スピーチ指導の第一歩

−−話すべき項目を与えて、心理的ハードルを下げる試み−−


 今年の初任者を対象とした研修で、国語の初任者(16名)に自己紹介をしてもらいました。その際、ちょっと工夫して以下のように行いました。この方法も、ピグマリオンMLでのやりとりの中で、佐藤広子さんから教えてもらったものを、私なりにアレンジしました。

1.手順

(1)A3用紙のワークシートを配布する。

氏名                   

 あなたへの質問

                                       

 

 

 

 

 

(2)配布されたシートには、名前を書かない。「あなたへの質問」の枠の中に、他の人に聞きたい質問を1つ書かせる。

(3)ワークシートを回収し、シャッフルして再配布する。

(4)再配布されたシートに自分の名前(難しい読みはふりがなも)を書かせる。

(5)1人ずつ前に出てきて、シートを全員に見せながら、「自分の名前」・「所属校」・「自己PR」・「質問への答え」の順で自己紹介する。

2.この方法の意図

 これは最初の授業、または最初のホームルームを想定したものです。ホームルームで生徒に自己紹介をさせると、ただ名前と「よろしくお願いします」というくらいで、40名クラスでも10分程度で終わってしまいます。これは、彼らが自己紹介をする内容がないというよりも、その形式を知らないからだと考えられます。彼らは休み時間にはよくしゃべっています。話す内容はあるのです。しかし、話し方を知りません。

 そこで、これは「自分のことを語るきっかけを与える」という狙いです。話すべき項目を与えることで、人前に立ってある程度の時間話すことを経験させるための方策です。人前でスピーチをするということに慣れさせる必要があります。

 この後で、今度は話し方を教える段階に入ります。話す内容の順序をどうするか等の指導を行います。しかし、そもそも話すことの抵抗感を軽減させなければなりません。これは、そのための取り組みです。

3.結果

 私が実施した相手は、なりたてのホヤホヤとはいえ高校の国語教師です。話を始めれば十分に話すことができます。ですから実施した反省としては、「自己PR」を入れる必要はなかった、ということです。おかげで予定終了時間を大幅に超過してしまいました。

 しかし、この「質問に答える」作業をさせたおかげで、自己紹介の間の雰囲気がより親しみ深いものになったと感じました。ほぼ初対面に近い彼らでしたが、和やかに話をし、楽しんで聞いていました。聞く方の反応もとてもよかったです。

 話すべき項目を与えることで初対面の固い雰囲気を和らげ、スピーチ活動を活性化させるという狙いは十分達成できたと思います。その話すべき項目が、同じ仲間からの質問であるということも、心理的ハードルを下げる効果があったと思われます。

 ともあれ、私自身もこの自己紹介に参加し、楽しい時間を過ごせた実践でした。

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