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岡山の競輪選手というと、ヒゲの小橋正義に、すごい顔の本田晴美、顔も体もでかい三宅伸などが思い浮かぶ。 しかし今回は、岡山の目立たぬ至宝、小川巧を紹介してみたいと思う。 目立たぬ、というのもいきなり失礼かもしれないが、じっさい目立たない人だ。でもいったん彼を“発見”したら、もう目を離せなくなること請け合いである。 さして体が大きいわけではない。 顔も、よく味わえば「たまらん……」というスルメのような味わいがあるんだが、パッと見ただけではそのへんのお兄ちゃん……いやオッサンとしか見えないかもしれない。 小川巧が目立つのは競走の時である。 小川巧は先行選手ではないので、誰かの後ろで戦うことになる。後ろにつくということは、他のラインの選手を外に張ったり内を締めたりしてジャマするという仕事が課せられているということで、小川はそういうことを、名前通りに実に巧みにやるのだ。ハデにはやらない。ふと気がつくとキチンと仕事をしているという男なのである。自分の応援している先行選手の後ろに小川巧がついてくれるぐらい心強いことはない。 でも心強いが心配でもある。先行選手のためにやるべき仕事を終えたら、次は自分のためにそれ以上の仕事をし始めるからだ。 「あっ」 と思ったら、いつの間にか先頭にいたりするんだ。それもハデにはやらない。小川の走っているところだけ音が消えたような、そんな走り方なのだ。それで音もなく勝ってしまう。いったんその勝ち方を見ると、「またやってくれるんじゃないか」と車券を買い続けることになる。 小川巧については、もうひとつ、特筆すべきことがある。自転車に乗っている時のスタイルが抜群なのだ。足がすらっと長く、上半身も美しく引き締まっている。「体がハンサムな男」なのだ。だから車券を買わなくても彼の姿には注目しておいてソンはない。日本一自転車に乗る姿のカッコイイ選手だ。
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