人権擁護法案、今国会提出見送りへ
郵政民営化法案をめぐって生じた自民党内の亀裂をこれ以上広げないために…ということらしいが、(自称)障害者自立支援法案や共謀罪法案(犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案)など他にも「大物」が控えている現状ではやむなし、というところか。これまでに書いてきた「総括のための予備的メモ」では行政機関による介入がなければ人権侵害事件を防止・解決できない市民社会の脆弱さを問題にしてきたが、他方で自分の権利はまずもって自分で守るのが第一義だという意識の希薄さもまた問題で、人権擁護法がそうした傾向に拍車をかけるようなことになっては困る、という危惧もある。「被害者非難」をするつもりはなく、また幼児のように自分の権利を守ろうにも守れない者がいることも承知しているし、別に自力救済を勧めているわけでもない。現在でも人権侵害に対する救済のための法的な枠組みはあるのだから、そうした枠組みについての情報を収集し、自ら利用する積極性が必要であろう。というのも、例の「在日韓国人入居拒否」事件に関する某ブログのコメント欄に、「おれが外国で入居拒否食らったらだまって他をあたるけどなぁ」といった趣旨の書き込みを見かけたからだ。これについては半分は「嘘つけ」という印象なのだが、残りの半分は「いかにもありそうなことだ」という印象を受ける。しかも黙って引き下がることが「日本人の美徳」だとでも思っているらしいので余計にたちが悪い。人権侵害を受けても泣き寝入りすることをよしとするような意識が「ノイジー・マイノリティー」への反感と密接に関わっているのではないだろうか。以前にも同じようなことを書いたのだが、自分が自分の権利を守るための努力を放棄するからといって、他人が自らの権利を守るための闘いを邪魔するな、つうの。さらに泣き寝入りしてもそうひどいことにはなるまいという発想がどうしようもない平和ボケだ。入居拒否した大家の肩を持つような連中はことあるごとに嫌韓ネタで笑ってるわけだが、むこうは自力で軍政から民政への移行をやってのけたんだぞ。東西冷戦の最前線で日本よりはるかに厳しい地政学的条件を与えられていたのに。アメリカ様の力で軍国主義から解放してもらった民族が偉そうなことを言うなよ、ほんと。市民の権利ってのは下賜されるものじゃないんだよ。特に努力しなくてもこれまでたいした支障がなかったとすればそれはあんたがマジョリティに属してたから(あるいは自分が被っている人権侵害に気遣いないほど間抜けだったから)であって、本来なら人権は「不断の努力」によって獲得され続けねばならないものだ。別館で an_accused
さんから頂戴したコメントでの「人権教育」に関する問題提起と関連することだが、日本では学校でも家庭でも自分自身の権利を守るために声を上げることをエンカレッジする教育がなされないから、そうやって声を上げた人に対してどう応答すべきかも学ぶ機会がない。人権擁護法反対派が垂れ流していたような人権意識の低さこそが人権擁護法を必要とするような状況を生み出してるんだよ。
Posted: 日 - 7 月 24, 2005 at 12:00 午前
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