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2004/01/24 
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愉快なオバさん
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 僕はアムステルダム北郊外に住んでます。第1話に書きましたが、この近辺は春から夏にかけ緑があふれます。日本には常緑の大きな樹木があるようですが、こちらでは大きな樹はほとんど落葉樹です。クリスマスツリーみたいな常緑樹はごくわずかです。松も落葉松=唐松ばかりです。

 で、夏に緑であふれる公園や森も、今は寂しく枝ばかりの樹々に過ぎません。本当のところ、見てもそんな枝ばかりの樹々が生きているのか死んでいるのかよく分かりません。春になって新芽が急に大きくなるのを見ると「あ、生きてる!」と一安心します。ボスのBrugは冬でもそんな樹々の枝に付いている小さな芽にそっと触って「うんうん、ちゃんと生きてる…」なんて僕に説明してくれます。「極寒の冬」が好きなんて強がり言ってるけど、やっぱり春が待ち遠しいんだね〜。

 ご近所に愉快なオバさんがいます。ものすごく豪快な話し方をするオバさんです。このオバさんのことはその豪快な話し振りや笑い方でとても気に入ってます。でもね、彼女の家には僕の大嫌いな雄犬がいます。白いチビ犬で「ウエストハイランド・ホワイトテリア」っていうんだって。ウィスキーの「ブラック&ホワイト」の白い方の犬ね。なんかこの犬、僕と色が違うだけでほとんど同じ種類みたいです。僕は小麦色です。この白チビ、歳もほとんど僕と同じくらいです。なんか性格も僕そっくりでね、僕がその家の前を通る度に「ウ〜ッ」って大きく唸ります。吠えないよ、僕と同じで。で、挨拶されたら僕も負けずに「ウ〜ッ」とやり返します。その応酬を聞きつけて時々オバさんが出て来て、僕に話しかけてくれます。「チビッコ・ヤクザ」が「ウチの気弱なチビ」をまた脅してる〜、なんてね。出てくると必ず僕と少し遊んでくれます。

 でも、ボスはどうもこの「ウ〜ッ」の応酬が好きじゃないようで、散歩から帰るときもその家の前を通るの避けているみたいです。だから、その大好きなオバさんにも滅多に会えません、残念なんだけどね。

 でね、少し前のことですが、このオバさんととても愉快なことがありました。その日はちょっと遠回りして散歩をしてきました。ボスもちょっと歩き過ぎて疲れたみたいで、近道にそのオバさんの家の前を通りました。ほんの少しだけ「ウ〜ッ」の応酬をしてからボスの後を追いました。ボスはそんな時、その場にいるのが嫌いなのね。ボスがいてくれるとゆっくり「ウ〜ッ合戦」が出来て楽しいんだけどね〜。へへ。40〜50メートルくらいその家から離れたところで、後ろからあのオバさんのもの凄い「怒鳴り声」が聞こえました。見たら、手をグルグル回しながらイタリア人みたいに、大きな身振り手振りで怒りを表してます。僕はオバさんのところへ走って行きました。ボスは、また僕がなんかやらかしたと思ってるみたいでした。

 僕はオバさんに飛びついたりしてジャレてました。でもね、オバさんは僕のこと無視して相変わらずボスに向かって怒鳴り続けてます。家の中からは「ウ〜ッ」の連発です。ボスは訳も分からず、また僕が何かやらかしたかと不安そうな顔で戻って来て、オバさんの説明を聞こうとしてます。その最中に近所の方が2人出て来ました。喧嘩でも始まったと興味津々の顔つきです。ついでに言うと隠そうとしてるけど、嬉しそうな顔をしてます。こんなのは多分、世界共通の心理なんだね…。

 ボスが戻ってきたら、そのオバさんは僕らが通って来た道の辺りを指差して「……は勘弁ならない!他のことは許すけど、こんな……を犬にさせてはいけない!」と真剣な顔で怒鳴り続けます。ボスは「……」が何か、何でオバさんが怒ってるのか聞いたけど、オバさんは「見ればわかる!」としか言わないのです。僕はわかってたけどね、それ何か。でも、ボスは指差す方向を見ても、僕が何をやったのか見当もつかないのね〜。あっはは。で、オロオロしながら指差す方向へ歩いていきました。オバさんも一緒です。野次馬の2人も。オバさんはまだ意地悪く「僕がやった悪いこと」が何か説明しないのね〜。ボスはその辺りへ行っても、まだ何が何だか分からないの。キョロキョロ周りを見回してるの。その最中にそのオバさん、野次馬の2人にこっそりウインクしてるんだよ。

