我々は猿よりは賢い。────果たして政治家はどうか?



産経新聞の報道<http://www.sankei.co.jp/news/040204/bun020.htm>によると、日本レコード協会や日本音楽著作権協会など音楽関係8団体が、アジア地域で廉価販売された日本の音楽CDの逆輸入を防ぐ措置が法制化されれば、国内販売のCD価格の値下げに業界として取り組む考えを表明したとのことです。

音楽関係8団体って、おそらく、社団法人日本音楽著作権協会 社団法人日本芸能実演家団体協議会 社団法人日本レコード協会 社団法人日本音楽事業者協会 社団法人音楽出版社協会 社団法人音楽制作者連盟 日本レコード商業組合 全国レコード卸同業界のことなのでしょうが、彼らはいかなる権限で「国内販売のCD価格の値下げに業界として取り組む」のでしょうか。

国内のレコード会社が正規にプレスして全国レコード卸同業界加盟の問屋を介して日本レコード商業組合加盟のレコード店が販売する音楽CDに関していえば、再販価格の指定がなされているので、「国内販売のCD価格」は各CDを製造しているレコード会社が決定することになっているはずですし、日本レコード協会に加盟しているレコード会社間で国内販売のCD価格について協議を行うのは独占禁止法上違法となる疑いが高いように玄人判断では思えてなりません(国内販売価格の決定は「著作権の行使」にはあたりませんし。)。

 一つの考え方としては、再販価格の指定をやめてしまうということは論理的にはありえる(別に、独占禁止法上は、レコード会社がレコード・CDの再販価格を指定しても独占禁止法違反には問わないとしているだけで、再販価格を指定する義務をレコード会社に課しているわけではないですから)のですが、その場合、負け組は、日本レコード商業組合に加盟している中小のレコード店ということになりそう(小売店で再販価格(小売価格)を自由に設定していいということになると、中小のレコード店はHMVやタワーなどの大型レコード店に比べて、品揃えだけでなく、特に売れ筋商品について価格でも不利益な状況に立たされてしまう。)なので、音楽関係団体のうち残り7団体はそこのところを説得し切れたのだろうかという点に疑問の余地がないわけではありません。もっとも、レコード輸入権が創設され、HMV等が洋楽の並行輸入を扱えないようになれば、洋楽について現存している救いようないほどの品揃え及び価格の格差が、HMV等のサービス水準を無理矢理引き下げる方向で解消されるわけで、そうなると、再販制度を廃止して邦楽レコードで「規模の利益」から来る価格格差を甘受するか、HMV等だけが海外の安い洋楽CDを並行輸入してくることから来る価格格差を甘受するかという選択である可能性もあり、日本レコード商業組合加盟の中小のレコード店が前者を選択するということもあり得なくはありません。とはいえ、そのつもりがあるならば、政治的には、レコード・CDに関しては再販価格の指定はもうしないからその分輸入権を認めてくれと表明した方が、与党や公取の覚えもめでたくなり、レコード輸入権の創設を悲願とする音楽関係団体の皆様にはお得な状況がやってくることは明らかなのにそうしないということは、再販価格の指定をやめるなんてことはする気がないんだろうなと想像するのがよさそうな感じですね。
 
 もちろん、日本芸能実演家団体協議会の会員である実演家が歌唱印税の引き下げに応じたり、日本音楽著作権協会(JASRAC)が商業用レコードに関する使用料を引き下げたりすれば、CDの国内販売価格は若干下がるのかもしれないですが、JASRACが徴収する使用料自体CD価格の6%程度ですし、歌唱印税も普通はCD価格の1%前後ですから、アーティストたちを全員ただ働きさせたところで、アメリカどころか、フランスとの価格差すら埋まらないんですよね(例えば、Amazon.frによると、今週第3位のKyoの「Le Chemin」が16.45ユーロ(約2200円)で売られています。)。「市場規模」を考えたら、邦楽CDの方が、仏楽CDより有利な状況にあるのですけど。

Posted: (月) - 2 9, 2004 at 01:50      


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