『<恋愛結婚>は何をもたらしたか』


加藤秀一『<恋愛結婚>は何をもたらしたか—性道徳と優生思想の百年間』、ちくま新書

著者の文章は江原由美子が編集した論集に収録したものを読んだことがあるが、単著を読むのは初めて。本書が扱っているのはほとんどが明治から第二次世界大戦までの時期における「結婚」「恋愛」「出産」をめぐる言説であるが、実は今日の日本社会もそうした言説の背後にある発想から自由なわけではない。住基ネットからみで「人間が番号で管理される」ことに反発する人間は少なくないのに、肉牛よろしく人間が誰とつがい誰を産んだかを管理されていることに疑問を持つ人間はもっと少ない(その証拠に、日本では婚外子が圧倒的に少ない)ことがその証左である。「個人的なものがいかに政治的なものであるか」を暴く戦略としてはなかなか成功しているのではないかと思う。現代的な情況に言及した部分がほんのわずかであるのが物足りないと言えば言えるが、それはまた別の課題ということなのであろう。

Posted: 土 - 8 月 21, 2004 at 11:22 午後          

Comments



©