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まずファン代表決勝出場者が箱の中から、車番のついた玉を引く。運命の一瞬である。といっても、この段階では、どの選手とペアになるのかまだわからない。あとから選手が出てきて同じように玉を引いて、はじめて、カップリングが成立するのだ。だから何番を引いたところで、楽しみはまだある。井上さんと決まっている一番車以外なら……。と思いつつ玉を取りだしたら、
「白の一番車! 井上さんです!」
運命は早々に決まってしまったのだった。中野さんが「あ、今、あ〜あって顔したね」と言ってたが(中野さんはじつに目ざとくこういう表情を読む)、選手が玉引くのを見てワクワクする楽しみがいきなり消えたしなあ。三宅伸出場が消えた今、私の望みは「小橋とコンビを組んでぎこちなくがんばる」だったのだ。いや、小橋が出るかどうか知らないけどさ。何かこっけいなこと言って小橋を笑わせる、あるいは何かマズイことを言って小橋の眉間に十字架をつくらせる。日刊三宅伸捨て身のネタとしてはそれがいちばんかと。
しかし、取りだした玉をカメラに向かって見せるんだけど、きっちりさかさにして見せちゃって、さとうゆみさんに「青木さん、逆、逆」とか言われて「え? は?」とかウロウロしてハズカシー。しかしさとうさんなぜ私の名前を知っている。……それはこないださとうさん司会のスピードニュース&トピックスに「日刊三宅伸の女」として出たばっかりですから。舞台の上で目があって会釈。いたたまれない。
とにかく、慣れないことをさせられているから頭がカーとなっている。カーっとなってるなら我を忘れりゃいいのに、へんなものばかり目につくんだ。なにしろそこらじゅうにモニターがあって、自分が今どう映ってるかがけっこうよく見えるんですよ。で、今まで3回のクイズグランプリを見て、出場ファンなんてのは、絵としてはどうでもいいもんなんです。あくまで主役は選手。その横でなんとなく、ボーっとしたさえない灰色のモノがいるという、ファンのほうはそんなものなんです。それはわかってるけど、モニターに映っている自分というのはやっぱり自分なので目につく。気になる。
まず服装が、こないだのニュース&トピックスに出た時とまったく同じだったのでナサケナクなる。ついでに二年前、MXテレビの競馬番組に出た時もまったく同じ服装で出たのを思い出す。これが私の勝負服ってことか。で、その服は6年前に京都の河原町今出川の安売り服屋で千円ぐらいで買ったモノだ。モノ持ちがいいなあ、私(ちがうだろう)。しかしテレビを見ている人は私の着ているモノのことなんかどーだっていいのだ。気にしてんのは私だけだ。
中野さんにうながされて、一番車の席につく。「丸いほうのイスに座ってくださいね」と言われて、見るとそこには「選手用=背もたれつきイス」「ファン用=背もたれ無しイス」があり、なんかそれってちがうんじゃないかと思いつつ、着席。ファン代表が全員玉を引き終わって着席すると、いよいよ選手の登場だ! 今年はいったい誰が出てくるんだ!
滝澤正光 松本整 内林久徳 高木隆弘 後閑信一 小嶋敬二 太田真一 伏見俊昭
どうですかこのメンツ。なーんか偏ってるような感じがしませんか。北日本と関東と南関と近畿と中部。九州はシゲさんがカバーとしても(それもツライが)、中国と四国はどこ行った! 「中国地区代表は去年は三宅伸だったけど今年は誰だ、巧ちゃんか? あるいは金山クンか? でも絵ヅラ的にちょっと弱いかもしんない、だとすると三宅伸の連続登板もありえるのか? あっ本田晴美という大物の存在を忘れていた!」とかいってヤキモキしていた私がバカみたいではないか。そもそも中国地区は定員ナシかよ! どうなってんだ! 中国四国地区ファンのスピードチャンネル視聴者をバカにしとるんか!
