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地図を頼りにだいぶ歩いた。
仮面を付けた子供が二人。
前を通り過ぎようとすると、一人が突然言った。
真っ赤な仮面が笑っている。
その地図にはテヌカリがある
するとすぐに、もう一人の真っ青な仮面の子供が否定する。
こっちの仮面は苦悶の表情。
その地図にテヌカリはない
二つの仮面が僕を見上げて、
さて、嘘をついているのはどっち?
と声を揃える。
そんなことは知らない。
ソトの者はいつも迷う
ソトの者は仮面なしで人に会う
さてこれは本当?
テレビの影響かもしれない。そういう番組があるんだろう。
「うるさいよ」
僕はそう言ってその場を離れる。
そいつらは図々しくもついてきた。
お供しましょう
一人では何かと不便でしょう?
その地図をお見せなさい
近道を教えましょう
鞄をお持ちしましょう
見るといつの間にか人数が増えている。黄色い仮面と緑の仮面。
「お前ら、何だ?」
僕は少し凄みを効かせてみる。だが、全く効果なしだ。
どちらまで行きなさる?
どちらから来られた?
腹は空いてはおりませんか?
今晩の宿はお決まりですか?
言っていることがだんだんおかしくなってきた。
それに、子供くせに妙な言葉遣いだ。
それより何より、知らない間にどんどん人数が増えている。
そっちの方が問題だ。
今では八人になっている。茶色と白と黒、それに紫の仮面が新たに加わっていた。
しかし、これと言って何をするわけでもない。
ただ口々に話しかけながらついてくるだけだ。
給金が安くてお困りでしょう
嫁のお世話を致しましょう
「余計なお世話だ」
僕はそう言って、一番近くにいた青い仮面の子供の肩を軽く押した。
押された子供が尻餅をつく。
ひどいお方だ!
一同が一斉に言う。
そんなお方は死ねばよい!
一人が言う。すると、他が一斉にあとに続く。
そうじゃ、そうじゃ
腕をもがれて
腹を割かれて
火に焼かれて
水に飲まれて
身が腐って
気が狂うて
死ねばよい!
そう言いながら、徐々に間合いを詰めてくる。
遂に一人の子供が僕の腕を掴んだ。
すると他も一斉に僕のスーツやら鞄やらに取り付く。
子供のくせに凄い力だ。
よいことを思いついた
我もじゃ
我も
我も
僕をつかんだまま、全員が我も我もと騒ぐ。
聞きたいか?
赤い仮面の子供が僕に訊く。
我らが何を思いついたか聞きたいか?
「何だ?」
僕はようやくそれだけ言って、大人の威厳を保とうとした。
食われて死ね!
「何?」
ヌシハ、ワレラニ、クワレテ、シネ!
そう言ったかと思うと、全員の仮面の口が裂けて一斉に僕に噛みついた。
© Annatto Shiquiso
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