人権擁護法案「反対」運動の背景を検証してみない
「いろ考」氏の議論について
え〜、「いろ考」氏によれば、私を含む法案賛成・容認・どうでもいい派は創価学会を「宗教ヤクザ」部落解放同盟を「部落ヤクザ」総連・民潭を「民族ヤクザ」と認識してないようだ。なんだそうである。というかですね、それをいうなら「自民党=政治やくざ(本職の方々とご縁の深い議員もおられるようで)」「安倍晋三とも浅からぬ縁のある統一協会=宗教ヤクザ」「日本会議=思想ヤクザ」「公安=治安ヤクザ」じゃないかとかいろいろ思いつくということは別として、そもそも真っ当な政治プロセスに影響を与えようと望む言説が特定の政治団体、宗教団体を「ヤクザ」呼ばわりしてなにか得るところがあるのかな? というのが素朴な疑問ですな。いや、たんに憂さ晴らしがしたいだけならなにをおっしゃろうと勝手なんですよ。しかし自民党内の反対派にしたってまさか部会で「創価学会(部落解放同盟、総連…)はヤクザだから」とは言えませんわな。もう繰り返し言ってきたことなんだけど、身柄拘束も財物押収もできない法律、懲役どころか罰金刑を科すこともできない法律で言論弾圧が起きるなんてのは二重にナンセンスです。こんなしょぼい法律で言論弾圧ができると考えているのもナンセンスだし、この法律がなければ言論弾圧は起きないと考えているのもナンセンス。つい先日、2004年に法務局が受理した人権侵害の件数と内訳が発表されたわけですが、「勧告」が行われたのはJR東海に対する1件のみ。2003年についても7件しかない。人権擁護法ができれば法的根拠が変わるわけだからまったく同じようになるとは限らないものの、人権委員会の処理能力を考えてもばんばん勧告が出るなんてことは考えられんわけです。人権委員会にとって勧告は奥の手だから、あっけなく無視されたり事実認定に誤りがあったりしてはメンツ丸つぶれ。したがって相当悪質な事例に対してのみ、慎重に調査したうえで出すであろうことは容易に想像がつきます。というわけで、しきりに「勧告」を問題にするのがまず的外れです。それに、なんといっても「たかが勧告」ですからね。JR東海に勧告が出されていたことを知っているかどうか、街行く100人に聞いてみたらどうでしょう。2003年にでた勧告7件の対象ってだれ(どの団体)だか知ってます? 世間の関心なんて(不幸にも)その程度ですよ。だいいち、自らの信念にもとづいて言論活動を行っているんだったら(つまり後ろめたいことがないのなら)勧告なんて自分の主張をタダで周知してもらえるいい機会だ、くらいに考えなきゃ。相変わらず法案反対派は「器物破損」「住居不法侵入」罪なんかを使えば人権擁護法より効果的に言論弾圧ができる、という事実から目を背けているわけですが、そのあたりを次のように質問してみたんですね。はじめまして。こういう主張をされる方にこれまで何度もお尋ねして、一度も納得のいくお返事を頂戴したことのない質問があります。仮に解放同盟・創価学会・総連にそれほどの実力があるのなら、たかだか「勧告の公表」しかできない人権擁護法などというまどろっこしいものを使わずにもっと別の法律を「悪用」して日本征服をとっくに達成していると思うのですが、いったい彼らはなにをぐずぐずしているのでしょうか?そうしたら頂戴したのが次のようなお返事です。とのことですが、これは実は「征服」してはいけないのです。征服しない程度に、少しだけ支配するというのがミソなのです。(中略)でも支配されていることに気づかなければどうでしょうか?いや、「支配」というのは少し大げさですね。蚤とか虱が生き血を吸っている、とでも言いましょうか。「気づかれないようにに、気づかれない程度にこっそり勝つ」というのはなかなか恐ろしい手口ですよ?なにしろ反撃しようにも、気づいてないわけですから。いや〜、すばらしいですね。「敵は恐ろしくなければならないが、同時にショボくなくてもならない」という陰謀論の法則です。ものの譬えを文字通りにとって揚げ足とらせていただくなら「蚤とか虱」くらいで大騒ぎすることもないでしょうに。あまりに環境が清潔になりすぎたからアレルギーが増えたという説もあるくらいですからね。bewaadさんの譬えを借りるとするなら、法案反対派は竹光をみて「日本刀だ、規制しろ!」って騒いでるようにしかみえんのですよ。そういえば「刀剣の会」(メンバーが「建国義勇隊」事件を起こしたんだから、「刀剣ヤクザ」ですかね)の最高顧問だった西村真悟議員は法案反対派のようですが、やはり日本刀と竹光の区別がつかないみたいです。