とまあ、今は冷静なのでそんなことも書けるわけですが、その時は「あっ滝澤」「あっゴカン」とか口あけて見てただけでした。でもそんな私の目で見ても印象的だったのが伏見で、トリで登場したんですけど、一人だけ物腰がスターなんですよ。ちょっと、こう、ポーズつけたりタメたりしてみせて。微笑んで見せるのも堂に入ってるんだ。伏見ウオッチャーの友人によると、去年までの伏見は「まだオドオドしたボク」ってところがあったのに、今年になって急激に変わった。まず体つき。首がぶっとくなり、体もヘラクレス入ってきた。そして態度。堂々としつつ、コビも忘れないという、売れてる女性アイドルみたいな自信を身につけた、らしい。そうですか。確かにそんな雰囲気でした。
選手も玉を引かされて、それぞれファンとペアを組む。他の人たちが一喜一憂してるのを見ていてうらやましい。でも、このメンツだったら、誰がいいんだろう。……小嶋だろうか。同郷の内林……冷たくされそうだしなあ。といって太田というのも。別な意味でよりどりみどりというか。うーむ。私以外のもう一人の女性は秋田から来た伏見ファンだと言っていて、そうしたらしっかり伏見とコンビになったので他人事ながら「よかったなあ」と思った。私はふだん、人の幸福を激しく妬む者なのですが、そんなふうに他人の幸福を喜ぶなんて、それぐらい「出てきた選手がどーでもよかった」ってことなのだろうか(失礼)。
ここから先のクイズそのものは放映されると思いますので、テレビに映らなかったことで気がついたことをパッパと書いていきましょう。……って、パッパとはとうてい流せないぐらい、私シゲさんにカンドーしちゃいました。
シゲさん! あなたがこんなにちゃんとした人だったとは! いやちゃんとしてない人だと思ってわけじゃないけど……いやちょっと思ってたかもしれないけど……とにかくシゲさん見直しました!
いえね、選手と二人で席につくじゃないですか。いちおう「あ、ドーモ」「いやドーモ」とかギコチなく挨拶交わしたりしますわな。こういう時はなるべくいろいろしゃべってほぐしておくほうがいいと思い(それで失敗することも多いが)、「いやー、マグレでここまで来ちゃって、私、たぶん問題はひとっつもわかんないと思います」と申し述べたところ、「え〜? そうなの〜? まいったね〜。これ問題むずかしいよね〜」とニッコニコ。エエ人やん!
……いや、ここまでは「いかにもシゲさんらしい」ということで予想はつく。それだけじゃなくて、態度が大人なのよ、シゲさん。まず「女性とペアになってよかったです」と、ウソでも言ってくれるのでありがたい。私なんかは中野さんに「どーですか井上くんと組んで」とつっこまれて「ううう、うれしいです」とあからさまに苦しい返事をしてしまったというのに。
最初は早押しクイズで、私にゃさっぱりわからん難問が繰り出される。で、シゲさんがわかって「ピンポン!」て押すじゃないですか。そもそもシゲさんが「わかる」ということ自体がけっこうオドロキだったんだが(ごめん。でも去年の収録見てたら「シゲさんクイズ苦手そう……」と思わないわけにはいかなかった)、それで私に解答を耳打ちしてくれるわけだ。そうです、私に答えさせようとしてくれるんですね。これ、なかなかできる態度ではないですよ。他の選手はボタン押したらアヒルがエサに食いつくみたいにガーガー我先にと答えてたもん。それで私は(問題は忘れたが)「吉井秀仁選手」ってのを、ぜんぜんわかんなかったけどシゲさんに教えてもらって答えさせていただきました。
で、「正解です!ピポピポピポーン」となると、肩抱いて喜んでくれるんです。この私の肩を頼まれもしないのに抱き寄せた競輪選手は児玉広志とシゲさんだけだが(児玉もこの件は一生言われるな)、シゲさんのソレは実に感じが良いし、「共に喜ぶ」雰囲気が自然に出ていて、なおかつ絵になっていてよかった。グランドスラム取る男は違う。
この2年間に行われた特別競輪決勝の実況音声を聞いて、そのレースと、開催競輪場と、優勝者を早押しで当てる、っていう問題がいくつか出て、それもけっこうビシバシ当てまくるシゲさん。私なんかさーっぱりわかんなかったです。私が詳しい特別決勝なんて今年の宮杯ぐらいですもん。ホレ伸ちゃんが出たからね。って、遠回しに三宅伸が特別決勝に乗らないのを責めているような言い方ですがそんなことはありません。シゲさんは「次はどこの決勝が来るかな〜。イメージしておくぞ! イメージイメージ!」とじっと考えこんで次の質問に備えているところも、なんか可愛かった。さすがスピードチャンネル専属解説者だけあってほとんどのレースが聞くだけでわかってさすがなのであった。しかし「スピードチャンネル専属解説者としてレースをたくさん見たお陰で云々」としゃべり出したら、中野さんに「はいはい、では次」と軽くいなされていて、やはりシゲさんはシゲさんであった。
