地下帝国「ヨミ」編
第43話 異変
音は、要するに空気の振動である。人間の耳は、20〜20000Hz(ヘルツ。1秒間に振動する回数)の空気の振動を音として聞くことが出来るが、人間がとらえることの出来ない20000Hz以上の音を一般に超音波と呼ぶ。この場合の“超”は、(可聴域の)音波(の周波数)を超えている、という意味である。(20Hz以下の場合は、超低周波音と呼ばれる)
超音波を使う生き物としてはコウモリが有名だが、げっ歯類(ラット等)をはじめ、超音波を発したり聞いたりする生き物は少なくない。なので、プテラノドンや白いワニが超音波を出してもそれほど不思議ではあるまい。
コウモリは、超音波を餌(昆虫)の位置を測定するため(エコーロケーション)に用いるが、超音波プテラノドンの超音波も、光量が少なく(したがって視力に頼れない)複雑な地形(うっかりすると天井(?)に頭をぶつける)という環境に適応するために進化したものと推察される。(本来エコーロケーション用だったはずの超音波が破壊力を持つに至った経緯は不明である)
余談だが、コウモリやげっ歯類に特殊な超音波発振器官とか超音波受容器官がある訳ではない。周波数特性がやや異なるだけで、普通の発声器官(声帯)から“超”音波を出し(種類によっては鼻から超音波を出すコウモリもいるらしいが、人間だって鼻ぐらい鳴らせる)、普通の耳(鼓膜)で“超”音波を聞く。
“超”なのはあくまでも人間にとってのことなのである。ただし、コウモリの場合、(人間にとっての)可聴域での鳴き声と超音波領域での鳴き声(?)はまるっきり用途が異なっているので、脳の処理過程は異なるかも知れない。コウモリ君本人がどのように感じているかは、コウモリでない私にはわからない。
さて、世界中を恐怖に震え上がらせたモンスター、プテラノドンが発するのは、ただの超音波ではなく超超音波である。ただの超音波は、エコーロケーション以外にも腎臓結石を砕いたり食器の汚れを落としたりできるが、お城は破壊できない(と思う)。が、超超音波を使えば可能であるらしい。このことから明らかな通り、超超音波の“超”は、“スゴイ”という意味である。説明になってない気もするが、“スゴイ”のだから仕方がない。
ところで、ブラックゴーストの刺客として変わり果てた姿になってしまった009の幼なじみ3人組、茨木、小山田、メリーについては、お気の毒としか言いようがないが、もっと気の毒なのが、同じく009の幼なじみで、第8話で拉致疑惑が浮上しながら、生死すら定かでないキイチとナツコとツトムとノン(とエッちゃん)である。最初からその場限りの登場だったのか、何かのフリを意図していたのかは不明だが、どっちにしても中途半端なシリーズ構成の犠牲者となったわけで、痛ましい限りである。
合掌。
(2002/11/20)