地下帝国ヨミ編
第46話 地底へ!
恐竜は、およそ6千5百万年前(第19話(DVD版21話)によれば7千万年前)に滅びたとされる。絶滅した理由は諸説あるが、最大公約数的に大雑把に言えば、環境の変化に適応できなかったから、となる。(おなじみの隕石説は、巨大隕石の落下によって“環境の変化”が起きた、という説であって、隕石が恐竜の頭に直撃したから滅びた、という説ではない)
図 恐竜絶滅の瞬間(想像図)
中生代(恐竜が棲息していた時代)における地球全体の平均気温は、現在よりも10〜15度C程高かったという見積もりがある。だとすれば、環境の変化=気温の低下であるかも知れない。ただし、世の中上手くいかないもので、気温の低下が恐竜絶滅の直接原因なら、恐竜はやっぱり変温(冷血)動物だったんじゃないの?という意見もある。(恐竜恒温説、後述のダイノバード等については、観察日記19話参照)
ところで、19話で紹介しているダイノバード仮説なのだが、著名な研究家が(限定的な場合もあるが)支持している一方で、実は科学的根拠があるわけではなく、科学とすら呼べないという批判があるらしい、というかある。これ、いわば昔気質の研究者と最近流行の分岐学と呼ばれる手法を扱う研究者との対立、という一面もあるようなのだが、素人である私には、どっちがどうなのか判断不可能であった。結局、鳥と恐竜の関係を公平に記せば、「鳥が恐竜から進化した」から折衷案を間に挟んで「鳥から恐竜が進化した」まで、諸説あってよくわからない、という所に落ち着きそうである。
ダイノバードに限らず、観察日記では、私個人が面白いなあと思ったものを、ごちゃまぜにちゃんぽんして書いているだけである。そんなわけなので、読者の皆様、書いてあることを鵜呑みにせず、いろいろある説の中にはこういうのもある、という程度に軽く読み流していただければ幸いです。
科学の発展(とノーベル賞)への第一歩は、疑うことから始まるのである。(と、逃げを打っておく)
ともかく、恐竜は滅びる。原因は気温の低下である。――少なくとも地上では。
恐竜絶滅から6千5百万年(19話によれば7千万年)を経た現在も、地下帝国「ヨミ」では、プテラノドン(原作にはプレシオサウルスもどきも登場する)が生き延びている。(厳密には、プテラノドンもプレシオサウルスも恐竜には分類されないが、棲息していたのが恐竜と同時代だし、恐竜戦隊ナントカレンジャーにもプテラノレンジャーとかゆーのが登場しているらしいので大丈夫である)
したがって、「ヨミ」は、6千5百万年(19話以下略)より前に、何らかの地殻変動によって、当時繁栄していた恐竜を閉じこめるような形で形成されたということになる。地上では滅びた恐竜がその後も繁栄を続けていることから(少なくとも数千年前までは繁栄を続けていた。理由は後述)、「ヨミ」は、恐竜にとって住みやすい環境を維持しているはずだ。つまり、溶岩による地熱の影響でかなり高い気温を維持していると考えられる。(多分、温泉もいっぱいある)
さて、地上では哺乳類が繁栄し、やがて人類が誕生することになるが、地下では恐竜が進化を続け、いわば恐竜類の進化の最終形態として、ザッタンが登場する。(“ザッタン族”程度ならともかく、“ザッタン人”などと“人”呼ばわりするのは、恐竜類の頂点に立ち(少なくとも「ヨミ」では)哺乳類を支配しているザッタンに対して非常に失礼な行為である。よって、「幽霊島」では“ザッタン人”という呼称を用いない)
ザッタンの特徴として、高度に発達した知能、敏捷な運動能力、獰猛な性質があげられる。さらに、肉食であることや、体型(大きさ、発達した前肢等)を考え合わせれば、ザッタンがおなじみのディノニクス(あるいはヴェロキラプトル)から進化した生物であることは明白である。
ザッタンの外見上かなり目立った特徴として、羽の存在があるが、このことは、地下ではザッタンへと進化を遂げたディノニクスが、地上では鳥に進化したことを示唆しているようでもある。ザッタンの羽はどう見ても鳥というよりコウモリではあるが、この点は進化のイタズラとしか言いようがない。少なくとも、「ヨミ」の環境下(前述の通り高温)では、優れた保温効果を持つ羽毛が進化する余地は極めて小さい。(シノオルニトサウルスの件は忘れること)
どちらにしても、ザッタンの骨格標本やDNAサンプルが入手できていれば、鳥と恐竜の進化上の論争に終止符が打たれていたに違いない。48話で一頭残らず燃え尽きてしまったことは、返す返すも残念である。
ところで、「ヨミ」の生物相を考えた時、最も疑問なのが、外見上地上で進化した人間(ホモ・サピエンス)と全く同じであるプワ・ワーク人の存在である。。(多産、テレパシー能力という特徴はあるが、ホモ・サピエンスでも五つ子は生まれるし、テレパスもいる)
地上と地底という全く異なる環境下で、個別にここまでそっくりに進化することがありうるのかという疑問以前に、少なくとも数千年前まで恐竜が繁栄していた「ヨミ」では、哺乳類が大型化できる可能性自体極めて低いのである。(地上の哺乳類は恐竜の穴を埋めるように繁栄・大型化したが、恐竜が絶滅するまでは、ネズミ程度の大きさにしかなれなかった)
つまり、「ヨミ」に閉じこめられた哺乳類がプワ・ワーク人に進化することは考えられないのである。
では、プワ・ワーク人とは何者なのか?
