バンクの花道
第四回「メンバーズ・クラブ・下心」

 

 

 

時間は午後六時、閑散とした歓楽街。車はある店の前で停まった。

メンバーズクラブ『下心』。

表では若手ホスト達が開店の準備をしている。彼らの目ツキはどれも下心と欲望に駆り立てられているようにもうかがえる。

「おはようございますっ!」

ホスト達は石丸の姿を見ると一斉に手を止め、頭を下げる。一人がサッと歩み寄り、コートを受け取る。

その男の名前は久冨武。金城武似の甘いマスクの持ち主で、若手ホストの実力派だ。

 

 

「早いっすね今日は?」

「今日から店に入る三宅伸さんだ。いろいろ教えてやってよ」

「よ、よろしく」俺は慌てて挨拶したが、緊張してどもってしまった。

「わからないことは何でも聞いてください」

久冨の気さくな対応に心なしか緊張もほぐれ、店内へと入る。

 

 

入り口に所属ホスト達の写真が飾られている。ざっと三十人はいるだろうか。さすがに岡山で一番と言われる店だけあって良い男揃いだ。

「この人がナンバーワンの中山博司さん、

 

 

二番目が長谷隆志さん、

 

 

三番目が丹波靖貴。

 

 

この人は自分がナンバーワンと勘違いしている岡野順一さん、歌が上手いくらいかな。

 

 

まあたくさんいて派閥とかあって大変だろうけど、俺が面倒みますから」

石丸の羽振りの良さでベスト3にも入れないなんて、あの三人達はどうなっているんだ。

「あっ、巧ちゃん、今日から入る三宅伸さんね。この人ボーイの巧ちゃん」

巧ちゃんはスリムな体型で蝶ネクタイがとても似合い、人の良さそうな顔をしているが、実はかなりの意地悪だと石丸がこっそり教えてくれた。

 

 

「じゃあ伸さん、俺はお客でOLの渡辺泰子を迎えに行かなきゃダメだから、武たちと開店の準備やっててよ」

そう言い残すと爆音と共にフェラーリで消えて行った。ここへ来る途中、話の中で渡辺泰子の事も言ってたけど、何でも今のお客の中では一番お金を落としてくれる上客らしい。

ボサッとしている暇はない。俺もすかさず掃除の手伝いを始めた。

 

 

 

●胴体 ●目 ●耳 ●口 ●手 ●太腿 ●骨