二人のオルフェ



悲しみには終わりはないが、幸せには終わりはある
幸せは花びらにたまる朝露のしずくのよう
静かに輝き軽く震えたかと思うと愛の涙のようにこぼれ落ちる
A Felicidade / Antonio Carlos Jobin - Vinicius de Moraes

56年にジョビンとヴィニシウスが出会い『オルフェウ・ダ・コンセイサォン』が生まれました。この芝居はギリシャ悲劇オルフェウスとユリディスの物語をブラジルに置き換えた内容で、56年9月25日に幕が開きました。その後、フランス人のマルセル・カミュ監督によって『黒いオルフェ - Orfeu Nero』として、59年に映画化され、世界的なヒットとなりブラジルを広くひろめるきっかけとなりました。冒頭からサンバのリズムでスタートする映画はやがて悲劇的な結末を迎えますが、希望の太陽を昇らせるようなエンディングに何度観ても涙します。

ただ、この映画はブラジル内では現実を表していないと批判がありました。15歳の時に舞台を観ていたカルロス・チエギスも同様に受け止め自分の手でリメイクを企画していました。ヴィニウスと数回ミーティングをしたがヴィニウスが他界。戯曲の権利をカミュが持っていたことなどで中断。その後、ヴィニウスの家族の元に権利が戻ったことをきっかけに映画化が再開し『オルフェ - Orfeu』として99年にリメイクが完成しました。

40年の歳月の流れには驚くことが多く、オルフェはドレッドヘヤーで携帯電話を持ち、ノートPCを駆使し、音楽はmidiで...街に溢れる音楽はラップ。ちょっとクラッとする展開です。前作にはないリオのスラムの現実を丹念に描いています。メイキングの中でカルロス・チエギス監督は、スラムのダークサイドから美しい音楽が生まれることは決して矛盾ではなく、これがブラジルの現実であり、明暗がはっきり分かれているのではなく混沌とした状態がブラジルらしいと説明しています。

そして、音楽はカエターノ・ベローゾ。新曲2曲と『黒いオルフェ』の曲も交えながら、見事なサウンドを創り上げています(本人も登場)。オーセンティックなサンバ、カーニバルのサンバ、ボサノヴァ、ラップ...これも混沌を混沌として認めているブラジルの現実なんでしょうね。来日コンサートで『黒いオルフェ』からの曲をアンコールで歌ったワケもこんなところにあるのかもしれません。

Posted: 土 - 7月 9, 2005 at 04:38 AM            


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