『カラシニコフ』
松本仁一、『カラシニコフ』、朝日新聞社
どれほど銃に興味のない人でも、ニュースか映画で必ず目にしたことがあるAK-47(とその改良型)に関するルポ。アフリカには冷戦の置き土産であるAKがあふれており、これまた冷戦というタガが緩むことによって統治能力を喪失した国家で多くの人が命を落とす原因になっている。「人気」の秘密は子どもでも簡単にメンテナンスのできるシンプルな構造と、それゆえ泥水につけても動くと言われるほどの堅牢さ。ヴェトナム戦争時、米兵が好んで鹵獲したAKを使ったというのは有名なはなしだが、イラク戦争の際にも同じ現象が起きたという…。
タイトルとおり、本書の表向きの主役はAK-47である。だが実際には、本書が扱っているもっとも重要な問題は本書の言う「失敗した国家」、列強の勝手な線引きによって生まれ、冷戦の終結によって米ソいずれか(ないし両方)の後ろ盾を失って腐敗と暴力が支配するようになってしまった国家である。AKシリーズの設計者、カラシニコフへのインタビューは珍しいし、人殺しの機械だという点をおくとすれば「やはり機械は設計思想が重要だ」というはなしとしても、また「機械はいったん開発されれば、設計者の思惑を越えて利用されるようになる」というはなしとしても興味深いのだが、その部分だけ全体から浮いている感は否めない。
Posted: 金 - 9 月 24, 2004 at 12:25 午前
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