ウチワの打ち上げ



 7時起床。
 8時過ぎに日記を書いていたら、学生時代の旧友から電話。彼女は結婚して子供が大きくなってから女優を再開して、若い時より今の方がコマゴマといろんな作品に出ている。で、子供の友達に頼まれて、某映画学校の実習作品に出たのだが、トラブルでリテイクする必要になった上にカメラマンの学生が交通事故で入院してしまい、スケジュールがガタガタになってしまったと。アタシの卒業制作に出て貰った事が記憶の繋がりで、朝からアタシに愚痴をこぼす電話をしてきたらしい。まあしかし、お互い中年になって、やっと芽が出たという感じ。

 今日は、学研時代小説の章割り改訂。問題点は把握したが、じゃあどうする、という名案が浮かばない。この章割りを書いてから「悪漢刑事4」にかかったので、早く頭を切り換えなければ。しかし、「悪漢刑事4」もゲラ直しを控えているので、完全に頭を切り換えてしまうのも困る。2つのことくらいを平行してやれなければダメなんだよねえ。
 コーンフレークを食って考える。

 そうこうしていると、昼。

 市川崑の名作「おとうと」が、公開当時の「銀残し」を復元してのリマスター版で放送されるのを録画。今まで放送されていたものやリバイバル公開されたプリントは、普通に焼かれたものだったので、「どこが銀残し?」と思ったが(ネガは銀残しの特殊な処方を経ていない……ネガはノーマルで、プリント段階で銀残し処方をした。ネガ段階で弄ると万が一の事故を心配したのだろうし、当時、銀残し処方をしたマスターポジかインターネガを全篇作るのはお金がかかるし画質も落ちるので避けたのだろう。それは後年の「幸福」でも踏襲されているが)、今回は、市川さんや撮影の宮川さんの意図を忠実に再現しようと、ベテラン技師の手により、東京現像所に保管されていた当時のカラー・タイミングのデータを元に、綿密な処理がなされた。これは、プリントを焼き直したのか、デジタル・リマスターなのかよく判らないが、見た瞬間、「おお、こういう色彩だったのか!」と驚くほど違う。
 なるほど、銅版画のような、渋い色調で、これはノーマルなプリントとはまるで違う。もともと当時のアグファ・カラーの色調は渋かったが、それを強調して、カラーと白黒の中間を狙い、しかも、絶妙に美しい。
 もちろん、それだけではない。内容が凄い。アタマの方の、岸恵子がデパートで万引きの嫌疑をかけられて強引に調べられる場面など、素晴らしい。
 鳴呼おれは、こんな巨匠の弟子だったんだなあと、改めて、師匠への敬意が深くなった。
 偉大な作品は、見れば見るほど巨大さを増して、聳え立つ。黒沢作品は、構えからして巨大だから判り易いけど、市川作品は一見すると小さなドラマだったりするから、判りにくい、そのへんの映画評論家はまともに評価も出来ない。しかし、ちょっとでも映画をやったものが見ると、市川作品は、唯一無二の工芸作品であって、その神経の細やかな出来上がりには、ほとほとため息が出るのだ。

 で、今日は相方と一応の脱稿祝いをやる。美味しい店のランチを食べて、カラオケでも、と言うプラン。
 が、相方と待ち合わせている最中に、お目当ての店のランチタイムが終わってしまった。
 ならば新規開拓しようと、北千住に最近増えてきたオシャレ系のカフェに行く。野菜を主体にしたランチで、お値段そこそこで美味しかった。
 で、相方のテニスのラケットのガット、なんだかんだで張り替える機会を失っているので、ならば今日今から張り替えに行こうということになって、御徒町へ。
 張り替えをして貰っている間、御徒町でカラオケを90分。ずいぶん久しぶり。
 その後、ラケットをピックアップして、御徒町の海鮮系丼の店で夕食。アタシは「マグロとしらすの丼」、相方は「焼きハラスの丼」。たった500円。美味かった。
 そういや、似た店があったよな、と思って近くを散策すると、ありました。しかし、さっきの店より150円ほど高いせいか、閑散。以前は凄く混んでいたのだ。この差を目の当たりにして、ショック。価格競争はこういう形ではっきり目に見える。まあ、我々が入った店は露天で、雨が降ったら濡れそうだが……。ワンコインというのは大きなウリだなあ。

