時津風部屋力士死亡事件について
なるほど、と思わされたのは bewaad
さんのエントリ。とりあえずwebmasterの解釈が正しいとすれば、相撲協会としては、有罪となるのであれば傷害致死罪であってほしいことでしょう。というのも、(中略。報道からの引用)というように、名もなき識者の「荒稽古と暴力は全く違う」ということとなれば、あくまで今回の死亡は時津風部屋において「暴力」がふるわれたことが問題だということで、死んだかどうかははっきりいえば二の次ということとなります。従来はそのような取り扱いがなされてきたからこそ、平成に入ってからの8件の死亡事故(が具体的に何かこれだけではわからないので、それらが稽古中のものだとすれば)は刑事上は不問とされてきたのでしょう。しかし、業務上過失致死罪となれば、稽古であっても注意義務違反で罪が問われるわけですから、あれは時津風部屋がおかしいのであって、我々はあのような制裁行為はしておりません、あくまでまっとうな稽古をつけているだけです、という差異化が不可能となります。8件のうち時効が成立していないものについても捜査が行われてもおかしくないこととなりますし、今後も死亡事故があれば制裁行為の有無に関係なく捜査対象となる可能性が出てきます。下線は引用者。ただ、この
bewaad
さんの解釈が結果として妥当するかどうかは、相撲協会が(そして相撲ファンを中心とする社会が)業務上過失致死として立件されることの意味を正確に理解するかどうかにかかっているような気が。確かに法定刑を比べてみると傷害致死が「3年以上の有期懲役」、業務上過失致死が「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」だから、量刑の面でも「業務上過失致死だから軽くなる」とは限らないわけだけれども、多くの人間にとって業務上過失致死傷と聞いてまず思い浮かぶのは交通事故じゃないだろうか。そして悪質なケースには危険運転致死傷が適用されうる現在では、業務上過失致死での立件を「殺意はなかった、傷つけるのが目的ではなく稽古・しつけの一環だった」と(bewaadさんの意図とは逆の趣旨で)理解する人々は少なくないような気が。酔っぱらった警察官が高校生を殴った事件でこの社会が「体罰」に甘いことが改めて明らかになったし、光市母子殺害事件の弁護団バッシングを通じて露呈した裁判の仕組みへの無理解*
もあるし。「世間」的には傷害致死の方が強いインパクトを与えるような気もする**。もっとも、報道によれば金属バットで殴ったとか救護活動を行わなかった…といったはなしも出て来ていて、もしそれが事実なら、関係者の供述次第では殺人(未必の故意による)での立件もあり得なくはない情勢ということになると思われるが。*
個人的には、南京事件について論じていると必ずと言ってよいほど聞かされる「証言は証拠にならない」論とかもあげたいですが。**
結果責任より意図・心情を重視する道徳観もからんで。
Posted: 日 - 9 月 30, 2007 at 11:33 午前
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