オペラから大衆演劇まで 7時30分起床。久々に目覚まし時計で起きた。
朝のモロモロをやって外出。本日は、メトロポリタン歌劇場のライブビューイング「トスカ」。 今日しか都合のいい日がないので、朝10時30分の上映開始に合わせて、つくばエクスプレス柏の葉キャンパスのららぽーとまで遠征。 前回は「ルーキーズ」にぶつかって、30分前に行ったのになかなかチケットが買えず、アタマを見損なったので、今回はネットでチケットを先に買っておいたし、かなり早めに着くようにしたのだが、そういう時に限って問題は発生しない。 「トスカ」は大好きな演目で、何度も見ているし、CD全曲盤もいろんなバージョンのものを揃えた。しかしこのところはヴェルディに凝っていたのでご無沙汰していた。 今回の公演は、キャストをきちんと確認しなかったのだが、カヴァラドッシをマルセロ・アルバレスが歌うじゃないか!これは驚き。トスカはカリタ・マッティラ。そして、オペラ史上屈指の魅力的悪役・スカルピアに、ジョージ・ギャグニッザという知らない人が。だが、このギャグニッザが本日最大の収穫だった。 レオ・ヌッチもレナード・ブルソンも、上品で渋くてカッコイイ。しかしその分、悪役としての迫力が薄い。カラスと共演したゴッビはもう、目を剥いて歌舞伎も真っ青のベタな芝居で、この役の「悪」ぶりを全面に出していた。ヌッチもブルソンも、知性と教養が前面に出て、カッコいいけど悪役の迫力が薄かった。 しかし……ジョージ・ギャグニッザは違う。はっきり言おう。ゴッビの再来だ!歌唱ではまだゴッビの域には達していないのかもしれないが、芝居に関しては、この役の底知れぬ悪党ぶりを嬉々として演じていた。笑うと善人さが溢れるのに、スカルピアの時は、もう、どこから見ても邪悪な悪の権化。素晴らしい!スクリーンに向かって拍手したかった。 カリタ・マッティラは、ちょっとオバサン臭さが強かったなあ。マルセロ・アルバレスは、見るたびに膨らんで、往時の精悍さはすっかり消えてしまった。声もかつての鋭さよりも丸く甘くなってきた。これは円熟の証拠だろう。カヴァラドッシは素晴らしかった。 で、ゼフィレッリの演出をお蔵入りにしての新演出は、「ヒッチコック風」という宣伝文句だった。どのへんがそうなのか?と疑問ではあったが、ラストのラスト、トスカが大立ち回り(アクション映画だ!)をして追っ手を蹴散らし、塔からダイブするところで、舞台のライヴなのに、ストップモーションになったぞ!飛び降りようとする瞬間の姿が凝固したのだ。 と、見えた直後に暗転。人形なのか本人なのか、飛び降りる瞬間の姿のままで足下が固定されていたのだ。 この演出には、「ほほう、そうきましたか」と驚いた。 でも、これは別にヒッチコック風ではない。いろいろ考えて、ラストの「銃殺のヤラセ(実はヤラセではなく本当に銃殺されてしまうのだが)」のリハをするところで、トスカが死んだ振りをレクチャーするところが笑えた。ギャグとして演出してあったのだ。このへんがヒッチコック風なのかもしれない。サスペンスが盛り上がるところでぽんとギャグを放り込んだりするのがイギリス時代や「北北西に進路をとれ」のヒッチコック・タッチではあった。 それと、衣装を担当したミレッラ・カノネロの名前を聞いて「バリー・リンドン」の衣装担当の人だ!と思ったらやっぱりそうだった。この人、幕間のインタビューでスカルピアについて「あのサノバビッチ!」と放送禁止用語を口走ってインタビュアーのS・グレアムを慌てさせていた。このライヴ・ビューイングはアメリカでは高校に無料配信されているんだろ?演出のリュック・ボンディもゼフィレッリの名前を何度も聞き返してグラハムに顎を掴まれていたが。 とにかく、ジョージ・ギャグニッザという逸材を知ったことが大きな収穫だった。 その後、相方の買い物に付き合って、ららぽーとを散策。アタシは何も買わず、待ってるだけ。 その後、レストラン街のそば屋で、アタシは「ハーブ鶏とねぎのつけそばとイクラ丼のセット」を食べる。つけそばが極めて美味。メニューを見て閃いたのが的中した。 柏の葉キャンパスから無料連絡バスが出ているという日帰り入浴施設「みのりの湯」 に行くことにしたが、無料バスがちょうどない時間に当たってしまった。路線バスの本数も少ない。タクシーを使うのもなんだかもったいない。 で、2つの路線が合わさるはずのバス停まで歩くことにしたが、国道16号線にはバス停はない。えんえん歩いてもバス停がない。そのうち、「みのりの湯」に着いてしまった。歩くこと50分。今日はウオーキングする予定はなかったのに、1万歩は歩いてしまった。
