『労働ダンピング』
中野麻美、『労働ダンピング—雇用の多様化の果てに』、岩波新書
えらく読むのに時間がかかった。読んでいて陰鬱な気分になるはなしがつづくというのと、別の本を読みながらというのがあるにせよ。終り近くになって気がついたのだが、記述がかなり圧縮されているというか、普通に書けばこの倍くらいになる内容をぎゅっと新書にしたような、というか。
さて、先日とりあげた『格差社会』と同じデータが本書でも紹介されている。「最低賃金額に関する国際比較」と名づけられた表なのだが、それによれば購買力平価で評価された時間あたり最低賃金で比較対象9カ国中日本は下から3番目。日本より低いのはポルトガルとスペイン。フルタイマーの中位の賃金に対する最低賃金の比率はデータがないポルトガルを除くと最下位。最低賃金以下の賃金しか受けとっていない労働者の比率が10%で下から2番目(なぜかフランスがワースト)。「ワーキングプア」という言葉がこのところメディアをにぎわしているが、なるほど懸命にはたらいても生活保護以下の収入しか得られない人々が出てくるはずである。
橘木氏の『格差社会』と比べると、ジェンダーの観点からの考察が多い。確かに、“週40時間はたらいても人間一人が生活してゆけない”ような低賃金が、世界有数の経済大国でまかり通ってきた要因の一つに、「家計補助のための労働」というジャンルがあったこと、をあげることはできるように思われる。
Posted: 木 - 11 月 16, 2006 at 07:25 午前
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