甘い人生と日活アクション



イ・ビョンホンの最新作「甘い人生」。やるせなく切ない映画だったなぁ。封切りから2週間後、イクスピアリでレイトショーで観ました。終わると深夜近くでしたが、ディズニー絡みの観光客がチラホラする中を、やるせない気分のまま歩いていると妙な違和感を覚えました。ボスの女を監視するはずが惚れてしまいボスに追われる身になる主人公ソヌ(イ・ビョンホン)。フィルム・ノワールなムードでしたが、私はそこに日活アクションも感じていました。

ラストシーンの解釈についてporcoと色々話しをしました。息絶えているイ・ビョンホンに対してトドメを入れるエリックの存在を考えると、これは映画デビューとなるエリックのスクリーンテストだったんではないか。そのために、映画の流れが寸断され、エリックの出るシーンは説明もなく浮いていたと感じました。思うにこの映画、USのフィルム・ノワールへのオマージュといえるゴダールの『勝手にしやがれ』とか渡哲也の日活アクション時代を随所に参考にしていると思います。ベルモントがラストで「俺は最低だ」とつぶやいて死ぬシーン、渡哲也が同様に帽子を下げて死ぬシーン。それらに比べて『甘い人生』のラストは、エリックの銃撃で突然終わるように思えて納得いかず、息も絶え絶えになっているビョンホンの瞳のアップになりエピローグが始まる...なんて方が分かりやすいのではないかとも思いました。

porcoと話しをしていて気が付いたんですが、エリックの銃撃で突然終わった方がやはり今日的なドラマのやるせないムードに合うのではないかと考え直しました。日活アクション映画は、旭のように(錠との相乗効果で)無意識のうちにシニカルに、哲也のように戻ることのない世界への憧憬のなかに描かれた世界、日常や組織に埋没してしまう自我を取り戻す物語をロマネスクに描いていました。また、鈴木清順のように様式美を描く監督もいました。『甘い人生』にはこれらのトーンが随所にあり、私自身もそれを楽しむ部分もありました。そういえば、脇役もよくて特にファン・ジョンミンがいいです。病的な役柄を演じて私好みです。porcoは三人組(キム・ヨンチョル、キム・レハ、ファン・ジョンミン)がえらく気に入った様子です。

イ・ビョンホンはこれまで、報われない愛について存在しないものと存在するもの間を行き来する主人公を演じてきたように思えます。特に、『バンジージャンプする』以降はこの傾向が強いかと思います。瞳に宿る深い悲しみと恐れが観る者の心を揺さぶります。『甘い人生』は、ややハード面が強調されていますが、イ・ビョンホンの描いてきた世界が、私の心の奥に入り込んで何かを動かす。それが何かを知るためにもう一度映画館へ行きたいと思います。

※porcoからiDisk経由で送ってもらったサントラもなかなか気に入っています。それから、韓国のオフィシャルサイトの方が仕掛けも多く充実しています。
※リンクにMAYODASを追加しました。

Posted: 火 - 5月 17, 2005 at 12:15 AM            


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