第一話 誕生

 ある朝目覚めると、島村ジョーはサイボーグになっていた。
 変な部屋で変な服を着ていて、変な声が聞こえ、声に導かれるまま部屋を出ると、変なロボットや変な戦車に襲われた末、同じ服を着た変な連中八人と出会い、よくわからないまま行動を共にし、敵(?)の飛行機を乗っ取ったところで、「君は009だ」と自分のコードネームを教えてもらう。
 と、あらすじを書いているだけでも、主人公である島村ジョーこと009の当惑がよくわかる。今回は、徹底して009の視点から描かれており、(紹介はされるものの)他のキャラの性格付けや背景となる設定などほとんど触れられずに終わっている。

 なお、002のさり気ない台詞によって、原作の「地下帝国ヨミ編」が製作される事を宣言している。ファンに対する心憎い演出である。

第二話 脱出

 島村ジョーは、九里浜少年鑑別所を脱走……しない。したがって、日本人の母と外国人(国籍不明)のハーフであり孤児院で育った彼は、疎外感から非行に走り、ついには「悪いこと」をして少年鑑別所に入れられ……ない。「会いたいやつがいるわけじゃなし、家もない」と語る原作初期の人物像とは一線を画すことになってしまったこの変更は、「神父様」が、ジョーの荒れた心を癒し、支えとなったことによる。
 原作ファンにとってこの改変は、不当なものに感じられなくもないが、現在のTVアニメの限界という可能性もあり、失ったものよりも、新たに得られたものに目を向けよう。
 ジョーの人格形成に神父様が与えた影響は小さくないと考えるならば、彼自身がクリスチャンかどうかは別にしても、神父様を通してある程度の神学の知識を得ているものと見られる。だが、こんなことは些細な要素である。
 「神父様」の殺害によって、ジョーが神父殺しの重要参考人として指名手配されるのは確実であり、潔白を晴らすためには真犯人を捕らえなければならない。このことは、将来、ジョーの真犯人探究のエピソードが、アニメ版オリジナルとして一話ないし二話程度用意されるということを意味するとも受け取れるが、実はそれほど単純ではない。
 神父は、当然だが神に関わる職業である。問題は、どのような関わり方をしていたのかだ。神父は、何か――神にまつわる「何か」を研究していたのではないか? そして……。
 もちろん現時点では憶測の域を出ないが、神父殺しの真犯人やその動機、事件そのものの真相は、『サイボーグ009』という物語の中で、重大な意味を持ってくる可能性がある。
 「神々との戦い」は、すでに始まっているのだ。
(以上の文章は、真犯人が判明した時点で、自動的に消滅する場合があります)

 さて、今回「敵」がブラックゴーストと呼ばれる組織であることが明らかにされ、徐々にではあるが、009以外の登場人物も個性を感じさせる場面が出てくる。
 そんな中、今後の物語に深刻な影を落としかねない、人物設定の改変が行われていることが明らかになった。
 炎の料理人(あ、そのまんまだ)、006、張々湖のことである。
 原作における006は、007とともにお笑い部門を担当しつつ、中華飯店張々湖を経営してサイボーグ達の活動資金を捻出する愛すべき人物であり、料理人としても、料理評論家がしっぽを巻いて逃げるほどの腕前を持つ。その彼が、アニメ版では「ゲテモノ料理人」と評されているではないか! (ナンタルチャ!)
 今後006が「ゲテモノ料理人」としてどのようなレパートリーを披露することになるのか、非常に楽しみ不安である。挙げ句の果てに「ゲテモノ飯店張々湖」を開店し、メニューにはゴキブリの空揚げ(ゴキブリは、もちろん009が加速して捕まえます)などという状況に、思わず期待戦慄する今日この頃。ワクワクハラハラドキドキ。
 以下蛇足。6と7のやり取りを聞きながら009が平然とゲテモノ料理を食っていたのだが、彼はゲテモノ平気なのだろうか、それとも緊張の連続で感覚が麻痺しているのか。どちらにしてもヒーローとしての資質に疑問が……。

 第二話はX島の自爆で幕を閉じる。目まぐるしい展開で誤魔化されそうになるが、第一話で009の目覚めた島は無傷で残っている。サイボーグの研究/改造/実験施設は、この第一の島にあると推測されるので、九人分のサイボーグから得られたデータもそのまま温存されている。つまり、ブラックゴーストのサイボーグ開発計画の続行には、全く支障がない。
 003が「終わったの……これで?」と呟いているが、天然ボケ入っているのか、性格がおおらかなのか、もしかすると、目まぐるしい展開に混乱してしまったのかもしれない。もっとも、第一の島が研究施設のみであり、軍事設備の大部分が第一の島に集中しているとすれば、003の発言もそれほど的外れではない(かな)。

 それにしても自爆とはもったいない。
 不景気な世でもあり、悪の組織といえども資源は大切にしてほしかった。ケチくさい悪の組織なんか悪の組織とは言えない、と突っ込まれそうだが、ブラックゴーストの場合、死の“商人”であり、身も蓋もない言い方をすれば営利団体のはずなのだ。(あれ? 違ったっけ?)

 (01/10/23)

次回「閃光の暗殺者」



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