
其ノ二 「筋力について」
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古武術に相応しい身体というものを考えますに、私は特別、筋力を鍛える必要は無いと考えております。鍛える必要が無いと言うと、多少誤解を招くかもしれませんが、つまり、改めて筋肉の発達だけを促すようなトレーニングなどを行わなくても、「武術の形」を行えば、それだけで必要な筋力が、必要量蓄えられると思うのです。もちろん、これには個人差がありますので、明らかに「筋力が上がった」と目に見えて分かる方もいらっしゃれば、見た目の変化が殆ど無い方もいらっしゃいます。ですが、「その方に必要な筋肉量」を得られる事は、間違いのない事かと思います。
ご覧頂きました身体を造りますのに、私は一切の「筋トレ」や「トレーニング機器」の利用などを致しておりません。すべて、古武術の「形」によって、自然と造られたものです。また、良く重たい刀や木刀で筋力を造ろうとされる方もいらっしゃいますが、私の場合、特別に重たい木刀や刀を使っている訳でもありません。(一部の稽古で重量のある木刀を使用しておりますが、それは筋力の発達を促すものではなく、身体の発達には直接関係がないと思っております。)
腹の強さは、この脱力時と圧をかけた状態の差が大きい程、腹圧が大きく良いと言われております。私などは大したことは御座いませんが、凄い方になりますと、圧をかければ風船のように、引っ込めますと穿った穴のようにと、その差は絶大となり、腹力も一段と大きなものになります。決して、脂肪によって膨れた腹と同じではありません。私の場合は、体脂肪率で申しますと14%程ございますので、結構脂肪が多い方ではありますが、腹力の凄い方の腹は剛柔整ったものです。
また、上の写真の赤丸の部分は、脇腹の筋肉、斜腹筋と呼ばれるものですが、この筋肉の厚みを出しますのも、通常では鍛える事が非常に困難です。例えば腹筋、つまり、腹直筋が割れる事に憧れる方が沢山いらっしゃいますが、腹直筋の場合、単純に体脂肪率を下げれば、例えそれ程発達しておらずとも、割れた筋肉が顔をだします。しかし、実際はこの斜腹筋の方が鍛えづらく、また古武術では重要な筋肉となると思います。良く、江戸時代の人物画、或いは近代に入りましてからでも、明治時代の人物写真などを拝見しますと、皆さん立派な「腹」をお持ちですが、古来の人々の生活の中には、この「腹力」をもっと有効に活用した身体運用法があったのではないかと考えます。最近話題になっております古式の歩法や、もっと身近な着物を着る事自体も密接に関係しているように思います。 |