001は寝ているようなので、前回から少なくとも二週間以上経過している。はずなのだが、なぜか003の疲労が激しい。電撃攻撃の後遺症というよりは、ギルモア博士が携帯探知器を作るまでの間、レーダー役として神経を張り詰めていたためだろう。今回見る限り、眠っている間も耳の能力はオフにならないようで、ちょっと痛々しい。こんな状況が続いたら精神的にズタズタになっていくのではないか。
それにしても暗殺者が襲来するとき、001はいつも眠っている。どう考えても、ブラックゴーストが001の睡眠のサイクルを計算に入れて攻撃を仕掛けているとしか思えない。001の超能力は、ブラックゴーストにとってかなりの脅威であることを窺わせる。(一週間の長雨で001が目覚めてしまったのは、0010にとっても計算外のことだったに違いない)
余談だが、他のメンバーが死闘を繰り広げているさなかに「あ、もう寝る時間だ。後はがんばってね」とすやすや眠っちゃうお茶目な001も見てみたい気がするのだが、ダメですか、そういうの?
さて、メンバーたちは監視体制を整えているようにも見受けられるが、001と003を除く七人(004は後から合流)が勢揃いして昼間から監視をしているようでは、体制が整っているとは言えない。敵がいつ来るのかは、わからないのである。(0010を倒してから二週間以上経過している)
奇襲は夜討ち朝駆けが効果的であることは、司馬遼太郎も指摘している。重点的に監視をするべきなのは、むしろ深夜から早朝にかけてであり、少なくとも三交替のシフトを組むべきだろう。(対照的に、0011来襲後の夜、この時点よりも緊迫しているはずの状況下で、見張りに立っているのは一人だけ(4と9がいたのはたまたま交替時間だったから))
この七人の監視のど真ん中に0011が出現したことに、偶然以外の要素は考えられないのだが、まるで誰かが0011の出現を予期していたかのような出来過ぎた印象を受ける。この場合、0011の出現を予期できた人物は、001を除けば(彼は寝ている)一人しかいない。
その点は置くとしても、0011の存在を探知するのは、画面を見る限り、003→ドルフィン号のレーダー→携帯探知器→005の順であり、003には休んでもらうにせよ、ドルフィン号のレーダーに連動する警報装置を設置すれば、わざわざ監視活動をする必要性はほとんど認められない。
それ以前に、敵サイボーグに選択的に反応する探知器ってアリなのか? 0011は金属の塊だったから目をつぶるにしても、0010のような人型サイボーグでもきちんと反応するのか? サイボーグって固有の電磁波とか出してるのか?(新ゼロの設定では小型原子炉内蔵だったはずだから、放射線か?) どっちにしてもそんなに簡単に探知器とか作れちゃったら、サイボーグの兵器としての商品価値が著しく低下しちゃうんじゃないか? ブラックゴーストは粗悪品を売り付けようとしてるのか?
ここは、ドルフィン号のレーダーが微弱な異常信号を捉え、七人がその調査をしていた、ということにでもしておけば、地中を移動してきた(らしい)0011が出現まで全く探知されないという不自然さも解消でき、かなり違和感がなくなったのではないかと思われるのだが。
次、003の「コンピューターに支配されているわ」発言について。003の透視能力でなぜそんなことがわかるのか、全く不明である。
普通、特別なシカケがない限り、視聴者が明らかに「?」と思うような部分には、それなりの理由付けを見せておくのが基本ではないだろうか。
005と008がなんで毒にやられたのかとか(008に「僕達は雨にあたってないから大丈夫……うっ……トリモチにも毒が含まれてたのか!」とか言わせとけば誰も突っ込まない)、毒の効き方に個人差があるのは何でかとか(特に002)、いかにしてコズミ博士は将棋をやめて囲碁を愛するようになったかとか(この点は、視聴者を混乱させる以外に必然性が全く理解できない。脚本家個々の趣味の問題か、単なる打ち合わせ不足かとも思ったが、クレジットを見る限り、ギルモア博士との将棋シーンのある第三話は、今回と同じ人が脚本を書いている。何がしたかったんでしょうか???)、とにかく今回は「?」なシーンてんこ盛りである。(出血大奉仕? そんなにサービスしてくれなくていいです(泣))
「コンピューターに支配される」のは、ストーリーの重要なポイントだと思うんだが、この場面で視聴者に「?」と思わせてしまうのは致命的である。「脳にリンクしている回路が本体から切り離されてる!」とか、003の台詞にくっつけとけば……。
ていうか、0011がコンピューターにオーバーライドされる過程を、004たちの目の前で見せた方がよかったんじゃないか。
004なり009なりの説得で動揺した0011が、「俺は本当は殺し合いなんかしたくないんだ。もうイヤだ」と言い出し、オーバーライドが始まる。「やめろ! 俺は操り人形じゃない…………ビビ…ビュウ……裏切者ノサイボーグヲ抹殺セヨ!」というのを見せつければ、ブラックゴーストの言いなりになることを拒絶した途端に文字通りの「機械人形」にされてしまうわけで、0011の悲劇性も明瞭になるし、ブラックゴーストの無気味さを、メンバーに対しても視聴者に対しても強烈に印象づけることができたはずだ。何よりも003の不可解な台詞が回避できる。(004がトドメを躊躇う場面が無くなりそうだが、個人的にはこの場面も「?」なので気にならない)
そもそも、0011がロボットではなくサイボーグ(人間の脳が制御している)である理由はなんなのか。
もしも、サイボーグ(人間の脳)がロボット(コンピューター制御)に勝る点があるとするなら、それは、変化する状況を的確に判断し柔軟に対処する能力、であるはずだ。
ならば、なぜそれを見せてくれないのか。
例えば、前半では009たちの攻撃を有機的な動きで巧みにかわし(004あたりに「俺たちの手の内を読んでやがる」とか補足的に言わせてみてもよい)、オーバーライド後は動きが直線的になり、防御面で無頓着になる、というような描き分けがきちんとできていれば、『人間の心を失った0011が、004の人間の心(の象徴である指輪)によって滅ぼされる』、という図式が成立し、今回の(というよりも『サイボーグ009』という物語の)テーマにも直結したはずだ。
こういった図式的な話の組み立て方を毛嫌いする人はいるだろうし、小うるさいツッコミストなら「コンピューター制御だから動きが直線的」という部分に引っ掛かるだろうが、アニメの表現としては正解だと思う。(でも、突っ込むんだろうな(^^;;)
蛇足。
なお、コズミ邸に電気が通じていたので、二週間ほど前の原因不明の発電所爆発事故は、速やかに復旧されたようである。
(2001/11/15)