6時40分起床。展望大浴場に行ってみると、桜島が目前に見える。なんとも素晴らしい景色なので、急いで部屋に帰って、まだ寝ている相方に知らせて、風呂に行けと強く勧める。その風呂も、温泉(鹿児島市内の銭湯はほとんど温泉だと「篤姫」のミニ知識コーナーで言ってたなあ)もいい湯加減で実に良かった。
で、相方が風呂に行っている間に、今日の事を考える。
本日は、島津のお殿様が住んでいた仙厳園を午前中に見たあと、鹿児島中央駅から「はやとの風」に乗り、鉄道ファンなら一度は乗りたい「しんぺい」に乗り、その後、「九州横断特急」で熊本まで抜ける。一度駅に行って荷物を預けて、と思ったのだが、その時間が惜しい。列車の乗り換えに荷物をたくさん抱えてウロウロするのも大変だ。
なので、必要なものだけ小さいショルダーに入れて、他のものは宅急便で送り返してしまおう。で、ホテルから仙厳園に行けば、その分時間を有効に使える。相方の荷物をアタシが持てばいい。
ダイニングでの食事も大変結構。ブッフェに慣れていないお客が多くて、モタモタして列が進まないのが難だったが。
持参したデジカメは、超高解像度にセットしてあったので、メモリーが一杯になってしまった。古いタイプのメモリーカードなので今は売ってないだろうし、探すのも面倒だから、使い捨てカメラを買うことにして、荷物に詰めて送ってしまう。
10時過ぎにチェックアウト。荷物を出して、身軽になって、タクシーで仙厳園。ここは、桜島と鹿児島湾が見事な借景となって、じつに風光明媚。庭が素晴らしいし、いい風が吹き抜ける。いいところだなあ。
お屋敷案内ツアーに参加。邸内の写真撮影は禁止。コースの最後に、茶店でお茶を戴く。
その後、今でも年1回、島津のお殿様が旧藩主の子孫を集めて茶会をする庭を散策。
尚古集成館で薩摩切子のオリジナルを見ようとしたら、案内のおねーちゃんが勘違いをして今の薩摩切子のショールームを案内されて、無駄足を踏む。
タクシーで駅に戻るが、時間に余裕が出来たので、駅前のファッションビルを散策。昼飯の弁当を買う。アタシはもちろん駅弁。
「はやとの風」は指定席を取ってあるが、窓に向かって座れる展望席に座り、車窓から桜島を眺めながら駅弁を食べる。ああ、至福の一時。天気は最高で、桜島もくっきり見えるし、鹿児島湾も美しい。日豊本線は湾をぐるっと半周する形なので、いつまでも桜島が見える。
で、隼人駅で霧島方面に進路を変え、山に分け入る。現存する日本最古の駅舎

とか、みどころたくさん。
吉松が終点。向かい側のホームにいる「しんぺい」
に乗り換える。肥薩線のこの区間は、スイッチバックやループ線があるのが呼び物。

なんとかいう駅にある鐘。本来は発車を知らせる鐘だったが、今では「幸福の鐘」
で。この車両にも展望席があるのだが、「はやとの風」のように席はなくて立席状態。ここにデカイ旅行かばんを椅子にして座るにいちゃんがいた。それは別にいいんだが、お菓子を満載したコンビニの袋を隣の窓際にぽんと置いていた。それもいいのだが、袋の持つところがウサギの耳状態でぴんと立っていて景色を見るのに大いに邪魔。当人はまったく他人の事を無視しているのか、考えが及ばないのか、逆に挑戦的態度なのか、車窓を楽しむ列車なのに、邪魔な状態のまま。
アタシはそう言うのが実に不愉快。いつ自分で気付いて床に置くとかウサギの耳をなくすかと見ていたのだが、全然そういう気配はない。
で。
この線随一の眺めであるポイントにやってきた。
これ以上放置出来ないアタシは、丁寧に「すみませんが……」と声をかけた。
すると、このにいちゃんは、袋を片づけながら、「熱心ですな、オッサン」と、完全にこっちを鼻先で笑う小馬鹿にした態度で言いやがった。
当たり前だろう。熱心だからこの列車に乗ったんだし、車窓を眺めるのが目的なんだし。
このにいちゃん、東大教授の、低い声で沈着冷静に話すインテリの極みのような雰囲気の、姜尚中氏のような感じで。風景を眺める以外は熱心に本を読みふけっていたし。
(あとから調べたら姜尚中氏は熊本出身とのことなので、もしかして親戚かも……)
インテリみたいなヤツに鼻先で嗤われたので、余計にむかついた。その辺のDQNなら相手にするのもバカらしいけど……。
で、なにか気の利いた辛辣な、寸鉄人を刺すような事を言ってやろうと思った。しかし、アタシも良識のある人間。この先しばらくは同乗する訳だから、決定的にいやな雰囲気になるのはこっちも気が滅入る。なんせアタシの視界にはこいつが存在するんだし。それに、逆ギレされるかもしれないし、妙な具合に喧嘩になると、旅の思い出がメチャクチャになる。しかし、黙っているのも腹が立つ。
そういうことを数秒考えた末、出た言葉が、「はい、どーも」。
ま、邪魔なものは視界から消えた訳だし、「うるせー、このデブ」とかの粗暴な言葉遣いでもなかったし、熱心なオッサンである事は事実。で、大人として、聞こえなかったふりをしたとも取れる言葉を発したのだが……もっと他に言い様がなかったか、一言でぐさっとこのにいちゃんの心臓をえぐって、しかも反撃出来ないような言葉がなかったのか、それが見つかったとして、反射的に当意即妙と言う感じで出てこなかった事が、モーレツに悔しくて。「熱心ですな、オッサン」と言われた以上に悔しかった。
こういう時の名文句、ないものだろうか。
途中の駅で、そのにいちゃんも降りて、駅舎の写真を撮っていたので「お前さんも熱心やないか、にいちゃん」とか言ってやろうかと思ったが、結局止めて、そのにいちゃんの背中に「氏ね!」「頭爆発しろ!」と念力を送り続けてやった。
「しんぺい」は人吉に到着。橋を渡って別ホームに待機する「九州横断特急・別府行き」に乗り換える。

