「朝の読書」について

99年度 高校国語講座で使用した資料の原本 

−参照:『心を育てる朝の読書』(林 公 編著 教育開発研究所)−

1 「朝の読書」とは
 「朝の読書」とは、 林 公(ひろし)市川学園教諭が提唱した教育活動である。
 毎朝、SHRや授業の始まる前の10分間、教師と生徒がそれぞれに、自分の好きな本を黙って読む活動である。
 スローガンは「毎日やる / みんなでやる / 好きな本でよい / ただ読むだけ」である。
 約6年前ほどから始まったこの実践は、徐々に裾野を広げ続け、現在では約1,800校弱の学校(小・中・高を含む)において行われている。
 新潟県でも21校(主に小・中)で行われている。高校においては、個人的活動を中心に少しずつ行われている。

2 具体的な方法
(1)全校一斉に行う
   生徒も教師も読書をする
    (ここが一番難しいポイント。全校一斉の方が効果があるが、すぐには無理であろう。学年単位でもOK)
   あるいは教師一人が自分の受け持つ授業の中だけでも、実行可能である
(2)10分間、毎朝続ける
   行事等の特別な日以外は毎日続ける
(3)読む本は何でもよい
   生徒個々の、自分の読みたい好きな本でよい(マンガは除く)
   自分が読みたい本を、自分で持参する
(4)本を読むこと以外何も求めない
   読書感想文、読書記録の類をいっさい要求しない

3 効果
(1)静寂と集中の時間の確保
(2)他の活動への波及効果
   遅刻の減少、SHRの連絡の徹底、1限目へのスムーズな移行、授業の集中度増加
(3)本を読む能力の伸長
   本を読めない子が読めるようになる
    ←本を読む能力のなかった子
     日常生活の中に本を読む時間が取れない子
(4)学力の向上
(5)日常生活の変化
   読書時間の増加、図書館・書店への出入り
(6)豊かな心と人間関係
   「自分の心がひろくなったみたい」「感動するようになった」
   「思いやりの心が生まれた」「相手の気持ちを考えて行動するようになった」
   本の話題を介した交友関係の広がり
(7)人間的な成長
   「自分の世界が一回りも二回りも広がったような感じだ。」
(8)教師に与える影響
   生徒が真剣に本を読む姿を目にする感動
   教師自身も読書量が増える

4 「朝の読書」のねらい
(1)生徒一人ひとりをえこひいきしないで扱う
    → その子一人ひとりに合った内容の勉強をさせる
(2)一人ひとりの生徒を大切にする
    → 毎日10分間生徒とともに本を読む(ふりをする)ことで、生徒一人ひとりの違いが見えてくる
(3)一人のできの悪い生徒を苦しめてはならない
    → 子どもはどんな子でも、自分がやりたいこと、必要と思うことを、自分ができる方法でやりさえすれば、一歩一歩着実に成長する

5 実施上の問題点(私見)
(1)他の先生の理解と協力を得ることが難しい場合がある
   全校一斉実施の体制にもって行きにくい
    → 担任を持ったら、学年会に提案して学年単位の実施へ
      まずは、自分の授業の開始10分間を一斉読書へ
(2)取り組み始めの時期に、生徒が乗ってこない場合がある
   すでに落ち着きのないクラス、読む本を持って来ず、読もうとしないケース
    → 最初は教師がある程度強く指導する必要がある
      年度始め、学期始めに導入するとスムーズにできるようである
      自分の読みたい本が分からない生徒に対する指導の必要
       例:文庫の内容紹介を与えて、興味を引くものを選ばせる
   学級文庫もよい手だが、「教師の読ませたい本」ではなく「生徒が読みたい本」を揃えるよう注意すべき(3)図書館との連携の必要

6 新潟県の高校での取り組み例
 H高校 ある先生が自分の授業の開始後10分間を一斉読書に当てている。
 N高校 上と同様だが、その取り組みが図書館報に紹介され、座談会も開かれた。
 N・H高校 全校一斉の朝の10分間読書を取り入れ、遅刻が減少し、校内に落ち着きが見られる。

 

「朝読」ちょっといい話

第1話
 私は今年担当した初任者の国語の先生に、「朝の読書」の紹介をいたしました。そうしたら、ある先生がご自分の授業の開始10分間を読書にするという実践を始めて下さいました。
 その先生が実践を始めてしばらくしてのこと。先生が授業で教室に入っていくと、ある生徒がはれぼったい顔で座っていたそうです。「あなた、どうしたの? その顔。」と聞いたら、生徒は(女生徒?)
 
「だって、先生のせいだよー。あたし、本を読み始めたら夢中になって、徹夜してしまったんだからー。」
と答えたそうです。
 先生は、「あら、そう。ごめんねー。」と言ったそうですが、そう報告してくれたときの顔は嬉しそうでした。
 こんなことで生徒に文句を言われるのなら、いくらでも言われたいですね。

第2話
 昨年の11月20日(土)。
新潟県内初の「朝読新潟交流会」が開催されました。参加者は、小学校1名・中学校1名・高等学校9名の合計11名でした。高等学校側からの呼びかけでしたので、やや偏った参加者ですが、何にせよ画期的なことです。少人数ながらも、暖かい雰囲気の会でした。

第3話
 先日、新潟県立教育センターで総合的な学習の時間の研修会が行われました。その際に、義務教育課指導係長が学校のグランドデザインを作成する例として、村上市立岩船小学校の例を引きました。
 岩船小学校では基盤整備として、図書館の情報センター化、コンピュータ教室の開放などと並んで、朝の10分間読書を取り入れるようです。
 係長は朝の読書をわざわざ指摘して、「文部省でも取り上げているし、
こちらでも注目しているので、あえて紹介した」と言っていました。