 で、オバさんの説明です。その道の真ん中にホントに山のような出来たての「馬糞」がありました。「公道の真ん中でこんな不躾なことは、いくらトニーでも許されな〜い!こんなにデカイのを大量に!」だって。もう、みんなで大笑い。それにしてもこのオバさん役者でしょ! 僕はオバさんの声の調子からジョークなのは最初から分かってたからね〜。ボスはこんなジョークには気持ちよく反応する人だから、一緒になって喜んでました。遠出の疲れもいっぺんになくなっちゃったみたいでした。笑うのってけっこういいエネルギー源になるし、健康にもいいんだね。

 そういえば、帰ってくる途中で乗馬をしている人達に会いました。そんな馬糞を住宅街では滅多に見ないけどね。僕の家から2キロくらい北へ行ったところに乗馬クラブが2つあってね、そこの人達が時々僕等の地域へ乗馬して来ます。あ、アムステルダム・センターの繁華街を時々警察官が2・3人で馬に乗って警備にあたってます。特別にキレイな馬でね、乗ってる警察官も颯爽としててカッコいいの。婦人警官も乗ってるよ。キレイな景色になるからね〜。これは観光客への警察のサービスみたいだね。それにしても馬って大きいね〜。牧場にいる牛なんかと違ってかっこ良くて、キレイだね、馬は。いまは馬に馴れたけど、最初見たときはビックリしました。

 オランダは馬術競技が盛んです。オリンピックでいくつもメダルを取っているそうです。小さい頃よく「アムステルダム・ボス=Het Amsterdamse Bos」というもの凄く大きな森林公園へ出かけました。もちろんまだヨープさんが生きていたころです。その公園の一番南に大きな乗馬クラブがあります。公園には何種類もの乗馬コースがあって、コースは森林の中を抜けたり、大きな池や運河沿いにあったりして、とても気持ちよさそうです。ここで馬に初めて会ったときはビックリしたけど、面白そうなので後を追いかけたりしちゃいました。2回目の時は、僕が急に飛び出していったので、馬がビックリして立ち上がっちゃったの。で、乗ってる人は危うく落馬しそうになっちゃいました。馬を鎮めてから、ヨープさんとBrugに「危険だから、犬を馬に向かって来させてはいけません!」って怒鳴ってました。自分が危険な目にあうという意味ではなく、馬は犬を蹴ってしまうことがあるからって。中年のいい感じの女性騎手でした。それ以降Brugが馬に会うと僕をしっかり押さえつけて、馬に向かって行かないよう教えてくれました。少し経ってからはよく理解出来たので、それ以降は絶対に行かないことにしました。

 まあ、僕はいろんなこと理解するのは速いからね。理解した上で「やるか、やらないか」を自分で決めます。何もかも「ダメ・ダメ・ダメ!」じゃ、ストレスが溜まるので時々ボス達の言うことや命令を無視することにしてます。自由の国オランダに住んでいるんだからね〜。

 この森林公園ではいろいろなことがありました。この公園の中には、美味しい「パンケーキ」というか「オランダ風お好み焼き」を食べさせてくれるレストランがあります。古い大きな農家をレストランにしてあります。古い農機具なんかをきれいに飾り付けてあって、とてもいいところだよ。ヨープさんはこの「オランダのお好み焼き」が好きでね〜、よく出かけました。オランダ名は『パナクック=Pannekoek』です。一昨年の夏に来てくれた神戸からのお客さんもこれ好きだったみたいです。彼女が言ってたけれど、大阪にこれを食べさせる『アウデ・カース』というレストランがあるそうです。ちなみにこの『アウデ・カース』は「オールド・チーズ」という意味です。この場合の「オールド」は「熟成度の高い」という意味です。この「アウデ・カース」はBrugの大好物です。「パナクック」にはこのチーズをすり下ろしたものを仕上げに振りかけます。もちろん僕も好きです、このチーズもパナクックも。僕はグルメ犬だからね。この公園でのいろいろな出来事はこれから先もいっぱい書いていきます。

 きょうの話は「小さな出来事」でした。

 この出来事の後ボスと僕はあのオバさんに「仕返し」をしました。僕がメインの仕事をこなしました。このことはいずれ話しますね。楽しみにして下さい。

 では、また。

 トニー
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Brug43
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 この愉快な初老のご婦人の「ジョーク」には参りました。身に覚えはその時なくても、トニーの普段が普段ですからね〜。まあ、大笑いが出来て楽しかったのですけど…。これにはいずれ仕返しと思っておりました。その後、思わぬことで仕返しが出来て気分がス〜っとしました。トニーも話しております、それはいずれ書きますのでお楽しみに。ふふふ。。。

 今回はトニーに苦情を呈することもありませんな〜。

 では、またお目に掛かります。


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