『ザ・コーポレーション』


ジョエル・ベイカン、『ザ・コーポレーション』、早川書房

本の評価としては「よい」なのだが、ニュースとしては「悪い」とするべきだろう。
来年日本でも公開予定のドキュメンタリー映画、『ザ・コーポレーション』の原作。ひとことで言えば企業はサイコパスだという告発本。「法人」として個人に与えられる法的な権利を享受していながら、企業は個人が負ういかなる道徳的義務も負わない。その目的はひたすら株主に奉仕することであり、他者への思いやりは株主への背任とみなされる…。
日本の場合、良くも悪くも「株主中心主義」がいまだ徹底していないところもあって本書が描くほどのグロテスクさには至っていないかもしれないが、それも時間の問題であろう。能天気な市場原理主義者は100回読むべし。

映画の『ザ・コーポレーション』にはマイケル・ムーアが顔を出しているらしい。マイケル・ムーアに関して「アメリカは彼のような人間がいる分だけ、まだましだ」といった声を時おり聞くが、それはアメリカへの買いかぶりかもしれない。この映画もカナダ資本であるし、マイケル・ムーアの映画・テレビシリーズのいくつかはやはり非アメリカ資本である。彼ほどの知名度・集客力があっても、アメリカ資本ではなかなか自由にものが作れない、というのが実情なのである。

Posted: 土 - 12 月 25, 2004 at 07:02 午後          

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