 8時前に帰宅して、くーたんのご飯を用意して機嫌を取る。
 昨日の疲れが今日出て来た感じで、CSシリーズを見ていて、眠くなった。楽天は、もう万事休す。これはもう、日本ハムの力を讃えるしかないんじゃないか?やっぱりシーズン中、ずっと首位を走ってきたチームは凄いと言うことだ。
 セリーグはほとんど興味なし。落合中日は強いけど、このチームって、昔からなんだか、愛すべきチームって感じがしないのだ。ソツがなさ過ぎるって感じで。

 昨日の「報道ステーション」に足利事件で菅家さんの無期懲役判決を確定させた元最高裁判事のインタビューが流れた。これ、YouTubeを探せば誰かがアップしてるんじゃないかと思うが、「司法の責任」を放棄したような事ばかり言っていたのに呆れ果て、大いに憤慨した。こんなことを最高裁判事を務めた男が言うとは。結果として誤審をし、裁判の指揮も間違ったのだから、自己保身と裁判の権威の維持に汲々として卑怯この上ない発言と態度にならざるを得ないというのは、まさに、人間として最低。どうして真摯な態度で自分たちの過ちに向き合えないのか、と深い憤りを感じる。足利事件も、この前の高知白バイ事故も、警察や検察だけが悪いのではない。裁判所も大いに腐っていると感じさせる事柄が浮き彫りになって、この世に正義は存在しないのかと、暗澹たる気分になる。
 「そっち側」の一員であるアタシの旧友は、「普通に真面目に生きていれば、警察だって何かの事件の犯人だという疑いは持たないから、無縁でいられるんだよ」と言い切ったが、果たしてそうなのか?

 「アメトーク」は見ないで風呂に入り、すぐ寝ようかと思ったが、暑いので、しばらくテレビを眺める。と、MXテレビで、福岡在住のCMクリエーターの「とっておき映像」が紹介されていて、これが無類に面白かった。そしてオマケで、名作「下妻物語」「嫌われ松子の一生」を作った中島哲也が作ったプレステ(?)のゲーム「僕の夏休み3」(だったっけ)のCM(なのかこれ?)が、物凄いモノで、たった1分の中に、濃厚なドラマが封じ込まれていて、しかもこのゲームの本質を的確に表現していて、大変なものを見た、という感じ。
 このゲームは、オジサン世代が、かつての自分の(のどかで自然豊かだった)夏休みを再体験するものだが、この映像では、「私たち、どうしてこんな風になってしまったんだろう。あの頃は輝いていたのに」と思うチンピラたちの後悔の念になっている。
 映像は、汚いアパートを飛び出していくチンピラをその情婦が必死で止めるところから始まる。カットが変わると、そのチンピラを殺しに来た格上の「アニキ」(寺島進だ!)がドスを抜く。階段を駆け下りてきたチンピラの行く手を阻んでドスを突くアニキ。階段の上でその光景を見て泣き崩れる情婦。そうだよねえ、小学生の頃、こんな人生になってしまうとは絶対に想像もしなかったろうねえ。「嫌われ松子」の世界の延長のようだが、のどかなゲームからこういう作品を導き出してしまうのが凄い。凄すぎる。
 全カット割りも再現出来るが、すべてのショットが的確。こういうものを撮られたら、もう、映像感覚というか発想が根本的に違うんだから、助監督修行をしてやっと監督になっても、中島さんには絶対に勝てない気がする。鳴呼おれは映画を止めてよかった、と心から安堵しましたな。しかし、市川崑ならこういう映像は朝飯前に撮ってしまうと思うんだが。

 1時就寝。
 
本日の体重:90キロ
本日の摂取カロリー:2066kcal

Posted: (木) - 10 22, 2009 at 09:18 AM             |


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