『ロッキード秘録』
坂上遼〔二点しんにょう〕、『ロッキード秘録 吉永祐介と四十七人の特捜検事たち』、講談社
月刊『現代』の連載の単行本化。最初に連載を見かけたときには期待が大きかったのだが、実際に読んでみるとあまり、というかほとんど興味が持てないタイプの内容だった。いわゆる「人間模様」的なもの、属人的な情報がウリ、ってやつですな。サブタイトルのセンスもわたし的には読書意欲を削ぐ。いや、こういうのが好きな人はきっといるだろうし、そういうひとにとっては楽しい本かもしれないですよ。47人全員の顔写真が附録に掲載されているところとか、ね。わたしはあんまり興味が持てない、ってだけで。まあそれでもロッキードもの、このブログの原点に関わるものなので通勤時間を利用して読んでみた。基本的には特捜部の視点から捜査プロセスを再構成したもので、「こういうのが好きな人はきっといるだろう」というのはそういう意味。捜査情報の機密保持に関して検察が警察を信用してない…というはなしは一般論としてもこの事件に関しても聞いたことがあるが、そのあたりの駆け引き(警察のメンツを立てつつ肝心な情報を渡さずにすますための)が詳細に描かれているあたりはまあ面白く読める。ただ、取り調べ過程まであからさまに検察側の言い分で描いているのはちょっと鼻白む。商社の重役や田中角栄の秘書といった海千山千たちが、担当検事の人間味に打たれて素直に自供…なんてのはいくらなんでも白々しすぎやしませんか。事件発生から30年経った今日ロッキード事件について書くなら、P-3C(ロ社の対潛哨戒機)など解明されなかった部分や、忘れられがちな事件の国際的広がりなどを書いてほしいところだが、そのあたりは実にさらっと触れられているだけ。もっとも、ロ事件発覚当時、田中がすでに首相の座を(金脈問題が原因で)退いていた、ということすらしばしば忘れられて陰謀論が語られたりすることを考えると、たとえ検察サイドのストーリーとしてであれ、事件の経過を振り返る書籍が新たに出版されることには意味があるのかもしれない。
Posted: 木 - 9 月 27, 2007 at 09:24 午前
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