これで「可視化」とは片腹痛い


検察取り調べ録音・録画
5月9日、東京新聞ほか

最初は「おおっ、遂に実現か」と思ったんだけど、よくよく読んでみると「羊頭狗肉」どころのはなしじゃない。裁判員制度の対象となる重大事件に限る、とか警察段階の取り調べは録画しない、とかも問題だが

 関係者によると、試行の対象となるのは、警察から送検された殺人、強盗殺人などのうち、検察官が「必要と認めた」事件。こうした事件では、検察官は警察の供述調書を基に容疑者を取り調べ、検察官調書を作成するのが通例で、検察官が「任意性立証のため必要かつ相当」と判断した部分の様子を録音・録画する。

ってわけで、つまりは被疑者を「てめぇ、言われた通りにしゃべらなかったら…わかってんだろうな?」とさんざん脅しあげた後で、おもむろに録画ボタンをポチッとなすれば、ビデオがある以上法廷での「任意性の吟味」はいま以上におろそかになるだろうから、お手軽に有罪判決がとれるというものである。こんな「可視化」ならむしろない方がまし。警察の取り調べは録画しないというなら、警察で取った調書は証拠採用できないよう、刑訴法を改正すべきだ。

もちろん、「自白偏重」を現場の警察官、検察官の悪意に帰することはできない。偽証罪が有名無実化してるとか、刑事免責制度がないとか、捜査費が裏金にまわって現場の捜査員に(十分に)渡らないとか、なにより貧乏国時代の代用監獄制度をいまだにひきずってるとか、こういった背景をなんとかしなきゃどうにもなるまい。

いま“旬”の共謀罪に積極的に反対していないのも、司法を信頼しているからではなくむしろ逆。代用監獄とか接見制限をなんとかしないかぎり、共謀罪を潰せても状況はよくならない。「国際社会の要請」という理由で政府が共謀罪を通そうとするなら、国際社会から批判されている代用監獄の廃止等とバーターにする、って手もあるんじゃないか、と。

Posted: 金 - 5 月 12, 2006 at 08:14 午前          

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