過ぎ去るものと永遠のものThe fleeting and the eternal
私達は驚きや恐れを持って空を見上げます。しかし、それは空であり、天文学者が見ている客観的(抽象的)知識の要素としての宇宙なのです。星々や惑星が軌道に乗って回っているという、私達の惑星のシステムは、重力によってダンスを踊されている、二重に三重にと幾重にも重なった星々のシステムのことです。つまり、大きさや質量のヒエラルキーをさらに増すような宇宙を形作るように働いている力と、そのシステムは全く同一のものです。渦巻く星や星雲、何百万年も続いてきた衝突、しきりにすべての星を吸収してきたブラックホールの地獄のような光景。望遠鏡や無線アンテナ衛星や宇宙探査のような道具によって、私達は常に変化している宇宙の中で自分達が住んでいる場所に対する概念を形作ることができるようになりました。
10次元の連続体と同様の時空世界で、物体と力は基本的な4つの力によって結びつけられています。いかに現実からかけ離れた、奇妙なもののようでも、私達が認識できる現実を形成しながらも限定することの出来ない概念があります。今日の物理学―それは、現実を見つける新しい方法や理論、形而上学でさえ常に発展させている―は、常に変化しつづけ、そして、絶え間なくそれ自身を再構築していく宇宙の姿を私達の前に露にします。宇宙の拡張や、約1500億年前の宇宙の創世記にのまれて見えなくなった、考えうる起源について、私達は語っているのです。つまり、星々の消滅を意味する爆発での全カオスや順序や星々の炉で作られた、もしくはまだそこで作られていない物体について語っているのです。私達は、自分達の周りで起こっている全てのことを発見したいという試みの動機によって支えられている、無言で一時的・依存的なただの観客です。その起こったことを天球の跳躍として受けとめ、私達は星座を描き続けました。この点において、朝岡あかねの作品は、私自身の周りにある天空へと広がっていきます。その星座は、今日では私達の都市生活の一部となるのです。世紀末が過ぎていくように、インターネットをナビゲートするカメラのレンズ、反射鏡、望遠鏡の焦点面で星座は再現されるのです。同様に、変化や直観された進化・発展は、ヘラクレイトスが"万物は流転する"と言った通りに、まるで嵐を待つような、そして混沌の力を呼び起こすような永遠の時間となりました。
これらの星座は、アーティストの目と意志によって表現された鍵なのです。ちょうど隠された意味や与えられた現象をコントロールしている法則を発見しようと、自然を精緻に調べる科学者のように、変化しつづける現実をまとめあげる原初的要素が集められたるつぼを持って、朝岡あかねは錬金術師のように振舞います。
私達天文学者や天体物理学者は空を見て、宇宙で何がどのように起こっているのか、私達の周りで見ることのできる多様性を生み出している現象や相互作用を指すものを探します。同じように、このアーティストは定理を視覚的に提示します。それは、永久であることと、過ぎ去ることとを等しくする方程式であり、その仕掛けの時間の中を貫いた進化を生じさせる相互作用と結合でもあります。物事を解決しようとしたとき、何か答えを持っていそうな星を私達は見ます。もしくは自然によって立ちつくませれた、私達の先祖のように嵐を待つのです。
Javier E. Amentia ハビエル・アルメンティア(天体物理学者、パンプローナ天文台所長),1997
"Waiting the storm"展カタログより
訳:山本円香