『学歴・階級・軍隊』(実際の更新は10月18日)
高田理惠子、『学歴・階級・軍隊 高学歴兵士たちの憂鬱な日常』、中公新書
9月末に書きはじめたものの完成しないまま(一つにはこっちで書くか別館で書くか迷ったこともあり)半月経ってしまい、下手をすると書きかけていたこと自体忘れてしまいそうなので、とりあえずごく簡単に。
「……本書は、もっとも「貧乏クジ」を引いた学徒兵世代の恨みと諦めの声を蒐集し、世代と階級をめぐる問題を照射するものである」というカヴァー見返しの宣伝文が示す通り、旧日本軍のあり方というよりも学徒出陣世代のメンタリティーが著者の主たる関心(まあこれまでの仕事を考えても当然そうだけど)なので、こちらでエントリを立てた。別館の方でちらっと紹介した『ペリリュー・沖縄戦記』(ユージン・B・スレッジ、講談社学術文庫)にも、米軍における高学歴兵士への反感についての記述がちらっと出てくるように(著者のスレッジ氏は医師の息子で、本人も戦後は鳥類学者として大学教授になっている)、「高学歴者への特別の悪意は帝国陸軍の専売特許であったらしい」(7ページ)という本書著者の前提には疑問の余地がないでもないが、同時に米軍の場合理科系の研究者はもとより、法律家、言語学者、人類学者など総力戦に利用可能な専門知識を持つ研究者・実務家は将校として遇しその専門的知見をしっかり利用していたことと対比すると、30歳で二等兵として招集された丸山眞男のケースが旧軍のあり方を象徴するエピソードとして理解されることには根拠がないとは言えないだろう。
第3章では「高学歴兵士」の追悼のされ方をめぐる分析があるが、これはなるほど戦後における戦争体験の受容を考える時に留意すべきファクターであると思われる。また第5章では「光クラブ事件」の山崎晃嗣がとりあげられていて、「終章のような、長いあとがき」には赤木智弘氏の「「丸山眞男」をひっぱたきたい」への言及もあるので、そのあたりの興味のある方にもご一読をお勧めしたい。
Posted: 金 - 9 月 26, 2008 at 11:35 午前
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