ABCテレビ、「戦後60年新春特別企画 ビートたけしの陰謀のシナリオ!!」
「日本を震撼させた戦後7大事件はアメリカの陰謀!?」
「7大事件」の最後がロッキード事件。正月の娯楽番組にそもそも何かを期待するのが間違っているといえば間違っているのだろうが、まったく新味のない内容で、ロ事件謀略説の信者にとっても物足りなかったのではないだろうか(笑)
やたらに多用される「!?」という符号が示すように、どの事件に関してもことの真偽に関して一切のコミットメントを回避した、いかにもバラエティ番組らしいつくり。いまさら下山事件についてキャノン機関の関与を仄めかすくらいで番組をつくってしまえるとは、なんともお気楽なことである。
比較的予備知識があったのが帝銀事件、下山事件(および三鷹・松川事件)、ビートルズ来日、そしてロッキード事件の4つで、そのうち帝銀事件のパートについては半分見逃したのだが、残りの3つをみる限り「アメリカの謀略を匂わせる要因だけを挙げ反証には一切触れないくせに、アメリカの謀略だと明確に主張するわけでもない」という姿勢が一貫している。ロッキード事件については立花隆らの「田中角栄研究」がCIAによる仕掛けだとする説に言及するので、「おいおい、ちゃんと立花隆にもはなしを聞くんだろうな」と思いつつ観ていたのだが、それっきりである。おそらくは「いや、断言はしてませんから」というのがテレビ局のいいわけで、その際に「!?」という符号がものをいうことになるわけだろう。そういえばミドリ十字と731部隊のつながりについては明言していたのだが、もはやミドリ十字という企業は存在しないから安心、ということなのだろう。
それにしても「戦後60年…」と題した番組でテーマとなったのがアメリカ謀略説だというのは非常に興味深い。もちろん、アメリカが実際に関与した謀略が戦後日本にも少なからずあるのは確かである。また歴代の自民党政権をアメリカ(CIA)が支援していたなどというのは「謀略」というまでもない公然の秘密である。しかしアメリカの思惑を前提としつつ可能な選択肢をひろげてゆく策はとり得たわけであり、アメリカの謀略を強調することは「押しつけ憲法」論と表裏一体の発想だと言うべきである。後者はともかくアメリカ謀略論が左右を問わず人気をもつのは、左右どちらも日本という国家の主体性などあり得ないという「自虐」的な前提にたっているということだ。
Posted: 月 - 1 月 3, 2005 at 12:57 午後
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