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好きな競輪選手の声を知る、というのはけっこうむずかしい。 私が三宅伸選手のファンになったキッカケはある日突然テレビの画面にあふれんばかりに映った三宅伸選手の顔を見て、なのですが、その後は競輪場に行ったりテレビ中継見たり新聞雑誌見たりして三宅伸選手を追っかけ続けましたが長らく声を聞くことは出来なかった。3ヶ月ぐらいかかったんじゃなかったろうか。だって勝利選手インタビューに出てこなかったんだもん。吉岡とか神山とかででもなけりゃ、勝利選手インタビューの場以外で声を聞くチャンスはないのだ、競輪選手は。 で、三宅伸の声を初めて聞いたのは勝利選手インタビューじゃなくて『風にタッチ』だったんだけど、その印象は、 「もこもこもこもこもこ……」 だった。こもってた。朗々としゃべるような人じゃないというのは顔面から容易に想像つくことではあるけど、想像以上にもこもことこもってた。そのこもり方がまた、なんとも可愛いこもり方なのである。 それ以来「三宅伸のマネ」と称して、こもりしゃべりをやっております。やり方としましては、しゃべる時に口をちょっとつぼめて、口の中に空気をためるようにして声を出す。全体に、母音の「お」を強めに発音する。マンガ『ぼのぼの』でスナドリネコさんがぼのぼののしゃべるマネをするシーンがあった。ぼのぼのが「ぼくってそんなにへんかなあ」というのを「おくってそんのにへんこのお」と言うんだ。これ見た時は「三宅伸みたいだ!」と思ったね。三宅伸のマネをするのはぼのぼののマネをすればいいのか(でも三宅伸とぼのぼのの組み合わせって、デキすぎててかえって面白くないなー)。 ![]() しかし、ただ口をすぼめて母音の「お」を強調するだけでは限界がある。何か器具を使用して、より三宅伸の声を再現することはできないだろうか。 できた。三宅伸の声を再現するための、絶妙の道具を発見したのである。 最初、筒を口にあててしゃべるのがいいんじゃないかと思ったのだ。そこでまずトイレットペーパーの伸じゃなくて芯を口にあてがってしゃべってみた。しかしトイレットペーパーの芯は内径が大きくて、かえって声が通ってしまう。じゃあというんでストローで試みたら、細すぎて声すら出ない。なんかいい太さの筒はないかなあと思ってあたりを見回して、目についたから手にとって口にあてたら、まさにピッタシ! 声を出すと三宅伸になれるモノを発見。 それはファックスの用紙の芯でした。ファックス用紙の芯って、不必要なほど固くて厚くてこれは用紙の一巻を少しでも少なくするための紙屋の陰謀か!とか思ってたが、三宅伸の声マネをするためにはその厚さが必要不可欠だったのである。なるほど。それなら紙屋、許す。その厚さのために、必然的に芯の内径が小さくなり、それを口にあてがうだけで口は自然にすぼまり、「お」の音を発音する時の形になる。そして発せられた声は長めの筒の中でさらにこもって、まさに伸ちゃんの声そのものになるのであった! 「三宅伸の声なんか再現してどーなるんだ!」と言うあなた。あなたは何もわかっていない。私たち人類は、三宅伸のような人になることを目標としてるのである。世界がみんな三宅伸なら、紛争も戦争もゴタゴタも何も起こらない。平和な世界をつくるために、人は三宅伸にならなくてはならない。そのためにまず、三宅伸のしゃべり方から身につけようというのだ。ああいう声でもこもこしゃべっていれば、攻撃的な気分にもならないしいつもニコニコしていられる。人類は皆、ファックスのロール芯を常に携帯して、自分の気持ちがトゲトゲしくなってきたらすかさず口にあて、できれば岡山弁でしゃべってみるべきだ。 「ワシは今ハラがたっとるんじゃけどのう」 ただちにバカバカしくなって気持ちも丸くなる。 ファックスのロール芯一本からできる世界平和である。 ![]() |