なんだ、面白いじゃないか。
さすがに、あの自爆オチはもうちょっとどうにかならんのかとか、前振り無しで感動的な台詞を言われても逆に冷めちゃうとか、相変わらず詰めが甘いとは思うけど、楽しめたのでいいことにしよう。なんか観察日記の方も一貫性がないような気がするが、これもいいことにしよう。009も前回の0013とのはかない友情をきれいさっぱり忘れてるみたいだし。(はかな過ぎる(泣))
それにしても、今回に限らず物語(あるいはひとつひとつの台詞や場面)を成立させる上での最低限の(説明的)描写がはしょられててどうにもキモチ悪い。
きっと第一稿の段階で、「なかなか上手く仕上がったけどちょっと長いな。とりあえずあっちの場面とそっちの台詞を削って……、あ、あっちの場面を削るとこっちの台詞が意味不明になっちゃうかな。でも、こっちの台詞、カッコイイから残しとこう」みたいな感じで、結局傍目に見ると不可解な最終稿が完成してしまうものと邪推する。
あと五分なり十分放送時間があれば、大分説得力のあるものに仕上がると思うので、来年から四十分番組として放送することを提案する。死人が続出しそうな気もするが、私的には全然差し支えないので、ぜひ検討してもらいたい。
前回の「観察日記」で、スカール閣下が粗悪品を売り付けようとしている、という主旨の暴言を吐いてしまったが違うようだ。0013ロボが粗悪品であることは閣下の耳には入っていなかったらしい。(閣下には大変失礼なことをしました。この場を借りてお詫びします)
ともかく、ステルス迷彩が非常に脆弱なものであることを開発スタッフが閣下に報告していなかったことは明白であり、「スカールも騙されていた」、と言えなくはない。
しかし、報告したら報告したで、「これだけの開発資金と期間をかけてそのようなものしか作れぬのかっ」とやっぱり処刑されてしまうだろうから、スタッフが報告しなかった(できなかった)のも無理はない。きっと、0013ロボのデモンストレーションを祈るような気持ちで見守っていたに違いなく、ちょっと哀れである。
サイボーグ工学の第一人者であるギルモア博士には逃げられ(逃げなかったら9人の裏切りの責任を取らされて処刑されたと思うが……だから逃げたのか?)、ギルモア以外の一流科学者も次々と処刑し(0010のときも0011のときも0012のときも処刑されたに違いない)、ブラックゴーストには、今や二流三流の未熟な科学者しか残っていないだろう。兵隊ならいくらでも補充できるだろうが、一流の科学者はそう簡単に補充できない。生き残っている才能のある科学者も、ミスを犯せば処刑されてしまうので、斬新な発想の野心的なものよりも無難で保守的な研究に没頭することになる。「こんなことでは、ブラックゴーストが衰退してしまいます」などと忠告する者がいてもやっぱり処刑されてしまう。
口が上手くておべっか使いの狡猾な某副官でもいれば、スカール閣下の逆上癖および処刑癖もいくらかは収まっていたと推察するが、残念ながら某副官も処刑されたようである。閣下自身、何か辛いことがあって精神のバランスを崩しているのかもしれない。早く正気に戻って下さい、閣下。(泣)
それはともかく、ブラックゴーストという組織は、「恐怖による支配」の弊害がかなり深刻化している。放っておいても遠からず自壊するのではなかろうか。
処刑しまくった挙げ句、ブラックゴーストのメンバーがスカール一人しか残っていなかった、なんてシェイクスピアもびっくりの悲劇が起こる前に、早く南極に行ってやれ、009!