で、「みのりの湯」。ここは月替わりで大衆演劇を上演していて、それがウリになっている。ふ~んという感じで、まずは風呂。かなり歩いて汗をかいた。というか、ららぽーとが暖房が入っていて妙に暑くて嫌な汗をかいてしまったので、さっぱりしたかった。 ここは、2万8千年前のヨード泉と海水泉のミックス。なかなかいいお湯だった。 場内アナウンスで、芝居の夜の部が始まるんだなあと思っていたが、相方が是非見たいと言い出したので、それじゃあと言うことで見ることに。以前、九十九里の温泉に行った時にも大衆演劇の一座の女剣劇芝居を観たことがあったが、久々。 劇団荒城、というところの公演で、座員全員の日舞というか演歌に合わせてのアテ振りが、えんえん90分ほど。ルーティーンに流して気が入っていないような踊りばかりで、まあこういう昔のヘルスセンターみたいなところでマトモな踊りなんか見せる気にはならないんだろうなあ、もしくはそういう踊りは出来ないのかなあと思っていたが、ようやく芝居が始まった。短い寸劇みたいな、「ご存知」モノのエッセンスを見せるようなものかと思っていたらさにあらず。 大衆演劇の劇団の内紛話。それに「新解釈の国定忠次」が絡み、配役で揉めて殺人事件が起きる。 ここまで見てしまったら、どうオチをつけて芝居を終わらせるかに興味がいく。半端なまま帰りたくない。最後まで付き合おうという気になった。 新しい忠次に指名された新人(女形が映えるが、素顔はヤンキー系の兄ちゃん)が素顔からメイクと扮装を完了させるまでをえんえんと見せるが、大いにダレる。これはおばさんファンへのサービスなのか?メイクをしている間に他の出来事があるとか、なにか工夫をしないと退屈極まりない。大衆演劇のファン・サービスというのは、普通の芝居の作劇とは別のところにあるから、大衆演劇独特の「お約束」なのかもしれないが。 それでまあ、いろいろと事件が起きるが、その処理については、大いにツッコミを入れたくなって困った。「ちょっと待った!」と、歌舞伎の「暫」みたいな事をしたくなったのだ。 とは言え、メタフィクションの体裁で、オチはそれなりについて、なかなか楽しかった。ベタな「大衆演劇」ではなく、かなりユニークで新しいテイストを狙っていると感じた。 そこで考えた。 ここまで新しいことをやる「大衆演劇」とは何か?いわゆる「小劇団」とどう違うのか?小劇団はお客をエンターテインさせようとサービス精神旺盛なところが多い。たとえば、「あぁルナティック・シアター」。こういう小劇団と、今日の「劇団荒城」は、どう違うのか?演歌のアテ振りショーとお客からのおひねりがあるかないかの違いしかないように思える。まあ、ベースになっているのは大衆演劇では歌舞伎や新国劇、新派の世界であるが、小劇団は、まったくなんの縛りもない。その辺が違うのか。 大衆演劇は古いシキタリが残っている「伝統的芸能界の底辺」に位置すると思うが、小劇団は、仲間が集まって会場を押さえてしまえば、劇団を旗揚げ出来る。誰かに仁義を通すとか挨拶をするとか、そういう事は全く不必要だ。その辺だけの違いなのか? 中身としてはそうだろうが、やっぱり劇団を構成する面々の意識の問題か。代々旅役者、という人が多いんじゃないか?突然変異みたいに芝居をやりたいと思い立ってグループを立ち上げるのと、そのへんが根本的に違うのか。親も役者、というのはその頂点が歌舞伎だろうし、日本の芸能の原点みたいな、プロトタイプなのが大衆演劇なのかなあ。 今日の芝居も、もっときっちりと交通整理をして無駄なところはカットして締めれば、下北沢で上演してもまったくなんの違和感もないだろう。とにかく、踊りを含めて3時間は長すぎる! あとから調べたら、この劇団の熱心なファンは多いようで、いくつもファンが作ったサイトがあった。一番達者にやっていた「副座長」役の人が一番目立っていて面白かった(まあ、やりたい放題の役だから、でもあるけど)。 夜10時の最終送迎バスに乗って、柏駅へ。駅前の高島屋のファサードが激変したのに驚いた。 北千住経由で帰宅。 くーたんは熱烈歓迎モード。故ビワはむくれることがあったが、くーたんはそれがない。もうベタベタ。 機嫌を取って、1時ごろ就寝。 で。明け方、恐ろしい夢を見た。持ち歌が2曲しかない演歌歌手になった夢。その2曲のうち1曲が今度レコーディングする新曲で、お披露目を兼ねた「ワンマンショー」(単独ライヴとは言わない)をやって、新曲をライブでレコーディングしようとするのだが、マイクに向かうと、どうしても歌詞が出てこない。曲が鳥羽一郎の「兄弟船」とクリソツ(というかそのまんま)で、どうしても歌い出しが「波の波間に~」となってしまって録音が止まる。歌詞カードを探すのだが、それがメモみたいなのしか出てこない。それもどこかに行ってしまって、お客さんには帰ってもらって「一人居残りレコーディング」をするのだが、やっぱりダメ、という……。一人でやる歌手とかピッチャーとかって、こういう恐怖があるんだなあ。役者も同じか。アタシは学生のころ舞台に立ってセリフを忘れて3ページ飛ばしたことがある。劇団荒城の公演を見たせいだろうなあ。 恐怖で飛び起きた。 本日の体重:90キロ 本日の摂取カロリー:2718kcal Posted: (日) - 11 8, 2009 at 12:46 AM | |
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