靖国参拝で失われていく国益


今年も敗戦記念日が近づいてきた。
まさかとは思うが、この国の首相は今年も靖国参拝をするつもりだろうか。
そんなことを繰り返しているうちに、国益が外交努力がどんどん失われていく。

靖国参拝派がさまざまな理屈をこねまわし正当化しようとしているが、それはまったく他所の国には通用していない。なのになぜ国内には、その(屁)理屈が通用しているのか不思議でしかたない。
単純に考えてみるがいい。
たとえば、ドイツの現職首相がヒットラーの墓を参拝したらどうなるのか。ヒットラーでなくてもいい。ナチスの戦犯たちを祀ってある施設(そもそもそんなものからしてないのであるが)を、終戦の日に訪れてみようものなら、周辺国からいったいどんなふうに思われ、どう対応されるのか、まともな想像力を持った人間なら、それくらいわかるだろう。
靖国を参拝するということは、そういうことなのだ。中国や韓国、そして東南アジアの諸国にとって、そもそも日本に靖国神社という、戦犯を祀った施設があること自体が不可解だろうし、そこへあいもかわらず政治家たちが押し寄せて参拝するということに、他国が憤りを覚えるのは当然のことだ。他国とはいえ、かつてそこは日本によって侵略され蹂躙されてきた場所なのだ。侵略され蹂躙された人々が、それを行った国に対してものを言うのは当然の権利ではないか。
ナチスの犯した罪を、ヨーロッパが、ユダヤ人がけっして忘れないのと同様だ。しかも、ドイツ人自身が先頭に立って「あのことはけっして忘れない」と言っている。他所の国をさておこうとも、まず自らドイツ自身が、過去に自分たちが行ったことを徹底的に追求しているのだ。
靖国に参拝することは「内政問題」だと主張する国とは天と地の違いがある。

それに、靖国参拝はじっさい国益を損なっている。たとえばいま行われている六者会談。北朝鮮・韓国・中国・日本・ロシア・アメリカ。このうちの三カ国が、日本が過去に侵略した国である。そこに対して真摯な態度を見せることなく、自分たちの要求を持ち出しても、それはうまくいくはずがない。北朝鮮の拉致問題を議題に上げたくても、過去に国家を上げて朝鮮半島や中国本土から大規模な拉致を行ってきた日本が、その非をきちんと認めようとしない態度を示しているわけだから、韓国中国の支援を受けられるわけがない。

現職の首相が自らの信念うんぬんと言いつつ靖国の参拝を続け、そして教科書から「自虐的史観は排すべき」という名目で自分たちの行ってきたことを抜き捨て、政治家たちがあいもかわらずあれは侵略ではなかったなどと妄言を吐いている。

いったいこんな国をどこが本気で信用するのか。
あなたが他国の立場なら、日本を信用しますか。
いやいや、そもそも信用うんぬんの前に、日本はいったいどこに行こうとしているのか。
そのことすら曖昧だ。曖昧なまま、ただただ息苦しさだけがつのっていく。

Posted: 金 - 8月 5, 2005 at 09:02 午後            


©