余談になるが、同僚の科学者が次々と処刑されるという過酷な状況の中で、数十年間(?)に渡って「騙され」続けたギルモア博士って……。ていうか、その前にブラックゴースト(黒い幽霊)っていう名前で気付けよ。そんな名前の平和団体とか自然保護団体とか慈善団体とかは無いと思うぞ。(あったらごめんなさい)
自分の研究以外のことには全く無関心というタイプの科学者も多いとは思うが、よっぽど研究に没頭していたのですね、ギルモア博士。(泣)
「騙され」つながりで言うと、神父も十年前後「騙され」続けていたと思うが、自分が育て送り出した子供達のことが気になったりしなかったのだろうか。里親の身元を確認するとか、葉書の一枚ぐらい出してみるとか、色々あると思うのだが。
優しそうな顔をしているが、何か大事な部分が欠落しているみたいだ。(泣)
さて、ついに反撃に転じる決意を固めたサイボーグ戦士は、0013ロボ爆発現場でブラックゴーストの小型潜水艇と遭遇、ドラゴン・トライアングルなる海域に誘導される。
ドラゴン・トライアングル(Dragon's Triangle)は、船舶や飛行機の原因不明の遭難事故で有名なバミューダ・トライアングルのいわば日本版で、位置的には、千葉県南端の野島崎、小笠原諸島の新島、グァム島を結んだ三角形で囲まれる海域である。(それほど有名でないのは、それほどではないからである。ていうか、どこぞのオカルト研究家が適当にでっち上げたというのが真相らしい)
ドラゴン・トライアングル
これをトライアングルというのは詐欺のような気がするが、私の責任では無い。(実を言うと、新島の位置が、野島崎とグァム島を結んだ線の右側なのか左側なのかわからなかったのだが、気にしませんよね、そんなこと)
もっとも、いくら何でも誘導する範囲としてこれでは広すぎるので、ブラックゴーストの生物兵器実験場としてのドラゴン・トライアングルは、この中のごく一部の海域であると思われる。
ドラゴン・トライアングルでドルフィン号を待ち受けていたのは、敵将ザンブロゾの潜水艦であった。
かくして、壮絶な潜水艦戦が展開されるわけだが、解説サイトである(らしい)『幽霊島』としては、「深海戦の基本」を解説しないわけにはいかないだろう。以下、例によって付け焼き刃な知識に基づいた記述であることをお断りしておく。
深海戦の大前提となるのは、海中ではレーダーが使えない、ということである。ドルフィン号を別にすれば、攻撃型の潜水艦には窓も無い(あったとしても、視界は数メートル程度でありほとんど無意味、というより、耐圧性が落ちる)ので、敵艦の位置も含めて周囲の状況を知る手段は「音」しかない。この「音」を捉える装置がソナーであり、周囲で発生している音を受動的に捉えるものをパッシブソナー、自分自身で音を発生させて(これをピンという)その反射音を捉えて敵艦の位置を捕捉するものをアクティブソナーと呼ぶ。
深海戦の勝敗は、これらのソナーを使いこなし、いかに自分の位置を知られることなく、相手の位置を捕捉するかにかかっていると言える。
繰り返すが、海中ではレーダーが使えないので、……って言ってるそばから、レーダーを見てるんじゃないっ、004!
あ、これは多分レーダーじゃなくて、ソナーの捉えた情報を解析して視覚的に表示する装置に違いない。大変失礼しました。というわけで、この装置はレーダーではないので、たとえ敵艦が目の前にいたとしても、音を出していない限りこのレーダー(のような装置)には表示されないはずである。
話を戻して、パッシブソナーでは、敵艦のエンジン音やスクリュー音を捉えるのだが、最近の潜水艦は静音設計になっているから捕捉は容易ではないし、エンジンを切られてしまったらパッシブでの捕捉はほぼ不可能だ。
また、スクリューの後方にできる撹拌された水の領域(バッフルと呼ぶ)のために、潜水艦は自分の真後ろの音を聞くことができない。008の「敵の泡に隠れる」作戦は、このことを指している(スクリューの後方で常に泡ができるわけではない)。他にも、水温が急速に変化する層を利用して隠れる(音の伝わる速度は水温や水圧によって変化するので、大きな温度差のある場所では正確な位置が特定できないということらしい)、といった方法もあるようだが、よく分からないので省略。
