうねった地形を見せ、何種類もの茅科の野草で覆われています。そこに細い道があり、丘陵地帯の先の森へ続いてます。道案内のフィオーナはその道を行きます。いきなり野兎が何頭か出現。皆でワッと追いかけます。逃げられると戻り、また追いかけての繰り返しで楽しいこと!1時間くらい歩くと行き止まりになりました。運河があってそれ以上進めません。そこからは右に行く道を辿り湖の方向へいきます。行き止まりの辺りは湖から森の奥の方へ入り込んでいるみたいで、湖まで10分くらい掛かりました。急に森の樹々が切れて視界が広がりました。目の前に湖です。ホントにいい天気の日でね、水が嫌いな僕も水が恋しいと思ったくらいです。 皆でランチを食べれる砂浜にあるテーブル/ベンチへ急ぎました。Brug は大きなリュック・サックにいろいろ美味しいものを入れているようです。テーブルは無人でした。大きく広がった砂浜に、このアムステルダム地域ではあまり見られない割と澄んだ水が小さく波立ってます。まず、真っ黒なラブラドール・レトリーバの「マックス」が水のなかに飛び込みました。他の犬もほぼ同時にバシャバシャと水に駆け込んでしまいました。2頭を除いて。僕とポチです。ポチも水が嫌いなんだって。というか、僕と同じような経験をしてね~。それ以来、水が怖いみたいです。僕は水を怖いとは思わないけど「苦手」です。 飼い主達はテーブルに座ってランチの包みを開けて、何を持ってきているかお互いに確認し合ってます。事前の打ち合わせをしてあったみたいね。Brug が「巻き寿司」と「いなり寿司」をフラットの台所で用意してるの見てました。暑い日だから魚は避けるとか、ヨープさんと話をしてました。いなり寿司をすこし台所で朝食のときくれたけど、あんまり好きじゃないね、あれ。 僕とポチは十分に水を飲んでテーブルの下に横になりました。他の犬どもは水遊びを続けてます。マックスは遠くの方まで泳いでいっちゃいます。この仲間の中で一番好きなのはマックスだけど、水に入ると気違いみたいになるし、危ないから近寄らないようにしてます。このマックスはラブラドールとして、とびきりきれいな姿を持ってます。毛はピカピカひかる漆黒。普通のラブラドールより1サイズ大きめで、カッコいいんだけどスタンダードから外れて大きすぎると、飼い主の「ベルティーナ」が言ってました。ショーに出す訳じゃないからいいの!とも。(微笑) ランチは盛り上がってます。僕とポチは退屈して来ました。その日は週末ではなく平日の火曜日か水曜日でした。8月の初めです。まあ、夏休みのシーズンです。子供達が来ていても不思議はないのに静かです。でも、すこし離れたあたりから「女性の笑い声」が時々聞こえます。ポチと僕はそちらへ行ってみることにしました。ヨープさんも Brug も気にも掛けません。50メートルくらい行ったところに分厚いブッシュとたくさん葉をつけた大きな樹々に囲まれた芝生が広がっていました。ブッシュと林の一部だけ開いていて砂浜につながってます。そこには20代後半~30代後半くらいの男女が30人くらい芝生に横になって日光浴をしていました。とても気持良さそうです。 でね、いつでも僕は横になっている人を見ると「チョッカイ」を出したくなるんです。僕のお母さんもそうだったらしいのだけど、横たわっている人の顔をペロリとやりたくなるのね~。これは僕のお母さんサイドからの血統みたいです。ヨープさんがソファに横になってる時にも時々やってあげるけどね。 芝生の中に入って行って一番最初にやったことは、眠っている女性の顔をペロリでした。で、その人眠そうな眼を開いて僕の顔見て「きゃあぁぁぁ!!!」って悲鳴あげるんだよ。飛び起きてね。参ったね~。でも僕が「かわいい犬!」と気がついたらニコニコして抱き上げてくれました。その悲鳴を聞きつけて Brug 達が駆けつけて来ます。来ない方がいいのに! この人達、何にも身体につけていません。。。ヌーディストって言うんだって、この人達のこと。。。 このあとの話は「後編」に続きま~す。2週間お待ち下さい。 後編へ ≫ |