雑記
天皇「強制でないのが望ましい」発言その他
天皇の発言に関して政府(そして都知事)は火消しに懸命のようだ。なるほど発言を断片的に抜き出せば政府が発表しているような解釈(「喜んで自発的に掲揚したり斉唱したりすることが望ましいと言うことを述べられたのだと思う」といった)もできなくはない。しかし実際のやりとりをみてみると、米長の発言に対していったん「ああそうですか」(聞き取りにくいがこういう主旨)と言った後で、改めて「やはり…」と言葉を続けている。素直に聞けば、結果としてこれは極めて政治的な発言、勇み足であると言わざるを得ないが、天皇制の熱心な支持者こそがこのように天皇に泥を被せかねない事態を招いているというのがどうしようもなく滑稽である。おかげで日の丸・君が代反対派も推進派も奇妙なジレンマに陥ってしまうことになりかねない。『諸君』あたりが米長バッシングに走るのかどうか、注目である。ビン・ラディンのビデオ演説(「暗いニュースリンク」に掲載された訳に依る)は(ソースの曖昧さがあるので留保付きでの評価だが)西側諸国の受けとめ方を相当に計算した、周到に準備されたものという印象を受ける。部分的に宗教的レトリックははいるものの、全体のロジックは西側自由社会のそれに他ならない。彼自身がかつてアメリカと協力関係にあった点には触れないという欺瞞はあるが、「私達がなぜスウェーデンを攻撃しなかったのか、ブッシュは私達に説明すべき」「我々の国々とブッシュの体制は似通っている」「自由への抑圧体制と専制政治を自分の息子に託し、それを愛国法と名づけテロとの戦いと称している」「航空機が高層ビルに突入していく重大事態に集中するよりも、大統領は子供の話すヤギの物語に夢中になっていたように思われる」といった主張は、ほとんどマイケル・ムーアのそれと同じだからだ。とすると、この演説も『華氏911』と同様、結局はその宛名人(ブッシュ支持者)には無視されてしまうという可能性が高いが…。一方では天皇が、他方ではテロリストが「自由」について説くと言う、なんとも困惑させられる週末であった。はなしは全く(ほんと、一天文単位くらい)変わるが、今日は近所の料理専門学校の学園祭。買い物の際にそばを通ってふと「料理→料理マンガ」と連想がすすみ、以前にこのブログでもとりあげた『美味しんぼ』のことを思い出す。『美味しんぼ』と『新世紀エヴァンゲリオン』の共通点は、エディプスコンプレックス的な構図で物語をスタートしながら結局うまく幕を引けなかったところだろう。物語としてきっちりカタを付けようとするなら選択肢は明確である。父を殺すか、父に殺されるか、あるいはエディプスコンプレックス的構図そのものを抜け出すか、である。『美味しんぼ』の方はいつのまにか当初のエディプスコンプレックス的構図を有名無実にして(栗田ゆう子のために)だらだらと続いているし、『エヴァンゲリオン』の方は人格改造セミナー的幕引きが破綻して幕を引き損なった。特にエヴァなどは「さっさとオヤジをぶち殺してしまえ(もちろん象徴的に、でかまわない)」とイライラしながら観ていたものである。そうすればアニメ史にとってより画期的な作品となったであろうに。
Posted: 日 - 10 月 31, 2004 at 05:51 午後
Comments