パッシブソナーが捉えた「音」は、コンピュータによっても分析されるだろうが、最終的に、雑多なノイズ(海の中にはクラゲもいるし大ダコもいる)の中から敵艦の「音」を聞き分けるのは、人間(ソナー担当要員)の経験を積んだ耳に他ならない。だから、情報解析用のサブコンピュータ、もとい、補助電子頭脳を搭載し(と思う)、直接自分の耳で音を聞き、さらに経験と直感を伴う状況判断ができる003は、理想的なソナー(あるいはソナー要員)であり、ザンブロゾがまず音響魚雷でドルフィン号の「耳」を潰したのは見事な初動攻撃と言える。(他のメンバーに全く影響がなかったことを考えると、この音響魚雷は、普通の人間には聞き取れない超音波を高出力で発生する装置だったようだ。003が気絶したのは、「大音響」によって「ブレーカーが落ちた」、つまり、一種の保護回路が働いたためだと考えられる)
次に、アクティブソナーを後回しにして、深海戦での攻撃兵器について。
攻撃兵器といっても、魚雷ぐらいしかない。主に次のようなものがある。
1. 普通の魚雷
2. 時限式の魚雷
3. 近接信管タイプ
4. ホーミング魚雷
さて、ドルフィン号の位置を見失ったザンブロゾは、ベルクの乗る潜水艇にピンを打つように指示する。(水中では、レーダー同様、電波による通信はできない。潜水艦同士の通信には音波または超音波を利用する)
ピンはエネルギーの大きな鋭い音(映画などを見る限り「コーーン」という甲高い音)であり、これを発生させ、その反射音を聞いて相手の位置を特定する。これがアクティブソナーである。
これを使えば、相手の位置を一発で特定できる。と同時に、音の発信源として自分の位置を相手に教えることにもなる。無闇に使うべきではない。(一般的には、相手の位置をほぼ特定した上で、魚雷発射の直前に最終確認のためにピンを打つようだ)
ザンブロゾとしては、ベルクの潜水艇をおとりにしてピンを打たせれば、自艦の位置を知られることなくドルフィン号を捕捉できる、と考えたのだと思われる。一見、ブラックゴーストの一員らしい冷酷かつ有効な作戦のようだが、意味がない。
ピンは、ザンブロゾの艦にも反射し、その反射音をドルフィン号に捉えられてしまう(と思うんだけど)。
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ベルクの潜水艇がピンを打つ。
ピンは、すなわち音なので、扇形に広がっていく(ハズ)。 |
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ドルフィン号とザンブロゾ艦に到達したピンは船体で反射し、反射波を生成する。
ドルフィン号は、ピンが到達した時点でベルクの潜水艇の位置を捕捉する。 |
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ドルフィン号の反射波がザンブロゾ艦に到達し、ザンブロゾ艦はドルフィン号の位置を捕捉する。が、同様にドルフィン号もザンブロゾ艦の反射波を捉え位置を捕捉することになる。
この図では、ベルク艇はまだドルフィン号を捕捉していない。(反射波が到達した時点で捕捉) |
ドルフィン号は、ベルクの潜水艇とともにザンブロゾ艦の位置も捕捉してしまう。そうなれば、戦闘力の大きいザンブロゾ艦を優先的に叩くのは当然のことであり、ベルクの潜水艇はおとりの役を全く果たさない。
ザンブロゾ、カッコつけて登場した割には少々間が抜けている。短時間(正味二十数分)で決着をつけなければならないというプレッシャーで焦ったのだろうか。深海戦では焦った方が負けであり、歴戦の勇士(に見えたが)とは思えぬ失策である。(余計な一言を付け足せば、詰めが甘い)
憶測ではあるが、ザンブロゾは過去にも同様の失策を重ねて、スカール閣下のリストラ対象になっていたに違いない。ベルク同様ザンブロゾも捨て駒だったのだ。「ベルクも騙されていた」わけだが、どうやら「ザンブロゾも騙されていた」らしい。
以上で述べた点を踏まえて考えると、平成版『サイボーグ009』の隠れたテーマの一つが「騙される」であることは明らかである。
明らかになったので、今回はこれでおしまい。
と言いつつ蛇足。
スカール閣下のマスクのデザインが前回と微妙に異なっていた。どうやら時と場合によって使い分けているらしい。(そういえば、オバQも数十着の服(?)を使い分けていた)
ファッションに対しては、(閣下なりの)こだわりがあるようである。
以下のサイトを参考にしました。
地球と海とバリアフリーを考えるweb site の 新サブマリン707 教室