にっぽんのたくみ日本の匠★小川 巧おがわ たくみ

小川巧といえば、いつも競輪場で見かける千成ヒョウタンのイラスト入り巨大横断幕である。

なんで千成ヒョウタンなのか。

小川家の家紋がソレなのか。

ずっと疑問に思って夜も寝られないでいたが(いやちょっとウソ。小川巧のことを常に考えているわけがない)、ある日、勝利選手インタビューに出てきた巧を見て、

「なるほどそーだったか!」

とヒザを打った。

ヒョウタンによく似た顔だったのだ。

つまり稲村の横断幕におサルのイラストを入れるようなものか。サルの絵が描いてあったら「ほー、この稲村ってのはサル顔なんだな」ということがよくわかるものの、稲村をバカにするという視線も喚起してしまう。

その点、ヒョウタンなら縁起がいいものなのであるから、いくらでもフューチャーできる。

うちの近所に、ヒョウタンを趣味で栽培している家があって、そこでは各種の形のヒョウタンが垣根にぶらさがっており、そこを通りがかると無数の巧に見つめられているようで恥ずかしい……なんて思う人はいねえんだろうな。ヒョウタンといっても、ヒョウタン型の輪郭をしている、というような単純な似方ではなくて、ヒョウタンにつきまとうところの「ひょうひょう」とか「なんかニタッとしてしまうようなほのかなおかしさ」とか「その中に秘めたほのかなカッコよさ」とか、そういう部分が似ているのである。それはそれなりに鍛錬を積んだ人間でなくては、その良さを理解することは難しいというなかなか奥の深い顔なのである…………ヒョウタンに似た男・小川巧。

かく言う私も、ナマで見ないうちにはその良さをよくわかっているとは言い難かった。

三宅伸が小川巧へ応援ファックスを送ったことがあり、そこには「こんどまた車輪組んでね」と書いてあって、「車輪組むってなんのことだ。自転車組むの間違いじゃないのか。そんなコトバも間違える三宅伸なのか……」とか思っていたこともあり、中国地区プロ前夜祭パーティーで、バイキングテーブルのまわりを所在なげにうろうろしていた小川巧に「あのー、車輪組むってのはなんなんでしょうか」とお尋ねしてみたのだ。

最初、恐かったんです、小川巧の笑った顔を見たことなかったんで。

勝利選手インタビューで笑うことはあったけど、それはなんかひきつった笑い顔でかえっておっかなかったし。体つきと顔の感じから、「組の鉄砲玉タイプ」なんではないかという恐れも感じた。

しかし、おそるおそる聞いたら巧、いきなり「イイヒト」なのであった。

「あ、それはね、車輪をね……」

ものすごく丁寧に教えてくださった。

ちなみに車輪組むというのは、文字どおり車輪を組むことだそうで、つまりあのこまかいスポークから組み立てるというから、これはすんげーめんどくさい作業である。そんなことを三宅伸は小川巧に頼んでいいのか!

「うん、やる人とやらない人がおるけえ」

「で、小川さんはやる人で、他の人のも一挙に引き受けておられると」

「そうじゃね(ニコニコ)

私に対していい人であった、というより、人類に対していい人であるというような、小川巧はそういう人なのである。その「いい人」ぶりが女をも惹きつけるという、そこまでに達したいい人ぶりであった。

ふつう、巧タイプの顔でいい人である場合、「あの人もいい人なんだけどねー」と言われてお手軽に使われてしまって終わり、ということになりがちなのだが(すいません)、巧の場合はそのいい人ぶりが「ス、テ、キ……」となるのである。

ウソではない、パーティー会場でもモテとったぞ。いやちょっと年齢高めの女性が主ではあったが、でも若い子もたむろってたぞ巧のまわりに。少なくとも三宅伸よりはモテていたといえる。

★★★★★★★

小川巧の魅力、実は私はココまでだと思ってました。

競輪競走では「周回中はヒョウタンの顔でもくもくと自転車こいでてジミだがいざとなると鉄砲玉と化す巧」で、自転車をおりると「あまりにいいヒトで女をとろかす巧」だと。

しかしだ。このふるダビ佐世保で、またちがう巧を発見したのである。

「なんじゃこのカッコいい男は」

出走前の選手を映しているテレビ画面に、すらっとした、シャープなハンサム男がいた。「誰じゃいったい」と新聞を見ると、なんと巧ではないか。

「ウソだ! 巧はヒョウタンのはずだ」

よく見てみた……確かに巧である。

ヒョウタンである。

なのにカッコええのである。ヒョウタン的カッコよさではなく、いわゆるふつうの、誰にでもわかる「ハンサム」になっている。

「なぜだ……」

その後、どっかのホームページでも「小川巧、どうして自転車乗ってるとああカッコいいのか」と書いてあったから、私のアタマが狂っていて幻影を見た、というわけではないだろう。

そうなのだ。自転車に乗って周回している最中とか、体が美しいんだよ。足の太さと胴体のバランスおよび踏みこんだ時のシルエットとかさ。

岡山というと、三宅伸か(と、最初に名前を挙げるのは私ぐらいか)、本田晴美か、小橋正義か、あるいはギャル向けには石丸寛之か友定祐己か、というところであって小川巧ってのはついつい「あー小川巧ね」という程度に流されてしまう選手なんではないだろうか。

そんなことはない。

小川巧、そうとうふしぎだ。

味わい深く、かついいヒトで、かつハンサムで、かつヒョウタンに似ているのである。

こんなヒトを注目しないわけにはいかないではないか。

(で、きょうのふるダビ決勝、小川のアタマで総流しかけてみた。…………いや結果に悔いはない)

 

どうしたってコレでは左のヒトのほうが良さそうなヒトに見えますが、でも右のヒトは、こう見えても、すっごいいいヒトなんです。あ、左がワルモノってわけじゃありません。


●胴体 ●目 ●耳 ●口 ●手 ●太腿 ●骨