例のにいちゃんは乗ってこなかった。自由席にいたのかもしれないが。ここで、今となっては珍しい、駅弁の売り子のおじいさんを発見。
写真を撮らせてもらったお礼に、腹は減っていなかったが幕の内弁当を買う。
この特急、車内が暑い。しばらく我慢していたが、これ以上はダメだと思ったら、車掌さんが暖房のバルブを閉めていた。でもそれで温度が下がる訳でもなく、熊本まで暑いまま。
無事、熊本着。
ここで、旅のスケジュールの魔術師と自称するアタシとした事が、大いなるミスをした。熊本駅から熊本空港へのアクセスをきっちり考えず、「九州横断特急」の熊本着から帰りの飛行機の時間まで90分あるから大丈夫と思ってしまったのだ。
が、空港までのバスは本数がなくて、次は18時発。しかし飛行機は19時05分発なのだ。
間に合わない。
全日空の熊本支店の電話番号は時刻表に載っていないから、104で聞いて繋げてもらっても話し中で繋がらず。何度か電話してやっと繋がって、次の便に変更を頼むが、パックツアーなので変更は出来ず、搭乗放棄して正規の航空券を買ってもらうしかないと。それだとスゲー金額になる。
ならば、イチかバチかでタクシーに乗って、理由を言って飛ばしてもらう。この運転手さんがもと自衛隊のバリバリで、裏道を選んで渋滞を巧みに避けて走ってくれて、ギリギリに多少の余裕がある感じで見事に到着。お礼にチップを弾もうかと思ったほど。この運転手さんと、旅の安全をお祈りしたお稲荷さんのおかげ。感謝。
ずっとスケジュールに余裕を見て組んできたし、そうやって旅行も遂行してきたのに、最後の最後で、どうしてこんな予約ミスをしてしまったのだろう。猛省するとともに、相方に謝る。というか、晩飯の事を考えておけば、こういうミスは発生しなかったのだ。なによりメシの事が大事なアタシなのに、どういうことだろう。ボケが始まったか。
結局、晩飯カット。人吉で買った駅弁を食う気分にもなれず。このハラハラで体温が上昇して、暑い。おかげで「しんぺい」号での不愉快がどこかに飛んでしまった。
羽田からリムジンバスで北千住に帰ろうかと思ったが、京急にする。
駅で、解散。
この3日間で、近所の桜は満開状態。
帰宅して、ビワの名前を呼ぶと、コタツの中から泣き声が。布団をめくると、警戒するようなビワが。アタシ本人だと判るともう、猛烈にベタベタ。抱っこしても抱っこしてもし足りない。
で、メールの未読などをチェックしながら、人吉で買った駅弁を食べる。850円なのに、非常に充実した内容で、食べごたえもあったし、なんか懐かしい。
風呂に入ると、ドアの外でビワが鳴く。しばらく抱っこして、2時ごろ就寝。
本日の体重:計らず
本日の摂取カロリー:3000kcalちかく?
本日の消費カロリー:3693kcal