それから、「蚤とか虱」以外に「寄生虫」ってことばも使っておられますが、歴史上その種のレトリックを用いてきたのがどのような人間であったかを思い起こして、ことば使いにはお気をつけになった方がよいかと思いますよ。で、「いろ考」氏はしきりに「同和利権」だとか学会の暗躍とかを「実証」することにこだわっておられるわけですが、障害者への差別とか、おそらく人権擁護法の対象となる事件類型のうち最多になると思われるDVや虐待(児童、老人への)といったことについてはなんのこだわりも持ってられないようです。私が当初の「消極的賛成・容認」から「積極的賛成」に転じたのもまさにこういう方々のおかげなんですけどね。ええ、いろいろおられましたよ。盲導犬をペット扱いする人とか、電動車椅子での乗車をJRが拒否した問題なんて「しょーもない」と言う人とか。法案反対論を批判すると速攻で「半島人工作員」認定なんてのもありましたな。「法案じゃなく背景」に目を向けろというのなら、この驚くべき人権意識の低さにも目を向けてもらいたいものです。法案反対論を批判するなら学会、解同、総連の「過去の歴史」を「きちんと洗う」のが「知的誠実さ」だというんですが、じゃあ反対派の方にはぜひとも反対運動の「裏」を洗っていただきたいものです。いろいろささやかれてますよ。旧経世会潰しだろうとか、ネットで差別発言つづけたいだけだろうとかね。そういうことを言い出せば議論が本筋からそれるから我々の側は前面に出しませんけどね。ちなみに私が知る限り総連はこの法案について特に目立った発言はしていないですね(安倍晋三の牽強付会な発言に抗議したくらいで)。他方、統一協会は反対のようですね。『世界日報』の社説が反対してましたから。まあ例によって愚にもつかない反対論でしたけど。「人に著しい心理的外傷を与える言動をすること」という文言が自分たちの布教活動に適用されるんじゃないか、と心配しているのは面白かったですけどね。私にしても他の賛成・容認派の人々にしても、朝鮮総連が拉致事件に関与していたとか同和利権があるなんてことを否定したりしてないんですよ。『同和利権の真相』なんてご紹介いただかなくても知ってます(一部は読んでます)って。なんで私が(知っていながら)問題にしないかと言えば・同和利権は同和利権で批判すればいいのであって、人権擁護法となんの関係があるというのか? 人権擁護法のどこをどう利用したら「利権」が生じるというのか?・「利権」は同和利権以外にもいっぱいある。というか日本は「利権列島」だ。同和利権は唯一の利権でもなく最大の利権でもない。ってことですな。人権擁護委員なんて無給だから、いまでも定員を充足できていない状態なんですよ。同和特措法時代の利権のはなしなんて持ち出さずに、この法案に即して利権発生の可能性を説いてもらいたいもんです。で、マイノリティーの利権というのは局在しているから目につきやすいけど、マジョリティーはもう至る所で利権の恩恵にあずかってるんですな。前にも書いたことだけど、自分より優秀な女性の同僚より高い給与・地位を享受している男性はみな「性差別利権」の享受者です。公共事業とかODAからみの利権では民間企業だってしっかり分け前にあずかっているわけです。私が「長期にわたり日常生活又は社会生活が相当な制限を受ける程度の身体障害、知的障害又は精神障害」を先天的に持ってないとかあるいは日本国籍を持っているというのは私の努力のおかげでもなんでもなく、「たまたま」に過ぎません。でもその「たまたま」ゆえに電車で乗車拒否くらうこともレストランで入店拒否食らうことも銭湯で入浴拒否食らうこともなくすんでるわけです。だまっていても自分の利益がおおむね守られているからといって、自分たちの権利を声高に主張しなければそれが実現しない人々を非難するってのはあまりにも了見が狭すぎるんじゃないでしょうかね。まあ同和利権問題の追及はぜひ熱心にやってください、と申し上げます。人間のリソースは有限ですから、特定の事柄にのみ関心を集中させるのは非難されるべきことじゃありませんしね。しかし「人権擁護法」を問題にするのであれば、同和利権以外にも「人権」をめぐる日本社会の現状について幅広く目配りする必要があると思うんですが、いかがでしょうかね。
Posted: 月 - 5 月 30, 2005 at 10:02 午前
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