シービスケット【ネタバレあり何でもありの感想】おすすめ度:★★★★☆
Seabiscuit 2003年アメリカ 監督・脚本・製作: ゲイリー・ロス 原作: ローラ・ヒレンブランド 出演: トビー・マグワイア(ジョニー・レッド・ポラード)、ジェフ・ブリッジス(チャールズ・ハワード)、クリス・クーパー(トム・スミス)、エリザベス・バンクス(マーセラ・ハワーズ)、ウィリアム・H・メイシー(ティック・トック・マクグローリン)、ゲイリー・スティーヴンス(ジョージ・アイスマン・ウルフ)、エド・ローター(チャールズ・ストラブ) 最愛の息子を事故でなくし、家庭を失った富豪、近代化のために職を無くしたカウボーイ、大恐慌のために家族が離散し、内なる怒りを持つ孤独なジョッキー。そして、温和な性格だったゆえにその能力を認めてもらえなかった一頭の馬。この3人と一頭が出会った事が、ある一つの奇跡の物語を紡ぎ出した。実話に基づく感動のドラマ。 これまた原作はアメリカではベストセラーらしい。うーむ侮れぬ。泣ける。とにかく泣ける。つーか泣きっぱなし(笑)。ロマン派の人は要注意である。馬券派の人も要注意かも(笑) 以下はネタバレを含むのでまだ見ていない人は読まない事をお勧めします。 「ちょっと怪我をしたぐらいで命まで奪う必要はない」トム・スミスのセリフが胸に響く。現在でもケガの程度によっては競走馬は安楽死処分になる。30年代のアメリカではなおさらだったろう。ケガを治すぐらいなら新しい馬を買った方が安い時代である。そんな時代にこう言える人は凄い。そしてそれに共感し自分の馬を託した馬主も凄い。ハワードと言う人はさらに反逆児の体格の大きい騎手レッドを主戦騎手として雇う。そしてレッドが片目が見えない事を知っても、それを「少しのケガぐらい」と許してしまう。彼の懐の深さは何なのだろうと感心する。
いつしかハワードにとってレッドは息子になっていたのだろうと思う。息子だから二度と歩けなくなるような危険は冒させたくなかった。その気持ちは痛いほど判る。ハワードの元に集まった人は皆、彼にとっては家族だ。彼は二度と家族を失いたくなかっただろう。しかしレッドは騎手である。まして一度は引退の崖っぷちに追いやられたシービスケットを走れるように世話し続けたのだから思い入れも大きい。「足より先に心が潰れてしまう」このセリフが何とも切なく響く。私が親でそんな二者択一を迫られたら、多分泣いてしまう(笑) 小さな馬ががんばって大きな馬を打ち負かす姿はとても感動を呼ぶ。シービスケットの人気は暗い時代背景もあってひとしおだっただろう。ただ、映画からはその人気の高まりや凄みが余り伝わってこない。内ラチの安い席が満席と言うセリフだけではやはり伝わりにくい。その点は演出的に何とかできたはずでとても残念だ。一方レースシーンはものすごく良くできている。スピード感、緊張感ともに素晴らしく、見ごたえがある。 前半のシービスケットが出てくるまでがけっこう長いので、かったるく感じる人もいるかもしれない。確かにシービスケットが登場するシーン(これがまた良いのだ)の後と前ではテンポが明らかに違う。以前はかなり静的だったが以後は動的だ。前半にはハワードの挫折やハワードとスミスの出会いなど重要で印書深いシーンも多いのだが。特にたき火の前でハワードとスミスが語り合うシーンは実に良い。名ゼリフもてんこ盛りだし、何より二人の抑えた演技が素晴らしい。 最も素晴らしい演技を披露したのはティック・トック・マクグローリン役のW・H・メイシーだ。怪しげなDJ役を実に見事に演じている。この人の演技だけでも一見の価値がある。 原作は400ページの長編だそうだが、それを映画はうまくまとめて美しいお話に仕立て上げていると思う。おしむらくは時代背景との対比がもう一つ浅い感じがするし、シービスケットの人気の凄さも伝わってこないし、話の焦点も定まらない。ハワードの家族に対する思いを中心にしっかり据えるのか、レッドの立ち直りを中心に据えるのか、シービスケットの軌跡を中心に据えるのかはっきりさせた方が、短い時間で語らなければならない映画には良かったと思う。いささか散漫な感じがした。 そんなことはさておいて、実に泣ける演出がそこかしこにある。最近泣いてないなー、と涙に飢えている人は必見の映画だ。絶対見るべし。 本業の役者ではないゲイリー・スティーヴンスが実に良い味を出している。トップジョッキーがトップジョッキー役をやると言うなんとも冗談のような配役だが、見事にはまっていた。前半から印象的に登場し、最後の最後まで心に残るキャラクターである。やけに印象的な出方をするなぁと思ったらそれもそのはずで、足を折ったレッドに変わってマッチレースでシービスケットに騎乗する人物だった。ささやかなシーンだが、レッドがウルフに騎乗スタイルを伝授しているシーンが実に良い。ウルフがレッドに全幅の信頼を置いている事が伝わる、ひいては二人の友情関係がわかる良いシーンになっている。 そしてラストのウルフの行動に、もー涙、涙。欧米のレースではペースメーカーを使う事が多いので、ウルフの行動は当たり前と取る事もできるのだが、例えそうであっても感動的だ。このシーンで私は「ああ、ウルフ」とつぶやきつつ大泣きしてしまったのでした。 |
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Total entries in this category: Published On: 11 22, 2004 04:46 午前 |
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