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秋が日毎に深まって、女学院の坂道の欅も中央ロータリーの銀杏も、一葉一葉、その黄金色に色づいた葉を散らしています。
私は個人的には、身を切るような木枯らしが吹く時も何故か充実しますが、今の季節が一番好きです。ゆっくりとした時の流れを感じることができるからです。そして、研究室からの夕暮れの眺めはまことに「秋は夕暮れ」といった感じで、最高です。
さて、秋のテーマは「豊かであること」です。
私たちは誰でも、豊かでありたいと願いながら生きています。しかし、残念ながら人類は、今だかって真実の豊かさというものを経験したことがありません。貧しさや悲惨さは、嫌というほど体験させられてきました。しかし、「豊かさ」については、せいぜい、衣食住が足りているとか、お金があるとか、贅沢ができるとか、健康に恵まれているとか、その類のことしか考えられないほど、何も知らないのです。
古代ギリシャの賢人たちは、人間の豊かさを「知性」に求めましたが、現代では、もう少し総合的に考えなければならなくなりました。人間が多くの問題を抱えて生きていることが分かってきたからです。
私自身は、「豊かであること」を「分かち合うことができる状態」と定義し、1個のパンを奪いあう状態を「貧しい」と呼び、1個のパンを、たとえ食べて満腹しなくても、分けあって食べる状態を「豊か」と呼んでいますが、人間学的にもう少し考えて見る必要があると思っています。
ただ、どうせなら、「真実の豊かさ」を求めたいと思います。そして、大学でのすべての学びが、この「真実の豊かさ」を求める学びであれば、と願っています。
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