『レディ・ウェポン』
監督:チン・シウトン
制作・脚本:バリー・ウォン
出演:マギー・Q、アンヤ他
『赤裸特工
Naked
Weapon』という原題がこの映画のコンセプトを余すところなく表現している。すなわち女闘美ですな。タイトルから想像するほどキワモノっぽくなくそれなりにきちんとした映画だが、とにかくつくり手(およびつくり手が想定する観客)の欲望に忠実。ただ香港映画らしく上映時間が90分ほどであることも影響してか、いろいろと突っ込みどころはある。全国でもごく限られた劇場でごく短期間しか上映されないので確率的には極めて低いものの、これからご覧になる予定という方のためにお知らせしておきます。以下ネタバレあり。
世界各地から誘拐されてきた少女に暗殺者としての訓練を施し、仕上げに互いに殺しあうという試練を経て生き残ったものだけがプロの殺し屋として採用される。過酷な日常のなかで友情を育むシャーリーンとキャット。消えた少女たちを追うCIAのエージェント、ジャック。娘の生還を祈るシャーリーンの母。マダムM率いる暗殺組織に復讐を誓うヤクザ…。一応舞台はローマ、とある孤島、スペイン、東京、フィリピン、香港…となっているのだが、そこはかとない安さが漂う。CIAつってもジャック以外のエージェントは冒頭で2人でてくるだけ。あとはずっと単独行動である。またCIAとFBIがちゃんと区別できていないのではないか、という設定も気になる。誘拐事件の捜査や殺し屋の逮捕はCIAの仕事じゃないだろ(笑)
また、短い上映時間にいろんな要素をぶち込んだために、どのシークエンスも「ああ、このパターンね」という観客の脳内補完なしには「なんでそうなるの?」と言いたくなる説明不足やご都合主義のオンパレード。この手の映画では「暗殺者としての訓練」場面の描き方が難しい。ストーリーが動くのは訓練終了後だからあまり時間もかけてはいられないが、といってここで手を抜くと主人公のキャラクターに説得力が無くなるうえ、共感もしにくくなる。この映画の場合あっさり「6年後」という字幕で最終試験までのプロセスがすっ飛ばされてしまうので、この手の映画の「お約束」に基づいたキャラクター理解におおいに依存することになってしまう。少女たちの生き残りをかけた戦いではシャーリーンとキャットを圧倒したジンが、後半ではシャーリーンにあっさりと倒されてしまうし、ラスボスのジャパニーズ・ヤクザはスペインのマフィアと友達でしかもカンフーの達人だし、マダム・Mは暗殺組織のボスのくせにあっさりこのヤクザに捕まっちゃうし。おまけにジャックがやたらとヴォイス・レコーダーやメモ用紙を使って言わずもがなの解説をしてくれる(笑)
とまあ、お世辞にもウェルメイドな映画とは言いがたいが、女優陣のフィジカルな存在感は抜群(アクション・シーンもほとんどダブルなしで撮影したとのこと)。それだけにちょっとチープな脚本、編集がもったいない。
また、冒頭部分は文句なしにすばらしい。予告編でも使われていた、長身の美女がターゲットを暗殺するシーン。だけど彼女はあっさり死んでしまうので、ほんの数分で見納め。これまたもったいない。
これは個人的な好みの問題でつくり手の責任ではないのだが、ワイヤーアクション&カンフーの格闘シーンにはどうしてもリアリティ(もちろん現実との類似性ではなく、映画としてのリアリティ)を感じられず、『カンフー・ハッスル』のようにコメディ色が強い映画ならともかく、ハードな雰囲気の映画で使われるとどうしても違和感を感じてしまう。様式美なのはわかるんだけど…。
Posted: 火 - 12 月 28, 2004 at 12:22 午前
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