『ラストサムライ』(北米版DVD)


監督:エドワード・ズウイック
出演:トム・クルーズ、ケン・ワタナベ他
2003年、アメリカ

なぜに今ごろ…というタイミングでという感じだが、『ヴァン・ヘルシング』と同様同居人が買ったのでご相伴にあずかったかたち。

今年の9月、ニューヨーク・ヤンキースがクリーヴランド・インディアンズに0−22という大敗を喫した際、「インディアンがこんな大勝を収めたのはリトル・ビッグホーン以来」という「ジョーク」をかましてクビになったラジオのスポーツ・コメンテーターがいたそうだ。トム・クルーズはこの事件の当事者カスターの部下だったという設定。つまり、これは『ソルジャー・ブルー』などの流れを汲む、「政治的に正しい西部劇」の異本ということになる。そういう枠組みで観れば十分楽しめるし、タカ(小雪)との濡れ場を入れなかったのも「トム、よく我慢したね」と褒めてあげたい(笑) ただ、やはりラストはトム・クルーズが腹かっ捌くか、せめてカツモトの切腹を介錯する…というのを期待していただけに、天皇との対面シーンは蛇足かなと感じる。また、映画的にはしかたないこととはいえ、トム・クルーズ率いる政府軍と戦うときには林という(銃対刀でもそれほど不利でない)戦場を選んだカツモトの軍勢が、クライマックスでは平野で真正面からぶつかるのもねぇ…。私がカツモトなら別働隊を隠しておいてせめてオオムラの首だけでもとるけど。
この映画の「日本描写」についていろいろと突っ込みを入れるという誘惑にはご多分に漏れず駆られるが、それはまあ野暮というだけでなくフェアでもないかもしれない。例えば「カツモトたちはまるで農村ゲリラみたいだが、これって当時の日本社会の構造からいって正しいのか?」とか「元老院のメンバーでもあるオオムラがたかだか数個連隊を率いて最前線まで出てくるのはどうなのか?」などが気になったが、こちらとて自信を持って「おかしい」と断定できるほどの知識はないし、他方で日本映画における異文化描写にも当然いろんな問題があるだけでなく、日本映画の日本描写にすら(オリエンタリズムを反射した)おかしな点があったりするからだ。ただし、「日本側もカッコよく描いているから偉い」と持ち上げるにも及ばない。「野蛮人」を「高貴」に描けば描くほど欧米の自己愛も輝く、というのがオリエンタリズムの図式だから。

・福本清三の役に名前がないのはいかにもという感じでよかった。逆方向に突き進んだあげくクリント・イーストウッドの域に達したというところ?
・トム・クルーズに与えられる刀の銘、暴走族みたいな当て字で「寧参織愚連」とか彫ってあったらどうしようかと思ったが、さすがにそんなことはなかった(笑)

Posted: 金 - 10 月 29, 2004 at 01:43 午前          

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