「人権擁護法案」論争の総括のための予備的メモ
都議会選挙が終わったら動きがあるんじゃないかと噂されていた人権擁護法案だが、いまのところこれといった進展はないようだ。郵政民営化法案の僅差での衆院通過とかロンドンの爆弾テロでそれどころじゃなくなったということなのか…。本来、法案が国会に提出されるなり提出断念が決まるなりといった節目を待って総括のためのエントリを書こうと思ったのだが、もう自分のなかでは「終わった」問題になってしまっているし、あれだけデムパぶりをさらけ出したネット上の反対論が世論に影響力を及ぼすことももはやなさそうなので、ぼちぼちとやっていこうかと思う。
思えばこの4、5ヶ月間柄にもなく(笑)日本政府を擁護し続けてきたわけだが、そういえばロッキード裁判関係のエントリでも同じことをやっていたわけだ。と思って改めて振り返ってみると、両者にはいろいろと共通点がある。まずは陰謀論が絡んでいること。次に「ふだんなら被告人の権利になど関心を持ちそうにない面々が被告人田中角栄を擁護した」ことと「ふだんなら言論の自由になど関心を持ちそうにない面々が言論の自由を盾に法案に反対したこと」という共通点。私が知る限り渡部昇一センセイが人権擁護法についてなにか発言したことはなかったなぁ…と思ってたった今「渡部昇一 人権擁護法」でググってみたら“人権擁護法に反対し、渡部昇一を持ち上げる”サイトがゾロゾロとヒットしたのでまあ私の行動原理はきちんと一貫していたことが客観的に確認されたわけだ。
これで「共謀罪」が加わると三題噺ということになるわけだが、共謀罪について書いたものについてはN・Bさんや
an_accused
さんからやんわりとご比判を受けている。お二人がおっしゃることの趣旨についてはそれぞれよくわかる(つもりである)し、まさにその点がこのエントリおよびそれに続く予定のエントリの主題になるはずである。にもかかわらずこれまでのところ共謀罪「批判」についてもっぱら否定的なことを書いているのは、一つにはロッキード裁判を擁護し人権擁護法案を擁護した者としての責任を果たすためであり、もう一つには今の情勢では共謀罪の導入を阻止するのは困難だろうと判断しているからだ。すなわち、1)実態と比べて過剰に蔓延している「治安への不安」と2)「外圧」がこの改正案を後押しするだろうという政治的判断である。ならば、この際その「外圧」を利用して日本の司法制度の宿痾である安易な身柄拘束やら代用監獄やらの見直しを迫る方が得策ではないだろうか…というわけだ。
言い訳はこれくらいにして本題に戻ると、an_accused
さんが人権擁護法案に関して行なった問題提起は「行政による人権保護というねじれ」というものであり、N・Bさんから共謀罪に関して頂戴したコメントにおける問題提起(の一つ)は、「国際犯罪対策」や「テロ対策」を口実に国家権力が市民の生活を浸食していく流れの一環として共謀罪をとらえるべきだ、というものであったと思う(違ったらご指摘ください)。ひとことで言えばどちらも“市民社会の危機”ということになるわけで…こりゃ荷が重すぎるなぁ…。
Posted: 木 - 7 月 14, 2005 at 12:28 午前
Comments