高度な知能を持ち、食物連鎖の頂点に立ったザッタンは、それ故に深刻な問題に直面したであろう。食糧危機である。
「ヨミ」に大型恐竜が登場しないのは、ザッタンの“乱獲”によって(数千年前に)滅びてしまったからだ。(プテラノドンの肉は不味かったと思われる)
深刻な食糧危機の中(数万〜数千年前)、一頭のザッタンが、ここでは仮にムルソーと呼ぶことにするが、地上へのルートを偶然発見した。ルートが安定して存在し続けていたとは思われない。長い年月の間、「ヨミ」と地上を結ぶルートは、出現と消滅を繰り返していたはずだ。「ヨミ」の世界そのものは非常に安定していたようだが、地上は激変を続けているのだ。
ともかく、ムルソーが辿り着いた地上は、食料に満ちあふれていた。(ザッタンは肉食である)
ムルソーは、そこで“食料を飼う”という概念を知り、比較的飼育の容易そうな生物――人間を捕らえ、“家畜”として「ヨミ」に連れ帰ったのである。この人間の子孫こそ、プワ・ワーク人である。つまり、プワ・ワーク人は、「ヨミ」で独自の進化を遂げたわけでも何でもなく、ホモ・サピエンスそのものなのだ。
余談だが、この時期、僅かに生き延びていた大型恐竜が地上に迷い出たことがあったようだ。(あるいは、ザッタンが地上に連れ出したのかも知れない)
洞窟壁画に恐竜としか思えないような絵が残されていたり、メキシコ・アカンバロ市で発掘された四千年前のものとされる恐竜をかたどったとしか思えない大量の土偶(いわゆる恐竜土偶)の存在などは、たまたま「ヨミ」の恐竜を目撃した(そしてザッタンの人間狩りから逃れた)古代人が残したものだと考えれば納得できる。(ついでに、これらの遺跡の存在が、「ヨミ」に大型恐竜が数千年前まで生き残っていたことの証拠にもなる)
ムルソー率いるザッタン人間狩り部隊が地上に定住することを考えなかったのは、(プワ・ワーク人には気の毒だが)地上の人類にとって幸運だったといえる。
地上の環境がムルソーを始めとするザッタンの定住には適さなかったのだろう。
もしかすると、「太陽がまぶしかったから」かも知れない。
(2002/12/16)
参考文献
平山廉 著 『最新恐竜学』 (平凡社新書)
この本の著者(の説?)によると、ディノニクスやヴェロキラプトルが所属するマニラプトル科のみ恒温動物で、他の恐竜は変温動物(慣性恒温含む)。ただし、マニラプトル科は鳥類に分類するべきなので、結論として、恐竜は全て変温動物。だそうです。(ダイノバードについては触れてません)
*本文でもちょっと触れましたが、この記事(というかこのサイト全体)は、上の本だけでなく他のサイトの記事などを参考にしつつ、相反する説や私自身の妄想・幻覚・勘違いなどをごちゃまぜにして書いています。
要するに、文責は全て私、azinori に帰します。
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