ソフィーの選択


とはいっても、メリル=ストリープではない。花の同級生のソフィーの話だ。
こまっしゃくれた7歳の女の子ソフィーの、意外な一面をきょう見つけた。

ソフィーは、鼻っ柱が強い女の子だ。7歳にして言うことがませている。それに周りの人間をコントロールするのがとてもうまい。我が家にときどき遊びに来るが、花の兄の春樹は、自分を顎で使おうとするソフィーのことがあまり好きではないようだ。じっさいソフィーの顎は勝ち気を絵に描いたようにとがっているし。

そのソフィーが今日家に遊びに来た。一歳年下の弟のアンガスもいっしょだ。アンガスは姉とは対照的に、あけっぴろげでわがままで、ワーワーとうるさい。絵に描いたようなガキである。最近テコンドーを習っているというので、どれどんなことをやってるんだ、と聞いてみた。すると蹴りやパンチをぼくに向けてきたので、ぼくは逆にアンガスをとっつかまえてこちょこちょ攻撃。そんなことをしたものだから、よけいにギャーギャーうるさいものだから、両手で赤ん坊のように抱きかかえ「あかちゃん、あかちゃん、よしよしよし」なんてことをしてやった。アンガスはちょっと照れくさそうに笑っていたが、ぼくの腕から降りようともせずけっこう幸せそう。こっぱずかしてくてジタバタ暴れて降りるのかと思っていたのに、ちょっと意外だった。

と、それをそばで見ていたソフィーが、「わたしもやって」とぼくに言ったのだ。
ーーーええ! あのソフィーが?!
ぼくは内心驚いたが、「いいよ、じゃあソフィーの番な」とアンガスを降ろし、花よりずっと背の高いソフィーを両手で抱っこした。そしてお尻をポンポン叩きながら
「あかちゃん、あかちゃん、よしよしよし」と揺らしてやる。
ソフィーは体の力を抜いて、幸せそうに笑っている。
ーーーへえ! あのソフィーが?!
そうなのか、ソフィーという子は、そうだったのか。

きっと、ソフィーはもっといっぱい甘えたいんだろうなあ、と思った。でもソフィーの家の中でソフィーはそういう役割が与えられていないんだろう。
お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい、自分でできるでしょ、あれしちゃだめ、これしなさい、どうしてこうなの・・・。
そんな言葉をたっぷりあびて、ソフィーは育ってきたのかなあ。赤ちゃんのように抱っこされて、よしよしとあやされる、そんなことは物心ついてからは許されてないんだろうなあ。勝手な想像だけど、ソフィーの両親を知っているだけに、あながちいい加減な想像でもないような気がする。

子供はたくさんの可能性から、いつもなにかを選んで生きている。いやはっきり言うと、いつも何かを選ばされて生きている。選べ選べというのはいつも大人だ。そしてそれはたいてい親だ。子供の個性とか性格という名前の元で、いったいどれだけのことが大人に選ばされてきていることか。

そしてソフィーは、ソフィーでいることを選ばされてきた。

でも、ソフィーの中には「赤ちゃん、赤ちゃん、よしよしよし」が、ずっと生きているのだ。
きょうの、このわずかな出来事で、ぼくはソフィーを見る目が変わった。
ほら、よく見てみると、あのとがった顎もかわいげがあるじゃないか。

Posted: 火 - 9月 13, 2005 at 04:51 午後            


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