さて、まわりに目を転じると、去年の三宅伸の役割を今年演じたのは高木隆弘であった。ずーっと0点。64期は競輪クイズに弱いのか? うーん有坂とかも弱そうだな。クイズの途中に、予選落選のファンのためのボーナスクイズがあるんだけど、高木はそれも自分たちが答える質問だと思って「待って待って、聞こえなかった!」とかいって必死になって考えてるし。高木は2番車で、つまり私のすぐ隣におり、私が思わず「たーかーぎーさーん」と笑ってしまうと、こっちをむいて頭かいて「テヘヘ」と笑うなどは、あまりにハマリすぎる姿だった。
真後ろが滝澤先生で、ナナメ後ろが内林で、そのむこうが松本整で、私の席から見えたのはそれぐらいだったが、小嶋がとにかく元気よくて(というか声がデカくて)存在感バツグンであった。あと松本整の「こんなんわっからんで〜」のボヤキもいい味出していた。なお、成績だが、前回出場時にはぜんぜんアカンかった内林は今回「なぜそんな問題を正解できる?!」というような頑張り(まぐれ……ではない……よな?)があって、堂々の2位という驚くべき成績。さらに驚くことにシゲさん&私チームが3位入賞してしまいました。いちばん最後の「当たれば得点倍!」の問題「日本でいちばん逃げ切りの多い400バンクはどこ」にあてずっぽうで「西武園」と答えたら当たって、小嶋敬二チームを差して入賞したのであった。実際の競走でもこのような勝負根性で小嶋を差したいものである。あ、私じゃなくて三宅伸が。優勝チームはまあ、オンエアまで伏せておきましょう。高木じゃないことは確かだ。
で、3位まではペア選手と一緒に目録持って舞台の上でカメラにガッツポーズとかさせられるんですが(恥)、シゲさんが私の手を高く挙げてくれて「ああこれが表彰台でよくやってるアレか」と思ってちょびっと感激した、が、やはりガラにもないことなのでツライ。それから出場者全員がステージの上から手を振る(大恥)。選手はわかるがファンにまでそんなことさせんといてくれえ〜。でもやれっていうから大まじめに振ったけどさ。
そんなわけで、今回、鬼脚の思いもかけぬナイス大人ぶりをすぐ横で堪能できて、シゲさんの株はすげーアップした、というのが最大の収穫でした。でもその後の選手トークショーではやはり「シゲさん……もうちょっとどうにか……」というところが露呈してしまっていたので、要は「どこで使うか」なんでしょうな。
で、クイズが終わったら車両スポーツ映像のナントカ専務が私んとこに駆け寄ってきて、
「いや〜青木さんが出てるなんて知りませんでしたよ〜! いつもどうもありがとうございます! 井上さん! こちら三宅伸のオッカケの青木さん!」
だって。やめてくれ(泣)。そのあとも何人もの人が私んとこ来て「青木さんが出てるとは知りませんでした! いつもありがとうございます」と声高に感謝するのである。私は車両スポーツ映像の人は一人も存じ上げないし、駆け寄ってきてくれた人も、会ったことすらない人たちである。なんでこっちが知らなくてあっちはよく知ってんだよ……。一回、ニュース&トピックスでちらっとホームページが紹介されただけなのになぜ。
三宅伸のファンでホームページやってて各地の競輪場に追っかけるってそんな珍しいかい!
3位入賞の賞品が豪勢で、「デジタルビデオカメラ」か「大型冷蔵庫」か「二十万円相当の旅行券」で、私はまず「そういえば三宅伸がふくらはぎで冷凍庫が壊れたと書いてたな……ならこの冷蔵庫を贈れば……」とか考えてしまい、我に返って「バカモノ!」と自分を叱った後、ビデオか旅行券かで悩んでいると(沖縄猫のケイレン発作を撮って獣医に見せるためにビデオが必要かなあと思った)、車両スポーツ映像の、また知らない人がやってきて「旅行券で三宅伸をおっかけなきゃね!」と言うのであった(泪)。
賞品は旅行券にしました。これで三宅伸をおっかけます。
(おわり) |
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