ほんとに「壊れて」るのかも



一回目は「口が滑った」のか、と思わないでもなかったんだけど、二度まで言うからには本気なんだろう。

nikkansports.com 2008年11月15日7時1分
「給付なんていらない人、いっぱいいる」
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20081115-429731.html

 麻生太郎首相は14日午後(日本時間15日未明)のワシントンでの同行記者団との懇談で、定額給付金について「給付なんておれはいらない、というプライドもある人もいっぱいいる」と指摘した。

 首相は「年間何千万円、何億円もらっている人が1万2000円ちょうだいと言うのかね」と強調。所得制限するかどうかの判断を市町村に委ねたことについては「地方分権だから地方で決めたらとの話だ」と説明した。(共同)

毎日.jp 2008年11月20日
全国都道府県知事会議:首相、給付金批判に反論 「返すのは本人の矜持の問題」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081120ddm002010102000c.html
(……)
 松沢成文・神奈川県知事は、福沢諭吉の独立自尊の精神を取り上げ、定額給付金を批判。「不景気になると政府が国民に金をばらまくということをやっていると、国民の自尊心が育たない。お金をもらうことで政府に対する鋭い批判もなくなる。政策理念として極めて問題がある」と指摘し、麻生首相に見解をただした。

 一方、麻生首相は「そういった(独立自尊の)意識が神奈川県民にあるとするならば、(所得が)500万円でも(給付金を)取りに来ない人は取りに来ない。5000万円でも欲しい人は欲しい。返す返さないは本人の哲学の問題であり、矜持(きょうじ)の問題なんだと基本的に思っている」と述べた。
(……)

論理学的に言えば首相は「給付金を辞退しない人間はプライド(自尊心)がない」と言っているわけではないが、松沢知事(ちなみにアパの元谷代表には政治姿勢に賛同してもらってるそうです)の問いかけへの返答という文脈も考慮すると語用論的には「給付金を辞退しない人間はプライド(自尊心)がない」と言っちゃってますわな。別に国民の側から要求する声が挙がったわけじゃなく政府の方から言い出しておいて、そもそもの目的で右往左往、所得制限の有無で右往左往しておいてあげく「矜持の問題」ですか。「生活支援って、この額でどんだけ食い延ばせますか?」という中途半端な金額のくせして。
こうなったらむしろ、プライドにかけて受け取りにいくべきじゃないですか? お前なんぞに「矜持」を語ってもらいたくない、というプライド。うかつに返上でもしたら「ほら、受けとらないというプライドのあるひと、多かったでしょ?」とか言われかねんし。

次はこれ。
YOMIURI ONLINE 2008年11月20日02時00分 先生と勘違い?保護者大会で首相「親で苦労してるでしょ」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081120-OYT1T00117.htm

麻生首相は19日、都内で開かれた私立幼稚園PTAの全国大会であいさつし、「幼稚園はお子さんを預かっているが、そのお子さんの後ろについている親で苦労しているでしょ。子供でなく親で苦労していると私は思っている」と述べた。

 保護者らが集まった同大会を幼稚園の先生らの会合と勘違いし、日ごろの「保護者対応」の苦労をねぎらおうとしたものと見られるが、“的はずれ”のあいさつとなったようだ。

「モンスター・ペアレント」報道に安直に乗っていることはともかく保護者に向かって喋っているという意識があるのなら、「敢えて苦言を呈する」という姿勢そのものは買ってもいいと思うひとは少なくないだろう。しかし「勘違い」だとしたら、周辺が首相を支える体制がまったく機能してないとしかいいようがない。また時事通信が配信した報道によれば首相は「しつけるべきは母親だ」とも語ったというが、これって「男女共同参画社会」の実現をうたう政府方針に反してるんじゃないの? 田母神元空幕長のことなんて非難できないんじゃない?

最後に「医者は社会的常識が欠如」云々の件。「医療崩壊」問題を意思の責に帰す首相としての当事者意識の欠如はすでにさんざん批判されているが、そもそも一国の首相たるもの、国民のある集団について安易に「社会的常識が欠如」などと否定的なことを言うべきではないだろう。というのも、そうしたコメントはその集団(この場合なら医師)とその他の国民とを敵対させる効果をもつからだ(今回は見事に失敗したわけだけど、小泉の「抵抗勢力」は大成功した)。実証的な根拠のあることならまだしも、自分の体験だけが根拠だし。さらに問題なのは、その自分の体験というのが病院の経営者という利害当事者としてのものである、という点にどこまで自覚的、か。医師に限らず、専門性の高い職業についている人間が総じて言えば特異な価値観とか思考法とか慣習をもっている(傾向がある)、ということはありうるはなしだ。教師とか弁護士とかプログラマとか、ね。そのなかには各職業が必要とするよい特異性もあれば「弊害」といってよいものもあるかもしれない。しかし後者について語るにせよ、病院の経営者というのは医師と接するうえでかなり特殊な立場である(大部分の人間は患者として医師と接している)ということを割り引いて考えるのでなければ、単に「経営者の言いなりにならない医師に文句言ってるだけ」になってしまう。「自分で病院を経営しているから言うわけではないが」と前置きしつつ、結局は「医者の確保は大変」と経営者の視点からのもの言いになっているわけで。この発言が問題になってから改めて「お医者さんになったおれの友達もいっぱいいるんだけれど、何となく意見が全然、普段から波長の合わないのが多いな」と自らとどめを刺しているあたり、これはもう本格的にダメなんでしょうなぁ。

Posted: 木 - 11 月 20, 2008 at 01:58 午後          

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